そして今回新たに導入されたRoland JD-Xiは、自身のソロ曲「Nothung syndrome」や、accessの「Wild Butterfly」など、超高速なBPMの楽曲で登場。シンセならではの上昇音など、新開発のアナログ・エンジンならではの滑らかなピッチ変化、そしてアナログ・シンセとデジタル・シンセ、両方のエンジンを兼ね備えたJD-Xiならではの存在感ある音色で活用されていた。
興味深かったのは、Ableton LiveからJD-XiへMIDI Clockを送っていたこと。DJスタイルであるが故に、そのBPMは楽曲により目まぐるしく変化する。そこでAbleton Liveから常にピッタリ合う同期信号を送ることで、JD-Xiの内蔵シーケンサーを完全にシンクさせ、DJスタイルの中にあってもスムーズに楽曲にマッチさせることに成功していた。まさに、アナログの音とデジタルのシーケンサーにより生み出されるサウンドは、JD-Xiのコンセプト”クロスオーバー”を彷彿させた。
余談だが、Ableton LiveやNative Instruments TRAKTOR PROなどを使ってDJプレイをする際、こうしておけば内蔵のシーケンサーやアルペジエーター、それにBPMと同期するよう設定したLFOなども使い勝手がグッと増すわけだ。しかも、JD-XiはUSBケーブルをMac/PCと接続するだけでMIDIとオーディオの両方の信号を扱うこともできる。ハードウェア・シンセサイザーを導入したいと思っているDJは、是非参考にしてほしい。
1991年デビュー。ソロ・アーティスト、またaccess、Iceman等のユニットとして活動。コンピューターやシンセサイザーを自由に使いこなし、デジタル・メディアへの積極的かつ斬新なアプローチが特に高い評価を受けている。プロデュース活動も多岐に渡り、数多くのアーティストを輩出するほか、テレビ番組のオープニング・テーマや映画・舞台音楽、ゲーム・ミュージックなどを手がけるなど、柔軟で幅広い活動を展開している。