【インタビュー】まつだひかり&こいち(にくきゅうおんど) [PART1]

ボス・メタルゾーンMT-2を取り上げた動画『女子高生エフェクターを買いに行く』がインターネットで公開され、多くのプレイヤーに衝撃(笑撃!?)を与え、今や15万回超の再生回数を誇る大人気動画は、どのようにして生まれたのか? そして、作者である“まつだひかり”氏とは、一体何者なのか!? 

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まず見た目が大好き。カッコよくて、カワイイ。
しかも、「メタルゾーン」っていう名前がめっちゃイイ!
-PART ONE-
約1年前、ボス・メタルゾーンMT-2を取り上げた動画『女子高生エフェクターを買いに行く』がインターネットで公開され、多くのプレイヤーに衝撃(笑撃!?)を与えた。今や15万回超の再生回数を誇る大人気動画は、どのようにして生まれたのか? そして、作者である“まつだひかり”氏とは、一体何者なのか!? そこで今回、大胆にもボスから直接、彼女にコンタクトを取り、動画制作に協力している夫でありバンド・メンバー“こいち”氏、そしてボス・スタッフと共に、《Part.1》では動画制作秘話や、“メタルゾーン愛”を語ってもらった。さらにボス製品を深くえぐる《Part.2》もこうご期待!
「メタルゾーン」は、デザインも名前も音をそのまま表していて、絵としても映えるなと思っていた
─ まずは、話題の動画『女子高生エフェクターを買いに行く』は、どのようなきっかけで作ったのでしょうか?

まつだ:そもそもは、秋葉原にあるClub GOODMANというライブハウスで、みんなで好きなエフェクターについて語ろうという「エフェクターナイト」というイベントがあったんです。最初、第1回には普通にお客さんとして行ったんですよ。それが面白くて、第2回は出演者として、PowerPointを使って、メタルゾーンMT-2を語りました。

ボス:それが2年くらい前の話ですよね。私もイベントを観に行っていて、そこでかなり迷ったんですが、思い切って声をかけさせてもらって。何しろ、へヴィメタルHM-2のリュック(昔のボス販促品)を背負っていた姿が、ものすごいインパクトでしたから(笑)。

こいち:(笑)。それで去年、「エフェクターナイトの3回目があるよ。出ないの?」って言ったら、「いや、別に出る気ないよ」って返事で。でも、主催者に聞いたら「出ることになってますよ」って言われて。

まつだ:まだちょっと、出るか出ないか、あやふやな感じだったんです(笑)。それで、直前のタイミングになって、「何か作んなきゃ!」っていう話になって。

こいち:前回がPowerPointの“紙芝居”でしたから、同じだと面白くない。「じゃあ次は、デジタル紙芝居(=アニメ動画)でしょう」みたいな感じ。

まつだ:それで、メタルゾーンを使わせていただいて、動画を作ったんです。

─ では、結構バタバタと作った感じだったのですか?

こいち:2週間くらいだったよね?

まつだ:そうですね。

こいち:イベントの2週間前にライブをやって、そのMC中に「エフェクターナイト、どうするの?」「出るの?」「えっ、出ないの?」みたいな話をしたのを覚えています。だから、その時点では、まだ作ってなかったってことですよね。

まつだ:そこから、「じゃあ、よし!」みたいな感じで(笑)。まだ、キャラがあやふやな状態のメタ子がいて、だけど、なぜかメタル系のボス・コンパクト・エフェクターが好きだっていう設定は、最初から考えていました。動画を作り始めた頃は、メタルゾーンだけじゃなくて、メタルコアML-2だとか、そういったコンパクト・エフェクターも散りばめて描いていたんですよ。

─ そこで、“メタルゾーン愛”が爆発したわけですね(笑)。そもそも、メタルゾーンのどういう部分が気に入っていたのですか?

まつだ:まず、見た目が大好きで。ボディが黒で、オレンジの文字というデザインが、カッコいいですし、カワイイ。しかも、「メタルゾーン」っていう名前が、めっちゃイイ! デザインも名前も、もう本当に音をそのまま表していて、かっちょイイなと、ずっと思っていました。これは絵としても映えるなと思って。

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─ ビジュアル優先だったんですね(笑)。

まつだ:そうなんです(笑)。最初に手にした頃は、まだベースしか弾いていなかったので、ベースであまり使う機会がなかったので。実際に使うようになったのは、その後に、ギター&ボーカルをやるようになってからなので、割りと最近です。

─ 今までいろんなプロのギタリストを取材しましたが、メタルゾーンって、意外とよく話のネタに挙がるんですよ。みなさん、それこそ高校生くらいの頃に飛びついて買うものの、その後は、押入れの隅で眠ってしまうんですが(笑)、実家に帰った時に見つけたりして久々に音を鳴らすと「これはイイ!」と、また使い始めるといった話を、よく聞くんですよ。

まつだ:やっぱり! みなさん、手放さずに持っているんですね。メタルゾーンを通過している方も多いですよね。

─ だからこそ、あの動画がツボにハマったギタリストが多かったんだと思います。

まつだ:それくらい、ギターを始めたばかりの高校生が手にしたっていうことは、やっぱり見た目のインパクトがよかったということなんじゃないでしょうか。手に取りたくなるデザインというか。

こいち:覚えやすい“顔立ち”だもんね。

まつだ:配色も、他のモデルとは逆転してますもんね。たいていは、ボディがカラフルで、それに黒の文字っていうのが多いですが、これは黒地にオレンジの文字。秀逸なデザインだと思います。

─ ビジュアルに惚れ込みすぎて、メタチュー(チューナーTU-2にメタルゾーンのフット・スイッチ部を取り付けて、ボディを黒く塗り変えた改造モデル)まで作っちゃったんですね(笑)。

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ボス:あれは熱いですよね。初めて見た時は、感動しました(笑)。

こいち:これ、チューナーとしてオークションに出品されていた物で、その時点で、メタルゾーンの蓋がもう付いていたんですよ。「あ、じゃあボディを塗ろう!」って。

まつだ:それで、ホームセンターでガンメタリックの塗料を探して(笑)。メタルゾーンも、生産時期によって、色が少し違うんですよね。初期がガンメタリックで、現行のモデルは、艶消しになっていて。

─ さすがにお詳しい(笑)。

こいち:海外のバンドだと、雑誌とかでギタリストの足元を見ると、強く踏み過ぎて壊れちゃうのか、結構、コンパクト・エフェクターの蓋を他の物と取り換えていたりしますよね。日本人でそういうのはあまり見かけませんが、レゴ・ブロックじゃないけど、コンパクト・エフェクターって、ちょっとそうやって見た目に手を加える楽しさもありますよね。

だいたいの「あるある」はファンタジー。デフォルメしてネタにしたつもりが「あるある!」という反応で驚いた
─ “メタルゾーン愛”もたっぷり伺えましたが、とにかく、まつださんの正体が謎めいているので(笑)、楽器・音楽歴なども聞かせてください。そもそも、楽器を始めたのは、いつ頃なのですか?

まつだ:15歳ぐらいですかね。その時に、初めてベースを触って。ウチは3兄妹で、最初に、長男が友達に誘われて、ドラムを始めたんです。筋はよかったんですが、でもそんなにハマらなくて、次に次男がやったら、そっちはドハマりして。それで、次男がギター&ボーカルの人とバンドを組んで、「ベースがいないね」「じゃあ、ひかりにやらせれば?」みたいな感じで、ベースを始めました。だから、完全にオリジナル曲から入っちゃって、ずっとそのバンドでやっていました。

─ こいちさんは?

こいち:16歳くらいの頃ですね。僕もベースだったんです。雑誌の通販ページで、実際に触らずに買って。だけど、在庫がなかったらしくて、半年くらい、全然届かなくて(笑)。

─ ベースを選んだ理由は?

こいち:先に弟がエレキギターを買ったんですよ。それを見て、「面白そうだな」と思って、カタログを眺めていたら、ベースが一番細長くて、カッコよかったんですよ。カタログだと、ギターとベースが同じサイズで載るから、相対的に、ベースの方が細長く見えるんですよ(笑)。

まつだ:バランスがね。ここでも、見た目重視的な(笑)。

こいち:それに、軽音楽部に入っていた友達から、以前に「おまえは背が高いから、ベースをやった方がいい」って言われたこともあって。その友達は近所に住んでいて、母親同士も仲がよかったから、友達から「ベース買ったんだって?」って電話がかかってきて。それで、LUNA SEAのバンドスコアのコピーを渡されて、2曲だけ、延々と弾いてました(笑)。だから、その時もバンドをやったわけではないですし、軽音楽部にも入っていないんですよ。でも、僕はちゃんと“ひずみ”って読めましたけどね(笑)。

─ “ゆがみ”ではなく!(笑)

まつだ:私は、最初は危うかった(笑)。でも、さすがに周りにバンドやっている人が多かったから、なんとか“ひずみ”って読めました(笑)。

─ おふたりとも、軽音楽部に入っていなかったというのは意外でした。動画のネタが、いわゆる「軽音あるある」的なものでしたから、てっきり学校の軽音楽部時代の経験をネタにしたのだとばかり思っていました。

こいち:だいたいの「あるある」は、ファンタジーなんです。僕らは、実際には経験していないものですから、あくまでも想像で。

まつだ:だから、かなりデフォルメしてネタにしたつもりが、みんな……。

こいち:「あるある!」みたいな反応で。僕らとしては、「えっ!? あるの? ウソ!」みたいな感じでした(笑)。

まつだ:動画の他にも、エフェクターボードを逆さまに開けちゃうっていうイラストを描いたんですが、それも私としては、「ないない!」のつもりで描いたんですよ。でも、「わかる!」っていう反応があって、ちょっと意外でしたね。あの動画も、アニメにするからには、いろいろとフィクションを織り交ぜて、やり過ぎたぐらいの方が面白いかなっていうつもりで作ったら、意外と「あるある!」という声をたくさんいただきました。

─ では、動画を作った時には、ここまで反響があるとは想像していなかった?

こいち:公開された当初は、本当に予想以上の反響で、ビックリしました。

まつだ:ただ、どうしても、冷静な目で見てしまうので(笑)。

こいち:動画を公開してちょうど1年ほど経ちましたが、最近は、ようやく動画を客観的に見れるようになって、「おっ、面白いかも!」と思えるようになりました(笑)。

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新しいボス動画はエフェクターが分からない人でも面白がっていただける仕上がり
─ 『女子高生エフェクターを買いに行く』に、そんな裏話があったとは驚きでした。動画第2弾の『女子高生シールドを買いに行く』では、田渕ひさ子さん(bloodthirsty butchers/toddle/LAMA/磯部正文BAND)が、楽器屋の店員さんとして声の出演をされていますよね。これは、どのような経緯で実現したのですか?

まつだ:ひさ子さんとは、個人的に仲良くさせてもらっていて、私が撮った、自宅で飼っているネコの写真をソロ作品のジャケットに使っていただいたりもしているんです。

─ どのようにして、交流が始まったのですか?

まつだ:最初は、私がベースを弾いている“デロッピードロッピー”っていうバンドで、bloodthirsty butchersさんと広島で対バンをさせていただいて。大ファンだったので、メンバーみんなで突撃して、サインをいただいてから、仲良くさせていただいています。さっき話したネコの写真も、普通にInstagramにアップしたものを、ひさ子さんから「ひかりちゃん、あれ使っていい?」って連絡をもらって、「どうぞ、どうぞ!!」っていう感じで。

こいち:そういったこともあって、誰かに動画の声を入れてもらいたいと思った時に、身近な人として、ぽわーんと浮かんできたんです。

─ 動画を作る際に、そういったアイデアは、こいちさんと一緒に練っていくのですか?

こいち:いや、僕は出来上がった動画を見て、「今、それを言うのかよ!?」みたいな口出しをあれこれ言うくらいです(笑)。

まつだ:でも、事前にちょこちょことは話し合ったりして、あとはレコーディングですね。音を録ってもらって。趣味で、バンドのレコーディングを宅録するような感じでやってもらっています。

こいち:だから動画の音をよく聴くと、犬の鳴き声とかも小さく入っているんですよ。防音とかもしてない、普通の部屋で宅録しますから。動画に入っているギターも、ドロップDチューニングなんですが、それも手に録ったギターが、たまたまドロップDになってたからっていう、ただそれだけの理由なんです(笑)。それくらい、自由気ままに作っています。

まつだ:そこが、趣味の強さですよね。自由にやれるところが。だから、あんまり急かされて、「作らなきゃ」と思って描いても、あまりいいものは出来ないんじゃないかと思っています。

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─ そういうお話しを伺った後に恐縮ですが(笑)、今回、ボスとのコラボレーションとして、ボーカル・プロセッサーVE-20の動画を作っていただきましたが、こちらの見どころは?

まつだ:女子高生が初めてボーカル・エフェクターを買いに行くという動画なんですが、好きなシーンは……オチ(笑)。あとは、冒頭もかなり大胆な感じなので。

こいち:「きっとNGだろうな」と思って提出したら、ボスさんからOKをもらって、逆にビックリしたという(笑)。

まつだ:感動しました。これ、ボスさんOKなんだ!って(笑)

ボス:そもそも、今回、動画を作っていただこうと思った一番の理由は、まつださんの動画やイラストを見て、“愛”を感じたからなんです。他にもたくさん、楽器や機材をネタにしたものが存在します。でも、まつださんの作品は、もちろんメチャクチャ面白いですけど、単にネタに走っているわけではなくて、すごく愛が伝わってきたんです。きっと、地でいってるんだろうな、と(笑)。

まつだ:やったー! そう言っていただけると、すごく嬉しいです。本当に、好きで動画やイラストを描いていただけなので、もう、本家さんに使っていただけるなんて、「(膝を叩きながら)パーン! パーン!」って感じで、嬉しすぎです(笑)。最初にメールをいただいた時は、ガッツポーズしましたから。今回の新しいボスさんの動画は、そもそもエフェクターが何なのかも分からないような人でも、面白がっていただけるような仕上がりになっていると思うので、娯楽として楽しんで欲しいですし、動画の中で、サウンドもいろいろと聴けますから、ボーカル・エフェクターに興味がある方には、ぜひ見て欲しいです!

『女子高生ボーカル・エフェクターを買いに行く!!』はコチラからご覧になれます。

─ Part 2は近日公開
製品紹介
MT-2
デュアル・ゲイン回路でシリーズの最強の歪み
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攻撃的なハイ・ゲイン・サウンドを生み出す、ラウド系サウンドに最適なディストーション・ペダル。
VE-20
簡単操作でボーカルのサウンド・クオリティを上げるボーカル専用エフェクター。
INFORMATION
女子高生ボーカルエフェクターを買いに行く!!
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詳しくはコチラよりご覧いただけます。

PROFILE
まつだひかり
イラストレーター。イラストや漫画を描きつつ、 デロッピードロッピー(Bs)/ナカノイズ(Vo&Gt)などバンド活動も展開。実家の蔵を改造して、音楽イベント「蔵フェス」を開催するなど、音楽活動も盛んに行っている。現在、コミックウォーカーにて「スライディングV」連載中。他にも、音楽/機材誌でもイラストを執筆中。
オフィシャル・サイト:http://matsudahikari.tumblr.com/
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