RELEASE
デジタル・シングル「スロウナイト」
2020年4月7日リリース
(BSテレ東ドラマ「ワカコ酒 Season5」オープニングテーマ)
LIVE
《蒼山幸子 presents ~band tour 2020 春の余韻とスロウナイト~》
2020年4月28日(火) 大阪・梅田Shangri-La
2020年4月29日(水・祝) 愛知・名古屋SPADE BOX
2020年5月1日(金) 東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGE
ステージ・ピアノRD。ライブハウス、スタジオ、レコーディングなど多くの場面でアーティストに選ばれ続けてきたステージ・ピアノに新たに「RD-88」がラインナップに加わった。2019年に解散したバンド”ねごと”のボーカル/キーボーディストとして活躍し、同年からソロ活動を開始した蒼山幸子さんに、今回発売する新しいステージ・ピアノ「RD-88」についてSound Reviewを実施。普段からRD-2000を愛用する蒼山さんに、RD-88の魅力と、自身の今後の活動についてお話を伺った。
蒼山幸子/RD-88 Sound Review
2019年に解散したバンド”ねごと”のボーカル/キーボーディストとして活躍。同年から新たにソロとして活動を開始し、4月から放送されるBSテレ東ドラマ「ワカコ酒 Season5」のオープニングテーマも手掛けた蒼山幸子さん。
普段からRD-2000を愛用している彼女に、今回発売した新しいステージ・ピアノ「RD-88」についてSound Reviewを実施。その魅力と、彼女自身の活動や楽曲の制作秘話についてお話を伺った。
――ステージ・ピアノの定番「RDシリーズ」で初めてのエントリー・モデルRD-88を試奏して、どのような印象を持ちましたか?
蒼山 – 奥行きがコンパクトで、見た目がカワイイというのが第一印象でした。
――奥行きが約26cmで重量が13.5kgと、88鍵盤モデルながらもコンパクトなサイズ感になっています。
蒼山 – バンドをやっている人で、特に女の子だと、キーボードは重たくて持ち運びが大変だっていう問題があるので、88鍵盤モデルでこれくらいの大きさだったら、すごくいいなって思いました。それに音がすごくいい。ピアノ音色も暖かみがあって、すごく好きな音でした。
――ライブ・ステージに欠かせないピアノとエレピは、プロ・モデルRD-2000やFA-06にも搭載されている“スーパーナチュラル音源”が採用されています。
蒼山 – 音色の質や表現力がとてもいいですよね。しかも本体にスピーカーが内蔵されているので、お家で練習するのも手軽だと思いました。スピーカーが別途必要だと、その置き場所をどうするかっていう問題があったりして、結構手間ですから。私も昔、スピーカーを持っていなかった頃は、ヘッドホンでピアノの練習をしてたんです。ただそうすると、ピアノは聴こえるけど、自分の歌が聴こえなくなって(笑)。だから、スピーカーが内蔵されていて、これ1台だけで手軽に演奏できるのが嬉しいですし、バンドや弾き語りを始めたばかりの人にも、すごくいいと思います。
――カフェ・ライブなど省スペースでの演奏なら、内蔵スピーカーだけでも十分な音量が出せるんです。
蒼山 – しかも、アコースティック・ピアノを弾いた時のような響きがちゃんと感じられてビックリしました。スピーカー内蔵モデルでも、例えばラインっぽい硬めの音しか鳴らなかったり、いかにも「ここ(スピーカー)から音が出ています」って感じるキーボードもありますが、これは空間が鳴っているように感じて心地いいサウンドですね。
――パネル面に高音用ツイーターがステレオで搭載されているのに加えて、実はボトム面にフルレンジ・スピーカーが搭載されていて、両者の音が空間で混ざり合うように設計されているので、ピアノらしい響きが感じられるようになっているんです。また、グランド・ピアノの屋根の開け具合をパラメーターで調整することで、音の明るさをコントロールすることも可能です。
蒼山 – そうなんですね!面白いですね。そして何より鍵盤がちゃんとしていて、ピアノ・タッチだというのがいいですね。ねごとの時は、タッチが軽めのFA-06を使っていて。バンドだと、タッチが軽い方がライブで手の疲労が少ないですし、細かいフレーズが弾きやすいといったメリットもありますけど、今はソロになって弾き語りで歌う機会が増えてきたので、しっかりとした鍵盤タッチのピアノが欲しいと思っていたところなんです。
――アコースティック編成でのライブでは、上位モデルのRD-2000をプレイされていましたね。
蒼山 – はい。RD-2000の鍵盤タッチもとてもよかったですけど、RD-88もアコースティック・ピアノを弾いているかのような感触がありました。あと、ライブでRD-2000を弾いた時に感じたことがあって。低音から高音まで均等に鳴ってくれることって、特に弾き語りやアコースティック・ライブではすごく大切だなって改めて分かったんです。例えば低い音だけが大きく鳴ってしまったりするピアノだと、演奏しにくく感じてしまうので。その点、RD-2000はバランスがすごくよかったですし、このRD-88も同じように音の鳴り方が均等で、とても弾きやすかったです。それに、アタックがしっかりと出てくれるけど、耳に痛いところがない。歌う方は、とても気持ちよく弾けるピアノだと思います。それでもし、自分の声とぶつかる帯域があれば、手元のEQで調整できますし。
――ライブの際に、自分でEQをいじってサウンドを調整することは多いのですか?
蒼山 – やりますよ。会場によって、音の聴こえ方や響き具合が違うので、音質を自分で臨機応変に調整できるのはとても便利です。それにRD-88は、ツマミを動かした時に、ディスプレイに数値やグラフが表示されるので、直感的に分かりやすかったです。ピアノの音って、ソロで弾くとすごくいい響きなのに、バンドの中に入ると抜けが悪く感じることがよくあって。そういう時に、演奏しながらツマミ操作できるのは楽ですよね。EQを変えるのでも、ボタンでパチパチと値を変えなきゃいけない場合は、結構大変ですから。
――サウンドのワイド感を調整できる機能も搭載しているので、弾き語りやアコースティック・ライブの時はワイドにサウンドを広げて、バンドの中ではサウンドをややモノラル寄りに狭めることで、音抜けをよくすることもできるんです。
蒼山 – そういう方法でも音の抜け具合を調整できるんですか。面白いですね。
――RD-88はどういうタイプのキーボーディストにオススメのモデルだと思いますか?
蒼山 – 弾き語りをする人にすごくオススメできますし、バンドでも、ピアノがメインという人には、とても使いやすいステージ・ピアノだと思います。自宅、ライブ、どちらでも使いやすそうですね。FA-06やJUNO-DSと同じようにフェイバリット機能もあって、ライブではとても便利だと思います。
――実際に蒼山さんも、ライブでフェイバリット機能をお使いになっていますか?
蒼山 – めちゃくちゃ使います(笑)。ねごとの頃は、1曲に使う音色の数がものすごく多くて、ラスト・ツアーではフェイバリット機能を駆使していました(笑)。バンドでFA-06やJUNO-DSを使っていて、これにプラスして88鍵のピアノも欲しいなっていう人なら、すぐにRD-88も使いこなせると思います。操作方法も分かりやすかったです。
――スピーカーが内蔵されていますが、ライブで使いやすいようにアウトプット端子も装備されていますし、マイク用端子も用意しているので、これ1台とマイクがあれば、弾き語りにも対応できます。
蒼山 – ストリート・ライブができますよね。それってすごい。学生時代に欲しかったです(笑)。88鍵盤のステージ・ピアノって、やっぱり学生さんにとってはハードルが高いものですから。サイズや重たさの面でも、予算面でも。
――学生時代、他にどのようなハードルを感じていましたか?
蒼山 – 操作が分かりやすいかどうかですね。ねごとで私が鍵盤ボーカルを始めた時、最初のシンセを選んだ決め手が、まさに「分かりやすさ」だったんです。だから、「閃光ライオット(注:10代限定のアマチュア・ロックフェスで、ねごとは第1回に出場し審査員特別賞を獲得)」の賞金で機材を買おうという時に、JUNO-Dを選びました(笑)。特に最初の頃って、歌うことと演奏することだけで必死ですから、操作がしやすいということは、楽器の入口としてすごく大事だと思います。もちろん、プロ向けのモデルも「カッコいいな」という憧れはありますけど、バンドを始めたばかりの学生さんだと、なかなかそこまで手が届かないので、RD-88くらいシンプルに使えるステージ・ピアノの方が実用的だと思います。これだけ使いやすいのに音がしっかりしていて、しかも本格的だというのがいいですね。きっと長く使える楽器だと思います。
――88鍵盤ピアノって、あまり頻繁に買い替える楽器ではありませんからね。
蒼山 – そうなんですよ。だからRD-88は、ファースト88鍵盤ピアノにすごくいいと思います。まずこれを買って、弾いていくうちに違うタイプのサウンドが使いたくなれば、RD-88をベースにして、例えば新しいシンセをプラスしていけますよね。私って、実は結構面倒くさがりで(笑)、物を選ぶ時に「どれだけ楽に使えるか」っていうことに重きを置くタイプなんです。そういう意味でも、RD-88は他の機材が必要なくて、これ1台だけで演奏できますし、操作が手軽。そこが魅力的です。このくらいのサイズ感なら自宅にも置きやすくて、パッと練習したい時には内蔵スピーカーで鳴らして、ライブをする時には持ち運んで、ライン出力をPAに送れるので、家でもライブでも使ってみたい、そんなステージ・ピアノだと思いました。
――蒼山さんの近況についても話を聞かせてください。昨年ソロ活動をスタートさせましたが、ねごと時代と、何か気持ち的な変化はありましたか?
蒼山 – 自分で曲を作って、自分が歌うという点では変わらないんですけど、ねごとの頃は、あくまでも「4人で作る音楽だ」という意識が強くあって。なので、自分をそのまま出すというよりは、「ねごとでやると面白いんじゃないか」、「4人でやったらこうなるんじゃないか」って想像をしながら曲を作っていました。それが今は、何をやってもありのままの自分を出すことになるので、音楽の幅を広げられたように感じています。これはソロになって最初のワンマン・ライブの時にMCでも話したことなんですけど、ねごとっぽい曲を作ろうとか、反対に、まったく違うものを作ろうといった意識も全然なくて、とにかく自分の中から素直に出てきたものをソロの第一作にしたいと思ったんです。
――それが、昨年リリースされたソロ初音源のEP『まぼろし』だったんですね。
蒼山 – はい。『まぼろし』には私の素の部分がすごく出ていると思います。同時に、自由になった分、ソロとしてどういうことを歌いたいのかを改めてよく考えるようになりました。ねごとの曲って、夢の中にいるかのような感じが魅力だったので、歌詞に関しても、どこか現実離れしたようなエッセンスを入れていたんです。それがソロになってからは、現実の中で聴いてもらえる曲を歌いたいと思うようになって。『まぼろし』に入っている「ミューズ」という曲は、同世代の、働いている女子の曲を歌いたくて書いた曲なんですね。そういった部分は、ソロになって変わったところかもしれません。
――4月7日にリリースされる新曲「スロウナイト」は、どのようなイメージで作ったのですか?
蒼山 – テレビドラマ『ワカコ酒 Season5』のオープニングテーマなんですが、ドラマの内容が、仕事帰りのOLさんが、ひとりでお酒を飲みにいくという内容で、まさにさっき話したような、生活の一場面に根ざしたものなんです。仕事が終わって、これから解放されるぞってホッする瞬間。それって、誰にでもあるものじゃないですか。私自身、お酒を飲むことも、ごはんを食べにいくことも好きなので、そういったホッとする気持ちになれるテイストの、軽やかでキャッチーな曲にしようと考えて作りました。実は「スロウナイト」って、ソロになって最初に作った曲なんです。
――そうだったんですか!?
蒼山 – ねごとの解散(ラストライブ)が去年の7月20日だったんですけど、オープニングテーマのお話をいただいたのが7月頭で、7月末までに曲を提出するというスケジュールだったんです。
――ものすごくタイトなスケジュールだったんですね。
蒼山 – そうなんです(笑)。でも、7月20日まではねごとに全神経を集中させていたので、ラストライブが終わった瞬間に、「ヤバい!作らないと!」って急いで作った、本当に駆け出しの1曲目で(笑)。まず、アップテンポな曲にしたいと思ったので、テンポ感を決めて、そして明るめのコード進行を考えて。私は、どちらかというと少し暗いというか、切ないコード進行の曲を作りがちなので、この曲は明るいコード感を意識して、そこからメロディを作っていきました。
――GWには、新曲のリリースを記念した東名阪ツアーも予定されていますね。これはどのようなツアーにしたいですか?
蒼山 – EP『まぼろし』をレコーディングしたバンドメンバーと一緒に、バンド編成で回るツアーになります。ソロになって初めてのワンマンも同じメンバーだったんですけど、その時はいい意味での緊張感もありましたし、メンバーも手探りだったというか、どのくらいの感じでやればいいんだろうって私に気を使ってくださった部分もあったと思うんです。そのライブで、私はやっぱりバンドが好きなんだって再確認できたので、次のツアーは、ソロなんですけど、蒼山バンドのグルーヴ感、音の波をしっかりと出せるツアーにしたいなって思っています。蒼山バンドのみんなも、たぶん次は最初からゴリゴリに演奏してくれると思うので(笑)、そこを楽しみにしていて欲しいですね。
――それでは最後に、今後の抱負を。
蒼山 – バンドの時代をひと超えして、今は新しい気持ちというか、肩の力も抜けて、すごく自由に音楽を作れています。EPを作って思ったんですけど、私自身、自分の作る曲にワクワクしたいという気持ちを強く持っているので、その気持ちがある限りは、いろんな形の曲を作っていきたいですし、みなさんには、それを楽しみにしてもらえたらなって思っています。