V-Drums Promising Youth Vol.02 HAL

V-Drums Promising Youth Vol.02 MAKE MY DAY HAL 音楽を楽しむ手段がネットを軸としたメディアに移行しつつある今、アーティストの活動スタイルも以前に比べて大きく変化している。そこ […]

V-Drums

Promising Youth

Vol.02

MAKE MY DAY

HAL

音楽を楽しむ手段がネットを軸としたメディアに移行しつつある今、アーティストの活動スタイルも以前に比べて大きく変化している。そこで今回は“V-Drums Promising Youth”と題し、いわゆるサブスク世代の注目ドラマーをピックアップ。ドラムを始めたいきさつから、現在活動する上で意識していることなどを聞いていく。第二弾となる今回は、ラウド・ロック・バンド『MAKE MY DAY』のドラマー、HALに話を聞いた。ドラマーの座がなかなか安定しなかったMAKE MY DAYに、2017年、当時18歳だった彼が加入したことで、バンドの勢いは一気に加速。そして2020年、久々のフル・アルバムをリリースすることになった。HAL個人もYouTubeのチャンネルに数々のドラム・カバー動画をアップしており、そのクオリティの高さは折り紙つき。まさに新世代と呼ぶに相応しい彼のルーツ、そして現代の若者ならではの活動に迫る。

V-Drumsの録音機能を使って、自分のプレイを聴き返しながら練習していました

ドラムを始めたきっかけを教えてください。

母がX JAPANのファンで、僕が小学生の頃に何度もライブに連れて行ってもらっていたんです。それでYOSHIKIさんに憧れを持って、自分もドラムをやりたいと思いました。ちょうどその頃、テレビ番組のキッズドラマー紹介企画でKenT君とかが叩いているのを見て、カッコいいなと思ったというのもあります。それでドラムを習いたいと思っていたら、ちょうど家の近所にドラム教室がオープンして、これはもう行くしかない!と。それが小学4年生、10歳の頃です。

初めてドラムを叩いたときの感覚を覚えていますか?

はっきり覚えています。まず、手足が同時に動いてしまって、どうやったら先生のように叩けるのか悪戦苦闘しました。ドラムの音も、CDで聴いていた力強い音とは全然違って弱々しい音にしかならなくて、自分でいろいろ工夫しながら練習していましたね。それで、家でも叩きたいからV-Drumsを買ってほしいと母にずっと言っていたんですけど、小学生なのでそう簡単には買ってもらえないじゃないですか。そうしたら、ドラムの先生が「ぜひ買ってあげてください」と後押ししてくれて、それで買ってもらえたんです。

以前の動画にも登場しているTD-9ですね。

そうです。今はTD-50を使っていますけど、最初はTD-9でしたね。8年間くらい使ったと思います。いきなり良い音がして、最高でした。ドラム教室ではアコースティック・ドラムを叩いて、家ではV-Drumsをという感じで、両方を半々くらいで叩いていました。

V-Drumsで練習して良かったと思うことは?

シンプルですけど、クリックを鳴らしながら練習できるところですね。しかもそれを録音して、自分で聴き返して、どこがブレてるかをチェックしながら、次はこうしようっていう感じで練習していく。そうすると、だんだん良くなっていくのが音でわかるんですよね。そういう練習は今も続けています。さらに、今は練習するときの動画も撮っていて、フォームも一緒にチェックしています。スティックの軌道がきれいなドラマーは、音もいいんですよね。

ラウド・ロックに興味を持つようになったのは?

小学6年生の頃、近所のCDショップでAvenged Sevenfoldのアルバムをジャケ買いしたのがきっかけです。当時ドクロが好きで、ジャケットがドクロのデザインだったから衝動的に買ったんですけど、聴いたらどハマりして。2010年のLOUD PARKで来日したときには母と観に行って、家族みんなで好きになりました。でも、学校の友達はトレーディングカードとかゲームに夢中で、中学生になっても音楽の話ができる友達は全然いませんでしたね(笑)。

ドラムのフレーズや動きを活かした動画を、いろんな仲間たちに助けてもらって作っています

YouTubeにドラム動画を投稿するようになったきっかけは?

ドラムを始めた頃からYouTubeはずっと観ていたんですけど、僕は特に海外のドラマーが大好きなんです。海外ドラマーの動画は映像もきれいで、撮影も凝ったものが多かったので、それを真似したいと思って、中学生の頃にカメラとかを揃えて動画を作るようになりました。最初は録音ソフトも持っていなかったので、V-Drumsから直でカメラに入力していましたね。それでドラムの音が大きすぎたら、また調整して何回もやり直すみたいな感じでした。

初期の動画では撮影者が映り込んでいたりしますね。

あれは地元の友達で(笑)、高校時代にやっていたバンドのボーカルやマネージャーなんですけど、僕のためにカメラを買ってくれたりしたんです。よく見ると、フードを被ってミキサーをいじってる人も映っていたりして。そんなふうに、みんなに手伝ってもらいながら作っています。

近年の動画は、特にカメラ・ワークが
ドラムのフレーズや動きにバッチリ合っていて素晴らしいです。

ありがとうございます。カメラはずっと同じ友達が撮ってくれていて、今は地元の群馬から東京に引っ越してきて僕の近所に住んでいるんです。動画を撮る前日に曲を送ると、前もってフレーズを覚えて準備してきてくれて、シンバルを叩く動きに合わせてカメラを振ったりとか。最高のコンビネーションですね。あと意識しているのは、魚眼レンズを使うところです。ドラムも近くなるし、動きも大きく見えますから。

1本の動画を作るのにどれくらい時間をかけていますか?

動画にもよりますけど、友達を家に呼んで撮ってもらっているのは2時間くらいですね。撮って、編集してという流れを一気にやってしまう感じです。まるりとりゅうが(2018年から活動している男女ポップ・ユニット)さんの曲を海で叩いた動画はずいぶん時間がかかりましたけど。あれは父にも手伝ってもらって、車を借りてドラム・セットを海まで持って行って。

音は別録りですよね?

そうです。V-Drumsで録って、それを聴きながら叩いて撮影しています。スタジオで生ドラムを叩いている動画も同じやり方で、ミックスはうちのバンドのJulian(gt、vo)がやってくれています。だから本当に、いろんな仲間に助けてもらって動画を作っているんですよね。

好きなドラマーのプレイに寄っていくところから自分のオリジナルなスタイルを作れたら

YouTubeでHALさんの存在を知った人も多いと思います。
そんなふうに、今はネットを使って発信することがミュージシャンにとって
重要になっていますが、そのあたりはどのように意識していますか?

僕は洋楽のEDMとかヒップホップとか、イケイケな感じの音楽が好きなんですけど、動画でそういうのをやっても再生数は伸びないんです。だから今は邦楽のランキングを調べて人気のある曲をカバーするようにしていて、より多くのファンをつけてから、自分の好きなものをやろうという考えでやっています。Instagramだったら、最も検索されるタグをつけるようにするとか。それで、僕のドラム動画からライブに足を運んでくれる人はとてつもなく多いです。ラウド・ロックに興味がない人たちがたくさん来てくれて、来たらハマってくれる。だから入り口はなんでもいいんだなと思います。

それまで自分があまり聴いてこなかったような曲をカバーすることで、
ドラマーとしての新たな発見もあったりしますか?

めちゃめちゃありますね。僕はほんとに邦楽を聴かないので、日本のラウド・ロックのバンドも全然知らなかったんです。でも、そういうのも友達に勧められてカバーすると、それぞれのバンドのドラマーさんのクセとかも身について、自分のものにできる。あと、まるりとりゅうがさんのポップな曲にゴリゴリのフレーズを入れて、ちょっと変わった感じに聴こえるようにしてみたりとか。やっぱりカバーは大事だなと思いますね。

先ほどEDMやヒップホップが好きという話が出ましたが、動画を観ていても
HALさんのドラムにはそういった音楽からの影響を強く感じます。

僕はMatt McGuireというドラマーがずっと好きなんですけど、彼はダブステップとかの曲をリミックスしたトラックにドラムを乗せるという動画をずっと上げていて、初めて観たときからどハマりしたんです。それを真似しているうちに、自分もそういうプレイスタイルになっていきました。そもそも僕は真似が得意で(笑)、このドラマーが好き!ってなったら、どんどんその人に寄っていっちゃうんです。そこから自分のオリジナルなスタイルが作れたらいいなって考えています。

今は主にTD-50を使った動画をアップしていますが、使い方のポイントは?

スネアとかタムは、バンドで使っているドラムのワンショット・サンプルを取り込んで叩いています。シンバルは全部TD-50の音色で、口径を変えてハイトーンを強めにしたり、厚さを変えたり、そこはけっこう念入りに調整しながら使っています。

シンバルの音を変えるだけでも、セット全体の聴こえ方が変わりますからね。

そうなんです。すごく変わりますね。だからシンバルはとても重要です。

アコースティック・ドラムでしかできない
表現にV-Drumsが合わさったら最高ですね

2017年からはMAKE MY DAYのメンバーとして活動していますが、
バンドの一員になったことで意識の変化はありましたか?

もう全然違いますね。自分がちゃんとしないとバンドも良くならないという責任感が生まれました。バンドの中でドラムって一番重要だと思うので、僕がブレたらメンバーもブレてしまう。そして、バンドをやるということはドラムが上手くなるということにつながると思うんです。

もともと高校生のときに、MAKE MY DAYの前身バンドのカバーを
していたそうですね。つまり、好きだったバンドに加入したという。

MAKE MY DAYに入ったきっかけは、彼らがSNSでドラマーを募集しているのを友達に教えてもらって、高校3年のときに応募したんです。最初はなかなか返事をもらえなかったんですけど、諦めずにカバー動画を送り続けていたら、1年くらい経ってやっと連絡が来て、リハーサル・スタジオに入ることになりました。そこでテストみたいなのを出されて……3日間で7曲覚えてきてほしいと言われたんです。どうしよう!って思ったんですけど、当時住んでいたアパートが電子ドラム可の部屋だったので、V-Drumsで練習できて、おかげでテストにも合格しました。V-Drumsがあって良かったなと、本当に思いましたね。

ドラムを始めた頃の話もそうですが、
人生のいろんな節目にV-Drumsが関わっているんですね。

そうなんです。ドラム動画の話に戻るんですけど、アコースティック・ドラムで同じことをやろうとしたら、全部マイクで録ってミックスして、エンジニアさんも必要だったりして、すごく大変だと思うんです。それを、より簡単にやれているのは、やっぱりV-Drumsのおかげです。

そんなふうに加入したMAKE MY DAYは、HALさんが入ったことで久しぶりのフル・アルバムをリリースするそうですね。
ドラムはどのようにレコーディングしたのですか?

MAKE MY DAYの音源は、実はアコースティック・ドラムを使っていないんです。Julianが全ての曲を作っているんですけど、彼から基になる音源を送ってもらって、僕がV-DrumsでMIDIレコーディングしたデータを返し、それをさらに音色やフレーズをいじって完成させています。MIDIなので向こうの作業もすごく楽ですよね。そうやって出来上がったものを聴くと、自分が叩いたフレーズが最終的にこういう聴こえ方をするんだという新鮮な驚きもあります。

やはりV-Drumsが活躍しているんですね。

そうです。もう僕はV-Drumsなしでは生きられません(笑)。

ドラムを始めた頃からV-Drumsがあって、アコースティック・ドラムと併用している感覚は、今のドラマーならではのものだと思いますが、そのあたりは自分でどう感じますか?

電子ドラムで練習すると、強弱がつけられなくなるから下手になるよっていう人もいます。でも、今のTD-50はアコースティック・ドラムのように強弱を表現できるので、もう生でも電子でも関係ないなって思います。練習以外でも、例えばクラブとかで叩くときもそれに合わせた音色を使えたりするし。今は、アコースティック・ドラムにV-Drumsを組み込むことで、coldrainのKatsumaさんみたいに、僕の好きなイケイケの音楽を鳴らすことに興味があります。

V-Drumsだけでもいろんな音を出せますが、
アコースティック・ドラムと組み合わせることに意味がある?

そう思います。やっぱりアコースティック・ドラムには長い歴史があるし、叩けば鳴るみたいな素直さがある。ドラマーだったら、アコースティック・ドラムでしかできない表現というものをわかっていた方が絶対にいいし、そこにV-Drumsが合わさったら最高なんじゃないかなって僕は思います。

では、これからドラムを始めたいと思っている人や、HALさんの動画を観て
ドラマーに憧れている人に向けて何か一言お願いできますか?

僕は、ドラムに出会うまですごくやんちゃな悪ガキだったんです。ずっと家でゲームしたり悪さをしているような子供だったのが、ドラムに出会ったことで、家に帰ったらまずYouTubeでドラムのカバー動画を観て練習するようになって、母もすごく喜んでいました。そんなふうに夢中になれるものができたことで、人生が180度変わったんです。体を動かす楽器だからスポーツの要素もあるし、ストレス発散にもなる。けっこう健康的なんだよってことも伝えたいですね。

HALさんのキャリアは、まさにドラムで
人生が変わったというのを体現していますね。

本当にそうです。それに、ドラムって一生やれるものなんですよね。おじいちゃんになってもできる。楽しみがずーっと先まであるのも、ドラムの良いところですね。

PROFILE

HAL (MAKE MY DAY)

生年月日 / 1999年3月4日

MAKE MY DAY リリース / ツアー情報

最新アルバム 『MIND HAVEN』 <2020.01.29 RELEASE>

リードトラック『Mind Haven』オフィシャル・ミュージックビデオ

https://www.youtube.com/watch?v=t13f3FZrws8

リリースツアー『MIND HAVEN TOUR』

チケット購入→ https://eplus.jp/mmd/

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