ピアノを始める前に知っておきたい5つのこと ~その4~

何か新しいことを始める前に付きまとう不安。お子様にピアノを習わせる前に知っておくと、親子でピアノがもっと楽しくなる。そんなコンテンツをお届けします。第4回は 「どんな成長が期待できるの?」というお話。

どんな成長が期待できるの?
~ピアノを始める前に知っておきたい5つのこと その4~

子供が成長し、幼稚園や保育園に通うようになると、親を悩ませるのが、子供のお稽古事。ピアノは、水泳に次ぐ人気のお稽古事です。何か新しいことを始める前に付きまとう不安。お子様にピアノを習わせる前に知っておくと、親子でピアノがもっと楽しくなる。そんなコンテンツをローランドからお届けします。

4回目も、引き続き、笹田優美氏へ、幼少期からピアノと関わることで期待できる子供の成長についてお話いただきました。

ピアノを弾くことで得られること

昨今、新しいジャンルのお稽古ごとが増える中、いつの時代もピアノは常にお稽古ランキングの上位にランクインしています。「ピアノが弾けること」「音楽の素養があること」は子どもの頃はもちろん、人生を通して誰からも羨ましがられる能力ではないでしょうか。

ピアノ演奏を通して、本人が楽しいと感じることはもちろんですが、演奏を通して人を元気づけたり喜ばせたり、人との関わりを創出し感受性を育むことができることもピアノの魅力です。

幼少期からピアノと関わり、演奏ができるようになる過程の中で、自然と豊かな心身へと成長し、人生を豊かにしていくのです。

普段の練習で身に付くこと

ピアノの練習は、先生のところで行う毎回のレッスンで目標を立て、その目標をクリアするための課題を1つ1つ自宅で練習していきます。当然、苦手な箇所を繰り返し練習しなければならず、忍耐力が必要です。レッスンを続けることで、お子さんは「一人で努力すること」、投げ出さないでひとつのことを続ける「継続力」、さらには、譜読みをしたり楽器に向かって演奏することで「集中力」を培うことができます。

また自分がどのように弾きたいのか、弾いている音楽で何を伝えたいのかなど、自分で考えながら演奏しますので「自己表現力」も身につけることができるのです。

普段の練習を行うだけでも、自然と、一日の時間を有効に使って自分のスケジュールを管理すること、一つの目標に向かってこつこつ積み重ねる習慣が身につきます。

中学・高校生になり、部活、お稽古事、受験などが重なり忙しい時期や、その後の人生の壁を乗り越えなければならない時に、この蓄積された経験が役立つのではないでしょうか。

発表会やコンクールなどの行事を通して

ピアノを習うと、発表会やコンクール、合唱コンクールの伴奏など、人前で演奏する機会が生まれます。ステージでの緊張感、この経験は、なかなか得られるものではありません。演奏がうまくいけば、達成感や自信も生まれます。また、努力が実らないこともありますが、今度はそれを乗り越えていく克服力を身につけることに繋がっていくのです。

晴れ舞台に向けて練習を重ねる中で、目標に向かって1つのものをまとめあげ、完成させる力を身につけることができます。さらには、一つ舞台を終えたら次の目標に進んでいくわけですから、物事に対して前向きに取り組む姿勢も自然に生まれていきます。

また、一人での演奏だけでなく、連弾やアンサンブルなど、人と一緒に演奏するときには、人の音をよく聴いて合わせることなど、協調性を育む機会も沢山あります。

脳科学の面でも

ピアノは脳の発達に良い影響があることは多くの脳科学者の研究発表などで周知の通りです。ピアノは、両手の指を複雑に使い、そしてペダル操作では足も使い、全身で演奏します。そのような複雑な動作を要するピアノの演奏は、自然に全ての脳の機能を高め“地頭”をよくするのだそうです

そして、これまでお話したように、夢や目的に向かって適切に行動する能力や、理性、協調性を身に付けて、人間関係を上手に図りながら「生きる能力」を身につけていくことができるお稽古事ではないかと私は考えています。

ずっとずっと続けて欲しい

ピアノを習っているお子さんが、レッスンを継続することが難しくなるのは、部活や受験などで忙しくなる時期が多く、ピアノを辞める一番の理由に挙げられます。でも、忙しい中であってもピアノを続けていることが、逆に生活のリズムにメリハリが付き、勉強にも部活にも相乗効果が生まれるという声も多く聞きます。音楽を続けることで得られることはたくさんありますので、無理のない範囲で、長く続けて欲しいと願っています。

このように、ピアノレッスンを通して経験したことは、お子さんの成長過程で将来必ず役に立つはずです。私たちピアノ講師は、音楽で自己表現をすることを教えるだけではなく、人生で岐路に立った時でも克服していく力を持つお子さんを育てる人間教育を目指しています。

親御さんにとっても、弾ける曲がどんどん増えていき、ピアノのレッスンを通して子供の成長に寄り添えることは、かけがいのないことではないでしょうか。

笹田優美(ささだゆうみ)
国立音楽大学音楽学部教育音楽学科卒業。ピアノを小泉欣子、声楽を秋山恵美子に師事。在学中よりローランドのデモンストレーターとして活動。大学卒業後は高校教師(音楽科)を経て、クラシック、ポピュラー・ピアノ担当として後進の育成にあたる。現在は、自宅教室MUSIC OASIS VERDEを主宰。レッスンや執筆活動の他、幼児教育教材開発、コースコーディネート、および全国各地にて指導者向けセミナーを行う一方、コミュニティFMの生放送DJや音楽番組の企画・制作、音楽会ナビゲーターなどでも活動中。

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