【アーティスト直伝】SYSTEM-500で学ぶ、モジュラー・シンセサイザーの基礎2

Roland SYSTEM-500で、モジュラー・シンセサイザーの基礎からちょっと進んだ使い方までを体得!
【第2回】オシレーター+フィルター+アンプで、シンセサイザーの基本構造を創る

【アーティスト直伝】
SYSTEM-500で学ぶ、
モジュラー・シンセサイザーの基礎

Roland SYSTEM-500シリーズは、モジュラー・シンセサイザーの基礎を知るにも最適な機種。この連載では、動画とテキストでわかりやすくモジュラーの基本を解説。パッチングなんて怖い!と思っている方も、これを見れば大丈夫!!

第二回 オシレーター+フィルター+アンプで、シンセサイザーの基本構造を創る

前回は、「512(VCO)」から直接「530(VCA)」に接続して、オシレーターの素波形をダイレクトに聴いたり、複数のオシレーターを混ぜて音を作る方法を勉強しました。今回は、シンセサイザーの醍醐味でもある”音色の加工”を実現するため、前回のセットの真ん中に「521(VCF)」フィルター・モジュールを挟み、音色の加工や変化を楽しんでみましょう。

まずは、「512(VCO)」(オシレーター・モジュール)の[VCO 1]と[VCO 2]から「530(VCA)」(アンプ・モジュール)の[SIG IN]に挿さっていたパッチ・ケーブルを抜いて「521(VCF)」(フィルター・モジュール)の[SIG IN 1]と[SIG IN 2]へつなぎ直しましょう。次に「521(VCF)」の[OUT]から「530(VCA)」(アンプ・モジュール)の[SIG IN]へつなぎます。
※念のため「530(VCA)」のスライダーを下げて予期せぬ大音量を回避します。

これで音声信号の流れが・・・「512(VCO)」⇨「521(VCF)」⇨「530(VCA)」という、シンセサイザーの最も基本的なストラクチャーで構成されました。この状態で「521(VCF)」「530(VCA)」ともに[SIG IN]のスライダーを上げていくと同時に音が出てきます。

「521(VCF)」には、とてもキレの良いハイパス/ローパスの二つの特性を持ったフィルターが搭載されています。今回はローパス・フィルターを使用し、[FREQ](カットオフ・フリケンシー)と[RES](レゾナンス)ノブを回し、音をこもらせたり、あるいは鋭くしたりといった音色の加工を施しました。[RES]を上げ目にし、[FREQ]を下げていくと、シンセサイザーらしい独特の発振をさせることができます。

シンセサイザーの”核(コア)”は、これでぼほ完成。

シンセサイザーという楽器の”核(コア)”となる部分の構造は、今回作った形でほぼ完成です。今やスタンダードになってきたアナログ/アナログ・モデリング・シンセサイザーは、実はこういったパッチング=音や信号の流れが内部で行われた状態になっているものがほとんど。え!?ならケーブルを抜き差ししなくても音が出るシンセでいいじゃん!?なんでなぜわざわざ手間をかけてパッチングしていくの?という声が聞こえてきそうですね。その秘密は次回以降!

執筆:齋藤久師

1991年『GULT DEP』でビクターエンターテインメントよりメジャーデビュー。 『Yセツ王』や松武秀樹率いるLogic systemなどに参加。 あらゆる世界のヒットソングをチップチューン化するユニット、『8bit project』でヨーロッパツアーを行う。
2013年より、Female Modulists「galcid」をプロデュースし、彼女達と共に、国内外問わず、フェスやクラブ、ライブイベントに参加するなど、活躍の場を広げる。2016年2月には、日本文化庁主催のメディア芸術際@インド・ムンバイにライブアーティストとして召集され、 日本を代表するメディアアートの地位を確立。
また、最新著書「DTMテクニック99(リットーミュージック)」や、 CM、映画音楽の他、Roland社を始めとするシンセサイザーの開発などのサウンドデザイン、プロデュースなど多岐に渡る。

Official Web|http://www.hisacid.com

この記事をシェアする
Recommend 関連記事