こんにちは。ローランドサポート窓口の WEB 担当がお送りするローランド・ブログ「サポートカテゴリー」です。今回は、シンセサイザー用音源システム ZEN-Core について解説します。ぜひご覧ください!!
現在、さまざまな製品に採用されている ZEN-Core。名前は聞いたことのある方も多いと思いますが、どんな特長をもっていて、どんな活用方法があるのかなど、詳しい仕組みまではチェックできていないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回はローランドの ZEN-Core の特長や活用方法など、ZEN-Core に関する疑問を一気に解決いたします!
ZEN-Core とは簡単に言うと、ローランドのシンセサイザー用音源システムの名称です。
シンセサイザーの音源システムは、それ自体が製品を特徴づけるものといっても過言ではありませんよね。なのでシリーズ物ならまだしも、全く違う楽器なら互換性がなくてあたりまえという感覚の方も多いのではないでしょうか。
一方で ZEN-Core は、さまざまなカテゴリーの製品に搭載されていて、それらの製品は同じ音色を使うことのできる互換性があります。これが ZEN-Core の大きな特長であり重要なポイント。
では、ZEN-Core を搭載した製品はどれを選んでも同じ音なのか?というとそういうわけでもなくて、ZEN-Core は高い拡張性も備えていて、製品ごとに固有の音色を搭載することも可能なんです。
つまり、ZEN-Core は対応製品同士で同じ音色を使うことのできる共通部分と、製品固有の音色を搭載できる拡張機能を備えた音源システムなんです。
ここでひとまず ZEN-Core 対応製品をご紹介。現在、ZEN-Core対応製品はこんなにたくさんあるんです!※ 2025/3月時点
ソフトウェア製品
ハードウェア製品
対応している製品がたくさんあるのがわかったところで、次は「ZEN-Core 対応」だとどうなるのか、掘り下げていきましょう。
ZEN-Core には、どの機種でも使える共通の音源部分があり、この共通部分を使って作られた音色のことを「ZEN-Core トーン」と呼びます。ZEN-Core トーンは各製品にプリセット音色として搭載されているだけでなく、外部からZEN-Core トーンの音色データを本体に読み込むことで、新たな音色を追加することが可能になっています。
このように、どの機種でも「同じ ZEN-Core トーンを再現して使用できる」ことが、ZEN-Core の互換性であり、ZEN-Core 対応機種共通の特長なんです。※機種によりドラムキット音色など、一部の音色は読み込めない場合があります。
例えるなら、ZEN-Core対応機種は同じ素材の入った冷蔵庫をもっていて、レシピ(=音色データ)さえあればどの機種でも同じ料理を再現できる、というイメージです。
ZEN-Core 対応機種は共通の音色を使えるということはおわかりいただけたと思いますが、続いては「どの機種を選んでも同じ」ではないポイントをご紹介していきたいと思います。
1.機種によって固有の音色もある
ZEN-Core という音源システムは、共通の音源部分に加えて機種固有の音色も搭載することができるんです。固有の音色には機種ごとにあらかじめ搭載されているものと、Roland Cloud から入手して追加することのできる音色があります。後から追加できるものはエキスパンションと呼び、共通部分には入っていない素材そのものを製品にインストールすることで、製品ごとに独自の音色が使えるようになります。
ZEN-Core 音源には共通の音源に加えて固有音色用メモリーがある
基本的には上位モデルになるほど、搭載音色や追加できる音色の種類が豊富になります。たとえば、人気のシンセサイザー 3 機種の対応エキスパンションを比較するとこんな感じ。フラッグシップモデルの FANTOM-EX が追加できる音色が一番多くなっています。※ 2025/3時点
共通部分の音色に加えて、どんな音色を使えるのかは製品選びの大きなポイントになりますね!
なお、他の ZEN-Core 対応製品も同様に、機種ごとに対応するエキスパンションは異なります。機種ごとの対応エキスパンションは以下のページでご確認いただけます。
2.ZEN-Core トーンの扱い方が異なる
ZEN-Core トーンは、音色をセットする入れ物の「パート」で使われます。
※ 製品によって、「パート」「ゾーン」など、音色をセットする場所の名称は異なります。
ZEN-Core トーンをどのように使えるかは、このパート数によっても変わり、ZEN-Core トーンを単独で使うのか、複数の ZEN-Core トーンを重ねた音作りができるのか、といった違いが出てきます。
ZEN-Core の互換性はあくまでZEN-Core トーンを再現できること。たとえばある製品で ZEN-Core トーンを 4 つ重ねた音色を作ったとして、それを別の製品で再現する場合は同じようにパート数は 4 以上ある必要がありますよね。
つまり、複数の ZEN-Core トーンの組み合わせかたをはじめ、ZEN-Core トーンの外側の構成は製品それぞれで全く違うので、最終的な音色設定は製品が違えば再現できない場合があることも覚えておきましょう。
パート数をはじめ、全体の構成は機種ごとに異なる
3.エディットとエクスポート
外部からZEN-Core トーンの音色データを本体に読み込むことを「インポート」と呼びます。ZEN-Core トーンの「インポート」は全機種対応していることはご説明しましたよね。一方、ZEN-Core トーンを本体でエディットできるかどうかと、ZEN-Core 対応製品にインポートできる音色データを書き出す「エクスポート」ができるかどうかは、機種によって異なるんです。
またまた料理に例えちゃいますと、オリジナルの料理(=ZEN-Coreトーン)を作ることができるかどうかと、料理のレシピをシェアできるかどうかが機種により違うんですね。
ちなみに現在 ZEN-Core トーンのエディットとエクスポートに対応しているのは、以下の製品です。
※ 2025/3月時点
<エディットとエクスポート可能>
Zenology Pro / FANTOM-EX / FANTOM-0 / JUPITER-X / JUNO-X / JUNO-D
<エディット可能>
MC-707 / MC-101(簡易版エディットに対応) / AX-EDGE / Aerophone Pro / Aerophone AE-20
※ ここでの「エディット可能」とは ZEN-Core トーン・パラメーターそのもののエディットが可能であることを指します。ここに記載されていない製品でも、製品ごとに独自の音色エディット機能を備えています。
インポートのみ可能な製品の場合は、以下いずれかの方法で新しい音色を追加することができます。
・エクスポート対応製品から音色データを入手する
・Roland Cloud から購入する
なお、Roland Cloud から購入できるZEN-Core トーンのデータは、「ZEN-Coreサウンド・パック」として販売されています。ZEN-Coreサウンド・パックは、お店に並んでいる「レシピ本」といったところでしょうか(←しつこい)
ZEN-Coreサウンド・パックは現在、100種類以上がラインナップされていますので、ご興味のある方はぜひサンプルも含めてチェックしてみてくださいね。
ZEN-Coreサウンド・パックのカタログはこちら
最後は、ZEN-Core 対応製品でどんな使い方ができてどんなメリットがあるのか、実用例をご紹介!
Zenology Pro の場合
まずはソフトウェア音源の Zenology Pro です。
Zenology Pro は、ZEN-Core 音源を DAW ソフトのプラグインとして使えるソフトウェアで、ZEN-Core トーンのエディットはもちろん、ハードウェア製品用に音色データのエクスポートも可能なんです。
ソフトウェア音源としての性能はもちろんのこと、ZEN-Core 対応のハードウェア製品とも非常に相性がよく、たとえば DAW で作ったデモ曲の音色を、そのままハードウェア製品にインポートしてステージで演奏することもできちゃうんです。
また、Zenology Pro はZEN-Core 対応ハードウェアの音色エディターとして、パソコンのモニターとマウス操作で詳細な音作りをすることも可能になります!
※ エディットした音色をハードウェア製品で使うには、トーンのエクスポートが必要です。
Zenology Pro エディット画面イメージ
Zenology Pro は、Roland Cloud の UltimateまたはPro メンバーシップに加入するか、Lifetime Keyを購入することで利用可能です。サブスクリプション方式(メンバーシップ)での利用中なら、追加音色もすべて使い放題なんですよ!
今回は Roland Cloud の詳細についてはご紹介しきれないので、Roland Cloud って何?という方はこちらの記事もぜひご覧くださいね。
JUNO-D シリーズの場合
続いては ZEN-Core 対応シンセサイザー JUNO-D シリーズ。
学生や社会人プレイヤーに大人気の JUNO-D シリーズは、初心者にも扱いやすい機種ながら、上位モデルに引けをとらない ZEN-Core マシンなんです。
「3.エディットとエクスポート」の章でもご紹介しましたが、JUNO-D シリーズは FANTOM EX/FANTOM-0 シリーズなどの上位モデルと同じように、本体での ZEN-Core トーンのエディットとエクスポートに対応しています。
これによって、ミュージシャン仲間と気軽に音色をシェアできたり、FANTOM シリーズなどの上位機種へステップアップするときにも、音色を引き継ぐことができちゃうんです。 音色を他の機種に引き継げるっていうのは、大きなポイントですよね!
さて、ZEN-Core 音源のご紹介、いかがだったでしょうか?
今回は機能面を中心にご紹介しましたが、ZEN-Core音源は最上位機種の FANTOM シリーズでデビューした音源であることからもわかるとおり、ものすごく音もいいんです。ぜひ機会があれば ZEN-Core 搭載機種をお試しください!ではまた!
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