【SUPPORT】皆さまのリクエストにお応えします!~ギター・シンセサイザー編~

皆さまからの様々なリクエストにお応えするべく、今回はギター・シンセサイザーの歴史や仕組みについてご紹介いたします。

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こんにちは。ローランドサポート窓口の WEB 担当がお送りするローランド・ブログ「サポートカテゴリー」です。皆さまからの様々なリクエストにお応えするべく、今回はギター・シンセサイザーの歴史や仕組みについてご紹介いたします。ぜひご覧ください!!


ローランドのギター・シンセサイザーの歴史

ギター・シンセサイザーとは、鍵盤の代わりにギターを使ってシンセサイザーを演奏する製品です。
ローランドのギター・シンセサイザーは 40 年以上にわたって進化を続けていて、シンセサイザーを演奏できるだけにとどまらない、独自の機能や多彩な音色を備えています。

まずはその歴史と進化の過程を見ていきましょう!

■ 初期のギター・シンセサイザー

初期のギター・シンセサイザーはアナログ・シンセサイザー音源で、専用のギター型コントローラーとセットで使うものでした。

最初のギター・シンセサイザー GR-500 のリリースは、なんと 1977 年!専用のギター型コントローラー GS-500 で演奏します。
音源はモノフォニック・シンセサイザーで、単音での演奏ができました。

1980 年にはギター・シンセサイザー GR-300 と、専用のギター型コントローラー 4 機種(G-303/G-808/G-202/G-505)が登場。各弦独立で発音するポリフォニック仕様になり、和音でも演奏できるようになりました。

同年には初のベース用の GR-33B とコントローラー G-33G-88 もリリースされています。

1984 年にはギター・シンセサイザー GR-700 とコントローラー G-707、翌年にはベース用の GR-77B とコントローラー G-77 が登場。

音源はアナログ・シンセサイザーですが、後継の GR シリーズと同じく弦振動をデジタル信号に変換してシンセサイザーを制御する方式が採用されています。ローランド初の MIDI 対応ギター・シンセサイザーでもあり、演奏情報を外部の MIDI 対応機器へ送信することもできるようになりました。

コントローラーの G-707 は、スタビライザーを装備。オリジナリティあふれるデザインですね!

当時の貴重なカタログです!※画像クリックでご覧いただけます。

■ GK ピックアップ誕生、デジタル・シンセサイザー音源へ

1988 年に GK ピックアップ GK-2 が登場しました。それまでは専用のギター・コントローラーを使用する必要がありましたが、自分のギターに GK ピックアップを取り付けることでギター・シンセサイザーを使えるようになりました。

また、音源もローランドのシンセサイザー技術の発展とともに変化していきます。

GK-2 と同時にリリースされた GR-50 は、ローランド初のフルデジタル・シンセサイザー D-50(1987 年)に搭載された、LA 方式の音源を採用。

次期モデルの GR-1 からは、さまざまな音色波形を収録した PCM 方式の音源が採用され、搭載された音色の中から好みのパッチを選んでエディットする、プリセット音色主体の音作りへ変化していきました。

以降、現在まで PCM 方式の音源を採用した GR シリーズが続々と登場。音源のブラッシュ・アップや演奏性の向上、新機能の追加など、様々な改良を重ねてきました。

PCM 方式の音源を搭載した現行モデルは 2011 年リリース の GR-55 です。

■ SY シリーズ

2015 年には専用の GK ピックアップを必要としないギター・シンセサイザー SY-300 が登場。

普段使用しているギターと SY-300 を、一般的なギター・シールドで接続するだけ!
エフェクターのような取り回しと演奏性で、アナログ・シンセサイザーの様なサウンドを出せてしまう画期的なギター・シンセサイザーなんです!

音色は、正弦波、ノコギリ波、三角波などの波形タイプを、最大で 3 つ同時に鳴らすことができます。
波形を選んだら、つまみで音作りをするシンセサイザーのように、フィルター / アンプ / LFO などのパラメーターを調整して、エフェクターとは一味違った音作りを楽しめます。

SY シリーズは現在までにコンパクト・ペダル・タイプの SY-1、音色メモリーが可能な SY-200、GK ピックアップ対応によりさらなる進化を遂げたフラッグシップ・モデル SY-1000 がリリースされています。

【番外編】V-Guitar System

1995 年に、ギター・シンセサイザーとは異なるサウンド・モデリング技術を搭載した V-Guitar System VG-8 が誕生しました。VG-8 では、あらかじめ搭載された波形を発音させて演奏する PCM 方式とは異なり、GK ピックアップの信号そのものを用いて、デジタル信号処理により様々なサウンドを得ることができます。
レスポール、ストラトキャスター、テレキャスター、アコースティックギターなど、異なるギターの特性をシミュレートしたサウンドや、ギターとは異なる個性的なサウンドを出すこともできます。

また、GK ピックアップが検出した弦振動からサウンドを生成するため、ギターで演奏したニュアンスをダイレクトに反映できる高い表現力も大きな特徴です。特に、ギターのモデリングのクオリティや自然な演奏感は実際に弾くと驚かれる方も大勢いらっしゃいます!

V-Guitar シリーズはその後、サウンド・バリエーションや内蔵エフェクトが強化された VG-88(2000年)、さらに 2007 年にはモデリング・サウンドを2つ使用できる完全デュアル仕様の VG-99 がリリースされました。

VG-99 はリボン・コントローラーや、赤外線にギターのヘッドや手をかざしてコントロールする D ビームなど、多彩なコントロール機能を搭載したのも大きな特徴でした。

ギター・シンセサイザーにまつわる Q&A

Q: ギター・シンセサイザーにも種類があるの?

はい、現在販売しているギター・シンセサイザーには、大きく分けると 2 種類の音源方式があり、製品ごとに使用できる音源が異なります。
それぞれの特徴と搭載製品を簡単にご紹介します♪

● ピアノなどの鍵盤楽器から効果音まで、搭載された豊富な音色を選んで演奏できるのが、PCM 音源を搭載した GR シリーズ。演奏には GK ピックアップが必要です。
PCM 音源搭載機種 : GR-55

● 本格的なアナログ・シンセサイザーのようなサウンドで演奏と音作りができる、SY シリーズ。GK ピックアップを使用せずに演奏できます。
SY シリーズ・ラインナップ : SY-1SY-200SY-300SY-1000

※ SY-1000 のみ GK ピックアップ対応。GK ピックアップ無しで使用する際には機能に制限があります。

また、GR-55、SY-1000 には V-Guitar System から継承されたモデリングも搭載されており、上記のシンセサイザー・サウンドと組み合わせて多彩なサウンド・メイクを行うことが出来ます。

気になる製品があったら、ぜひチェックしてみてください♪

Q: GK ピックアップって何なの?

GK ピックアップは、愛用のギターやベースに取り付けて、ギター・シンセサイザーを演奏できるようにするための専用ピックアップです。
※ 取り付けにはギター/ベースの形状などの条件があります。

SY シリーズを除き、ギター・シンセサイザーを演奏するには専用の GK ピックアップが必要です。
なぜ GK ピックアップが必要かというと、弦ごとの演奏情報を個別に検出する必要があるからなんです。専用ピックアップで弦 1 本ごとの信号をギター・シンセサイザーへ送ることで、通常のギターではできないセッティングや演奏表現も可能になるんです。

たとえば、弦ごとに違うサウンドを鳴らしたり、瞬時にチューニングを変更したり、演奏中に弦 1 本だけピッチベンドしたりなんかもできちゃうんです!

ちなみに、GK ピックアップからギター・シンセサイザーに送られる演奏情報は、MIDI 情報やデジタル信号ではなくオーディオ信号です!接続ケーブルは MIDI ケーブルに似ていてよく間違われるんですが、複数のオーディオ信号を一度に送れる専用ケーブルなんですよ~!

Q: シンセの音しか出せないの?

これもよく誤解されることが多いんですが、安心してください。愛用のギターの音もちゃんと出せます!
GK ピックアップには、ギターの出力端子と接続する端子があるので、ギターの出力音も一緒にギター・シンセサイザーに送ることができるんです。

シンセサイザーとのミックスはもちろん、自分のギターの音だけで、お気に入りのエフェクターも使って演奏することもできますよ~!

ギター・シンセサイザーの現在

最後に、ギター・シンセサイザーのフラッグシップ・モデル SY-1000 で、最新のギター・シンセサイザーがどうなっているのか見ていきましょう!

■ GK ピックアップ対応

SY-1000 は他のSYシリーズとは違い、GK ピックアップと合わせて使用することでその真価を最大限に発揮するようになっています!

GK ピックアップを使用して各弦の信号を個別に送ることで、和音演奏時も各弦独立で発音するクリアなシンセ・サウンドを奏でたり、瞬時のチューニング変更など、GK ピックアップ対応ならではの様々な設定が可能になります。

※ 通常のギター・シールドを接続する GUITAR INPUT 端子も備えているので、GK ピックアップを使わない場合も一部のシンセ音色やマルチ・エフェクター機能を使用できます。

■ シンセ・サウンド + モデリング

SY-1000 は最新のシンセ・サウンドと V-Guitar System から継承したモデリング音色を搭載。
ギター演奏のニュアンスを忠実に反映できる優れた演奏性を備えています。

サウンドを 3 つ(ノーマル・ギター音を合わせると 4 つ)まで組み合わせてレイヤーできるので、モデリング・ギターにシンセ・サウンドを重ねて広がりや厚みのあるサウンドを作ったり、シンセ音を 3 つ重ねたりと多彩な音作りができます!

また、モデリング音色を同時に 3 つ使える製品は SY-1000 が初なんです。従来の機種ではできなかった、モデリング・ギター 3 本とノーマル・ギターで計 4 本同時に鳴らすアンサンブル音色なんかも作れちゃうんです。

■ シーケンサー機能

シンセ・サウンドには、最大 16 ステップのエディット可能なシーケンサー機能を備えていて、演奏音の音程やカットオフ周波数(音質)、音量に周期的な変化を与えることができます。
実はこの機能、自動的にフレーズを演奏するものと思われがちなんですが、スピードや音の変化のカーブも細かく設定できるので、サウンドに複雑な変化やゆらぎを加える音作りにも使えちゃう、とっても画期的な機能なんです!

パソコン用のエディター・ソフト 「BOSS TONE STUDIO for SY-1000」でのシーケンサーのエディット画面。ステップごとに原音に対してのピッチなどの変化量と変化のしかた(CURVE)を細かく設定できます。

■ マルチ・エフェクター搭載

ギター・シンセサイザーで意外と知られていないのが、マルチ・エフェクター機能が搭載されている点なんです。
SY-1000 には BOSS 最高峰のマルチ・エフェクター GT-1000 譲りの強力なエフェクト群を搭載しています。

シンセやモデリング音色と組み合わせて音作りができるのはもちろんですが、一般的なギター・シールドでの接続も可能なので、ギター用マルチ・エフェクターとしても大活躍します!

使用可能なエフェクトの詳細はこちら

■ MIDI 機能

本体に MIDI 端子と USB 端子を備えているので、 対応機器やパソコンとの MIDI 送受信が行えます。
また、GK ピックアップ使用時には演奏情報を MIDI で出力することもできるので、MIDI 音源と接続してさらに音色を拡張したり、DAW ソフトの打ち込み作業をギター演奏で行えます。

■ パソコンへのオーディオ録音

パソコンとのオーディオ信号のやりとりにも対応しています。出力音のステレオ録音はもちろん、GK ピックアップ使用時には、なんと弦ごとの原音を 6 チャンネル録音することもできるんです。

原音を録音しておいて後からアンプやエフェクトをかける「リアンプ」と同じように、あとから音作りだけをやり直して録音しなおすこともできるので、レコーディングや楽曲制作にとっても便利なんです!


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