【インタビュー】FLiP

リアルな人間な感情の起伏を私たちの感性で混ぜ合わせることで、FLiPの音楽や歌詞が生まれてくるんです

FLip
“愛”と”毒性”がカオスする、彼女たちならではの世界観を見事に表現した3rdアルバム『LOVE TOXiCiTY』を完成させたFLiP。全曲セルフ・プロデュースにより制作が行われた新譜に潜む、エモーショナルなサウンドと、テクニカルなプレイの深層心理について4人に紐解いてもらうと共に、ローランド/ボスの最新アイテムを試奏してもらった。
バンドの根本に向き合うこと、つまり、FLiPの本質をさらけ出すという気持ちを4人で共有しながらアルバムを作った
─ 新譜『LOVE TOXiCiTY』は、どのようなイメージで制作を進めていったのですか?

Sachiko:FLiPは、これまでの作品も「こういうアルバムを作ろう」とジャンル的なテーマを掲げたことはないんです。今回もそこは変わらずに、その時々で「私たちは、どういう音楽が作りたいのか」っていうことを考えながら曲を作っていったので、その都度、鳴らしたい音のニュアンスが変わってくるんです。だから、サウンド的なテーマはありませんでしたけど、精神的な部分では、”原点回帰”がテーマでした。前作(『XX emotion』)は、半分がいしわたり淳治さんにプロデュースしていただいて、半分はセルフ・プロデュースという形で作ったんですが、その制作を踏まえて、私たちがやりたいことが見えてきたんですよ。

─ その「見えてきたもの」というのは?

Sachiko:FLiPがこれからステップ・アップしていくためには、ただ前に進んでいくだけではなく、一度このタイミングで初心に立ち返って、自分たちの音と向き合うことがすごく大切になるということです。バンドを結成した頃、歌詞に想いを込めて書いていた感覚であったり、どういうライブがしたいのか、FLiPの音でどういう空間を作りたいのか。そういった、バンドの根本に向き合うこと、それはつまり、FLiPの本質をさらけ出すという気持ちを4人で共有しながら、アルバムを作っていきました。

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▲Sachiko(Vo/Gt)

─ では、曲作り自体も、これまで通りセッションを基本に作っていったのですか?

Sachiko:そうです。私が弾き語りで作った曲を、バンドで方向性を定めて、セッションしながら作っていくというのが、FLiPのスタンダードな曲作りです。それ以外だと、例えばリフから作っていくとか、メロディも何もない状態からオケ優先でセッションしながら形にしていく場合と、軽く各パートのフレーズをスケッチして、それを土台に楽曲へとブラッシュ・アップさせていくような時もあります。

─ 例えば、「カミングアウト」は、どのパターンで生まれた曲なのですか?

Sachiko:この曲は、セッションをしつつ、同時進行でメロディも作っていきました。まず頭の中に、「こういう曲を作りたい」っていうイメージが最初にあったので、参考になるビートをYuumiに聴いてもらって、その上に乗ってくるサウンド感をみんなで共有しながら作っていきました。そうやって、セッションで組み立てていった曲に対して、即興でメロディを作っていったんです。

─ 「こういう曲」というのは、どういったイメージだったのですか?

Sachiko:迫り来る曲が作りたかったんです。ただ、その”迫り来る感じ”というのは、音圧ではなくて、精神的なもの。精神に襲いかかってくる迫力のある曲が欲しかったんです。だから、何か特別にトリッキーだったり、激しい展開があるわけではないんですが、「私はこの曲にメッセージを乗せたいんだ」っていう気持ちがとても強くて、最初から、これはFLiPのスタンダード曲になるんだろうなっていう予感がありました。そういった”熱”であったり、FLiPらしいザラッとした質感や重みがあって、でもそれは、女にしか出せない味で包み込まれているような曲。それをイメージしながら、「カミングアウト」を作っていきました。

─ Yuumiさんは、Sachikoさんが提示してきたイメージに対して、どのようにリズムを構築していったのですか?

Yuumi:まず参考のビートを聴いてイメージを作りつつ、Sachikoがセッションしながら出してきたコードやメロディにハマりそうなフレーズを提案したりして。そういったやり取りをしている時点で、曲が持つ狂気や鋭さを強く感じたんです。歌詞がない状態でも、既にSachikoが叫んでいる感覚が伝わってきて。だから、イメージしやすかったですし、歌詞が完成して、風景描写がさらに鮮明になっていったという感じでした。

Sayaka:ベースは、今までだとルートを基本にして、ちょっとオカズを入れるっていうシンプルなベース・ラインを作ってきたんですけど、今回のアルバムは、”挑戦したい”という気持ちがすごく強かったんです。だから、「カミングアウト」のベースに関しても、今まで弾いたことのないフレーズを取り入れたくて。もしベースが、これまでのような”どストレート”なラインを弾いていたら、また違った雰囲気の曲になったと思います。

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▲Sayaka(Bs)

Sachiko:この曲のベースには、妖艶さがあるよね。

Sayaka:そういう感じも出したいなって思っていて。Aメロでは、ベースはかなり動いているんですけど、サビやインターでは、”ドーン”とストレートに疾走感を出せるように、その落差やバランスを考えながら作りました。

Sachiko:そのバランスも、セルフ・プロデュースだからこそ、これまで以上に意識できたんだと思います。例えば、「Yukoだったら、このメロディにどういうフレーズを乗せてくるかな?」とか、プレイヤーとしてもお互いに尊重し合いながら、ディスカッションも、これまで以上に多くできたと思っています。

Yuko:ギターであれば、例えば「a will」のベース・ラインを聴いた時は、「(ギターは)あまり弾かなくていいな」って思ったり。この曲は、ベース・ソロくらいの勢いで聴かせる曲にした方がカッコいいとか、そういうバランスは無意識に考えられましたね。「カミングアウト」に関しては、これまで私はストレートなプレイをすることが多かったんですが、そのスタイルのままこの曲を弾いたら、あまりにストレート過ぎてフックのないサウンドになると思ったんです。それで、イントロのフレーズなどは、かなり時間をかけて練り直しました。今回のアルバムを通して、私は”半音使い”が増えたんですよ。「カミングアウト」でも、半音使いをバンバン出すようにして。このくらい思い切ってやった方が、聴いていて”よい違和感”が出せると思ったんです。そうやって、ギター・アレンジを考えていきました。

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▲Yuko(Gt)

─ 楽曲の展開が大きい、いい意味での”アンバランス感”と、4人の個性の”バランス感”、そこの絶妙な組み合わせが、FLiPサウンドの大きな魅力ですよね。

Sachiko:FLiPの世界観としては、きれいさだけじゃ物足りないし、狂気だけじゃ怖過ぎる。そのバランスは、すごく大切にしています。だから、荒れ狂うところは荒れ狂うし、だけどその中に優しさがあったりすることで、人間味を出せるんだと思っているんです。人の感情の起伏も、そうじゃないですか。毎日怒ってばっかりじゃ疲れるけど、その感情の中に、一瞬、穏やかなシーンがあったり。そういうリアルな人間な感情の起伏みたいなもの、もっと極端に言えば、きれいな景色と、刺激のある狂気的なものが澱んだ景色を私たちの感性の中で混ぜ合わせることで、FLiPの音楽や歌詞が生まれてくるんです。そのバランスは、ずっと大切にしてきましたし、今回は、これまで以上に、そこを意識しました。

「カミングアウト」の歌詞ができたからこそ、アルバム・タイトルも生まれて、愛や毒性のバランスが取れたアルバムに仕上げられた
─ 今回の収録曲の中で、プレイヤー的に何か新しいチャレンジはありましたか?

Sayaka:ベースで一番チャレンジした曲は、さっきYukoが言っていた「a will」です。最初はシンプルにまとめていたんですが、もっと奥の深い曲にしたかったし、Sachikoのメロディからも壮大さをイメージしていたので、この曲だけ唯一、チューニングをドロップDにしたんです。半音下げにして、ベースにしか出せない低い音で奥深さを表現したり、うねるフレーズを考えました。

Sachiko:プリプロの時点では、ほぼ8ビートの、UKっぽいシンプルなバラードっていう感じだったんですよ。でも、ベースが上モノの世界観を引き出すような土台を作ってくれて、さらに臨場感のある動きをしてくれたので、作曲時のイメージはそのままに、より曲の方向性を深めてくれました。

Yuko:私は楽器面で、ボスのスライサーSL-20を「Dear Miss Mirror」のAメロで初めて使ってみました。最初はグランジっぽい曲を作りたいねって話をしていたんですけど、でもそこにポップな要素も加えたくて、それだったら、スライサーのエレクトロな感じが合うんじゃないかと思ったんです。

Sachiko:使っているコードが、最初から最後まで、ほぼ同じな曲なんです。ルートがほとんど変わらない分、ギターの動きと音圧の影のつけ方で、うねりを生み出そうと考えました。Yukoがスライサーを使ったことで、その感じもうまく出せたし、セクションごとの落差も表現できましたね。

─ ドラムでポイントとなった曲は?

Yuumi:「カミングアウト」は、歌がない部分でかなり叩きまくっているんです。「いいのかな? 大丈夫かな?」と思いつつ(笑)、でもこの曲の破壊力を表現するには、ここでドラムが遠慮したら飛び抜けた曲にはならないと考えて。仕上がりを聴いて、やっぱり思い切り叩いてよかったなって思っています。あとは、アルバム・ラストの「Bat Boy! Bat Girl」。これは私のツインペダル・デビュー曲なんです!

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▲Yuumi(Dr)

─ ツインペダルのプレイは、この曲が初挑戦?

Yuumi:今までも持っていたんですけど、FLiPでは、なかなか合う曲がなくて。でも、そろそろ使いたいなと思っていて、そのタイミングと、この曲の雰囲気が上手くマッチしました。

─ かなりラウドなビートですよね。

Yuumi:はい。ただ、女の子っぽくならないようには、ならないように気をつけました。

─ えっと、それは……「男っぽくならないように」っていう意味ですか?

Yuumi:ああ、そうです!(一同爆笑) でも、一度は「女の子っぽくならないように」という部分も、通過しているんですよ。男らしさを出さないと、ツインペダルはカッコよくないと思って。でも、それをやったうえで、「ちゃんと女性らしさも残さないと」っていうことを意識しながら、プレイしました。

─ Sachikoさんは、曲作りやギター・プレイ、そして歌詞にボーカルと、いろんな視点があると思いますが、その中でも特に、「この曲でアルバムも方向性が決まった」というような曲はありましたか?

Sachiko:それはもう、「カミングアウト」ですよ。アルバムの収録曲の中で、最初に歌詞を書いた曲なんです。オケを作っている時から、「カミングアウト」をリード曲にしたいと考えていましたし、最初に歌詞を書くなら、やっぱりこの曲だろうって思ってました。その気持ちは、メンバー全員で共有できていたし、だからこそ、この曲の中に自分らしい狂気をどうぶちまけるか、だけどその中に、愛らしさも欲しいとか、楽曲のスリリングさを歌詞でより増幅できるように、すごく考えて歌詞を書いたんです。「カミングアウト」の歌詞ができたからこそ、この曲を軸に、他の曲をどう広げていくかを考えられたし、『LOVE TOXiCiTY』っていうアルバム・タイトルも生まれて、愛や毒性のバランスが取れたアルバムに仕上げられたと思っています。

─ そのアルバムを持って、7月から全国ツアー『LOVE THE TOXiC CiTY』が始まりますが、今回みなさんには、ライブでの使用も想定しながら、いろいろなローランド/ボスの最新アイテムを試奏していただきました。その感想を聞かせてください。まずSayakaさんですが、普段から、ベースにはフランジャーや歪みを使っているそうですね。

Sayaka:はい。フランジャーは、視界を少し”グワーッン”とゆがませたいような時に、ベースにかけています。例えば「カザーナ」という曲のインター部分だとか、カオス感を出したい時に踏みますね。ボスのフランジャーBF-3は、音がキラキラしていて、私が持っているタイプとは、まったくニュアンスが違いました。ベース・オーバードライブODB-3の歪みは、まろやかというか、きめが細かくて、粒立ちがいい歪みというイメージ。私の印象では、クランチ的な感じで、いろんな用途で使いやすそうに感じました。ここぞという時に、単体で強く歪ませてもカッコよさそうですし、軽く歪ませてベース・サウンドの土台を作ると、ボトムをしっかり支えられそうに思いました。

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─ YukoさんにはボスGT-100を試していただきましたが、これまでにマルチ・エフェクターを使った経験は?

Yuko:高校生の頃に使っていましたが、その時以来で、あまりに進化しすぎていて、驚きました(笑)。エフェクトだけじゃなくて、モデリング・アンプも入っているじゃないですか。試してみたいと思うアンプ・タイプがすべて入っていましたし、エフェクトも、ちょうど最近、ファズやトレモロが欲しいなと思っていたんですが、それらがいろんなバリエーションで入っていて、とても便利ですね。使い方も、一度覚えてしまえば、操作は全然楽でしたよ。

─ ライブで使うとすると、どんな風に活用してみたいですか?

Yuko:よくレコーディングでは、ギターを2本重ねてダブルにしているんですが、ライブで再現する場合、今まではディレイを使って重ねていたんです。でもGT-100があれば、アンプ・タイプを同時に2台使えるので、ステレオでダブルが再現できますよね。あと、先ほど「Dear Miss Mirror」でスライサーを使ったって言いましたけど、レコーディングでは、スライサーを踏みながらオクターブ上げるプレイをしているんですよ。それがGT-100だと、ピッチをオクターブ上げるのに、エクスプレッション・ペダルではなく、タイムを設定してフットスイッチを踏むだけで上げられるので、これはすごく便利。しかも内蔵のスライサーが、必ずフレーズの頭から音をスライスしてくれるので、これは素晴らしいと思いました。GT-100を使うことで、いろんな新しい音作りやプレイに挑戦できそうですね。

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DA-2の歪みはすごくハイファイ。アッパーな曲のサビをブーストしたい時や、”ここぞ!”という時にギターを押し出してくれる
─ Sachikoさんにもボス・コンパクトを試していただきましたが、気に入ったエフェクターはありましたか?

Sachiko:アダプティブ・ディストーションDA-2が、すごくいいです。めちゃくちゃ好きな歪みなので、実はもう、ライブで使っているんです。

─ どういう点が気に入りましたか?

Sachiko:これまでの一般的な歪みと比べて、すごくハイファイに感じました。例えば、ボスのブルース・ドライバーBD-2って、丸みのある歪みで、名前の通りにブルース的な、ちょっと土臭い音色じゃないですか。もちろん、それがブルース・ドライバーの持ち味だと思うんですけど、それとはまったくタイプの違う歪み。[A-DIST]ツマミでの歪みのコントロールも万能ですし、EQで[HI]と[LOW]がいじれるのもいいですね。音圧を出したい時に、普通は中域が強調されて”ミーッ”っていう音色の歪みになる印象があるんですが、これは高域をガツッと持ち上げられますし、ボトムもしっかり鳴ってくれます。だから、音の壁をすごく作りやすくて、アッパーな曲のサビをブーストしたい時とか、”ここぞ!”という時に、ギターを押し出してくれます。バッキング用のディストーションとして、すごくいいんじゃないかな。主張は強いけど、他のパートの邪魔はしません。レコーディングでは使っていないんですが、最近のライブでは、「Dear Miss Mirror」のサビなどで使っています。あとライブだと、デジタル・ディレイDD-7も使っています。これって、ペダルの長押しでタップに切り替えられるのがすごく便利。私はアナログ・モードで使っているんですが、ディレイ音の立ち上がりがすごくよくて、粘っこい感じではなく、サラッとしたキラキラ感があるので、繊細な曲にピッタリなディレイだと思います。

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─ フィードバッカー/ブースターFB-2はいかがでしたか?

Sachiko:私だったら、ブースターとして使うかな? エフェクターって、ツマミが多すぎると分かりづらいですが、3~4個のツマミで簡単にサウンドがコントロールできると、初心者でも理解しやすいですよね。ボスのコンパクト・エフェクターって、だからこそ使いやすいと思うし、ギタリストやベーシストがみんな持っている意味が、改めて分かりました。あと、オーバードライブOD-3は、実は高校時代に持っていて、一度手放したんですけど、今回改めて使ってみたら、この個性がよく分かりました。私は、ズンズンと歪ませるよりもクランチ的に使うんですけど、先ほどのDA-2とは真逆な存在で、どんなシーンでもバッキングを支えてくれそうな音色だと思います。一度離れちゃったOD-3ですけど、久しぶりに会ったら、実はなかなかイイ奴だった、みたいな感覚でしたね(笑)。

─ (笑)。最後にYuumiさんには、ステージ仕様のV-Drums TD-30KV-Sをプレイしていただきましたが、どのような部分に魅力を感じましたか?

Yuumi:本来ドラムって、とてもアナログというか、自分で音を作っていくしかない楽器だと思っていて、チューニングにしても、音色選びにしても、すごく時間のかかる楽器なんです。でも、V-Drumsを使えば、そういった作業にかかる時間を大幅に短縮できるというのは、大きなメリットですよね。普段、ドラムの練習でスタジオを1時間使うとしても、その時間内で試せることって、本当に少ないんです。でもV-Drumsなら、1時間あればいろんなことが試せるから、まずそこがすごいと思いました。サウンドに関しても、私が知らなかったような音色や、FLiPではこれまで使う機会がなかった楽器の音とか、エフェクティブな音までいろいろと入っているじゃないですか。そういう音色を聴くことで、「この音なら、こういうフィルが合うかも」っていう新しい発想が生まれてきて、プレイ自体の幅が広がりますね。正直に言うと、実際にV-Drumsを触ってみるまで、ただ単に音色をいろいろと切り替えられるだけだと思っていたんですよ。でも、ヘッドのテンションを変えたらスティックの跳ね返り具合も変わりますし、音の反応もすごく速くて、力の入れ具合でゴーストだとかのニュアンスも細かく表現できるので、本当にビックリしました。

─ ドラムのサウンド・メイクって、マイキングやPAでの調整など、なかなかドラマーは手が出せない要素が多いんですよね。でもV-Drumsなら、そこまでドラマー自身が作り込むこともできるんです。

Yuumi:演奏ニュアンスにしても音色にしても、レコーディングでは、最高の仕上がりをCDにしていますが、それをライブで再現するのって、やっぱり難しいんです。でもV-Drumsだったら、ライブでもレコーディングと同じ音で演奏できますし、自分が追求したい細かな部分まで追い込んでいけるのが、すごくいいなと思いました。しかも、音がすごくクリアで、アンビエンス成分まで調整できるじゃないですか。ライブの演奏を音源本体で録音して、それを再生して聴いてみたら、CDみたいな音で本当に驚きました。

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Sachiko:ライブでの音作りという意味だと、ボスのボーカル・プロセッサーVE-20も面白いですよね。最近はこれを試していて、ラジオ・ボイスとディレイの2パターンを、自分のタイミングで足元でかけるようにしているんです。普段、こういったボーカル用のエフェクトって、PAさんにお願いしないとかけられなかったじゃないですか。それを感覚的に、歌いながら自分で操作できるので、声を、より楽器的に使える感覚になりました。エフェクトの種類もたくさん内蔵されていますし、本当に声で遊べますね。

─ では最後に、こういった最新アイテムを使いつつ、バンドで「カミングアウト」をコピーする際のアドバイスをお願いします。

Yuumi:ドラムは”タイトさ”です。セクションごとに緩急の差をつけたり、キメをしっかりと決めることで、次の展開にスムーズに入れます。そのためには、音符の長さを意識してタイトに演奏すれば、自然とカッコいいニュアンスが出せるようになると思います。

Sayaka:ベースも、Aメロ、Bメロ、サビで、演奏のニュアンスを変えているんです。Aメロは、少しうねり感を出して、ひとつひとつの音がつながるように、スムーズに弾くことを心がけています。Bメロは優しさを表現して、サビでは勢いを出すためにずっとダウン・ピッキング。こうやって、セクションごとにメリハリを出すことが大切ですね。

Yuko:ギターも同じで、イントロは、音をつなげる部分はつなげる、切るところは切る、それをしっかりやるように気を付けています。ただ、セクションごとに展開が大きく違うんですけど、それがツギハギっぽくならないように、滑らかに切り替えられるように演奏してもらうといいと思います。細かい部分だと、1Aはドラムにアクセントを合わせて、2Aはベースに絡んで、サビはみんなで同じアクセントを出す。そこで、いかに4人で一体感を出せるかが、この曲では重要です。

Sachiko:私のギター・パートをコピーする際は、ドラムの8ビート感にタイトに合わせながら、バッキングをしっかり弾くことに意識を置くといいと思います。Aメロでは、歌いながらカッティングをしたり、単音弾きをしているので、そこで出すところは出す、切るところは切るというミュートのメリハリをしっかりと出す。そのうえで、流れていくメロディをしっかりと歌うことがポイントです。その時に力み過ぎると、音域的にも歌が窮屈なものになってしまいがちなので、どれだけのびのびと声を出せるかも、「カミングアウト」を演奏する際の大切な要素です。バンドをやっている人だったら、7月から始まるツアーで、そういった部分もぜひ観てください!

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製品紹介
強烈な効果のULTRAモードを搭載した最新鋭フランジャー
Flanger BF-3
先進のCOSMアンプを搭載したボスGTシリーズ最高峰モデル
COSM Amp Effects Processor GT-100
従来のディストーションとは一線を画す「MDP」を搭載した最新歪みエフェクター
Adaptive Distortion DA-2
すべてにおいてステージ仕様を極めたV-Drumsハイエンド・モデル
V-Pro Series TD-30KV-S
INFORMATION
CD:『LOVE TOXiCiTY』
初回限定盤 DFCL-2014~5 ¥3,200
PROFILE
FLiP
2005年に沖縄県那覇市で結成。地元のライブハウスで精力的なライブを展開し、2008年6月に1stミニ・アルバム『母から生まれた捻くれの唄』をリリース。同年8月には「SUMMER SONIC 08」、2009年3月にはアメリカ・テキサスで開催された「SXSW 2009」に出演し、2010年2月、いしわたり淳治プロデュースのミニ・アルバム『DEAR GIRLS』でメジャー・デビュー。ガールズバンドの枠を超えたエネルギッシュなサウンドで高い評価を受け、2013年6月、初の全曲セルフ・プロデュースとなる3rdアルバム『LOVE TOXiCiTY』をリリースした。

オフィシャル・サイト:
http://www.flip-4.com/
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