カリモク家具KIYOLA開発者インタビュー Vol.1

「木を知り、木を愛する家具メーカー」カリモク家具。カリモクのトップデザイナーであり、KIYOLA KF-10の製品デザインを手掛けた藤森氏に、そのデザインについて語っていただきました。

木と語らい生まれるデザイン
~カリモク家具KIYOLA開発者インタビュー Vol.1~

電子楽器メーカー ローランドと家具メーカー カリモクの異業種コラボレーションにより実現したKIYOLA。インテリアに溶け込み、ピアノを身近に感じる、そのデザインの裏には、カリモク家具とローランドの想いが詰まっています。

KIYOLAの開発に携わったキーマンにスポットを当て、その想いをご紹介する「カリモク家具KIYOLA開発者インタビュー」。

今回のVol.1では、「木を知り、木を愛する家具メーカー」カリモクのデザイナーであり、KIYOLA KF-10の製品デザインを手掛けた、マーケティングセンター 主幹 藤森孝彦氏へ、その想いを伺いました。

選ぶ側も”本物”を求めている

-まずは、藤森さんご自身について教えていただけますか?

藤森 – 大学院を卒業した後、設計事務所等を経て、97年にカリモク家具へ入社しました。現在は、開発部門にてデザイナーを務めています。

-カリモク家具では、どのような製品を手掛けているのでしょうか。

藤森 – ホームユースのソファーやテーブル、ダイニングセット、ボード等の開発をしています。現在カリモクショールームで展示されているKIYOLAの傍にある家具の幾つかは私が手掛けたものです。

-藤森さんのデザインされた家具は、天然木の素材感や、空間を活かしたデザインがとっても素敵ですよね。昨今、家具というカテゴリにとどまらず、素材感を活かしたモノやデザインを志向される方が増えているように思いますが、作り手側の藤森さんは、どのように捉えていらっしゃいますでしょうか。

藤森 – 家具のトレンドは、ジャンルやエリア、お客様の世代によって様々ですが、最近の木製家具には、素材感が引き立つ仕上げや、木製品ならではの豊かな表情がより強く求められていると感じています。木の節をあえて取り入れたり、色柄の濃淡を活かした仕上げだったり。

建築にも、木や石材等、表情豊かな自然素材が積極的に取り入れられています。ラスティックなリノベーション空間への注目の高まりを背景に、そこに入る家具にも明確な素材感が求められているのではないでしょうか。

また同時に、インテリアに関する知識・情報が豊富なお客様も年々増えています。家具選びも単品の豪華さや便利さだけでなく、人に見せる事も意識したトータルコーディネートを目指されますので、ベーシックアイテムなのかキーアイテムなのか等々、家具デザインにもそれぞれのこだわりを求める本物志向が高まっている様に思います。

100歳の木をつかうなら、その年輪にふさわしい家具をつくりたい

-藤森さんのデザインされる家具は、すっきりした中にもやさしさやあたたかさが一番に感じられるように思います。その秘訣は、藤森さんのものづくりへの想いに隠されているように思うのですが、いかがでしょうか。

藤森 – 「永く愛されるものを造りたい」、「木の魅力を最大限に引き出したい」という想いを持って、ものづくりに取り組んでいます。

年々進歩し、変化してゆく家電製品等に比べて、家具・インテリアのジャンルにはロングライフな製品が数多くあります。カリモクにも「カリモク60」ブランドの様に、誕生から半世紀以上経ってもほとんど形を変えずに愛され続ける製品があります。暮らしの環境や、トレンドが移り変わっても愛され続ける魅力を持つ製品を作ることは、家具に携わる人間が誰しも目指す難しいながらもいつか実現したい目標です。もちろんインテリアとの調和をテーマに持つKIYOLAのプロジェクトも同じ想いで取り組ませていただいています。

もう一つは素材を活かす事へのこだわりです。KIYOLAにも使用されているオーク材は、北海道をはじめとした北国の厳しい環境が産地の木で、小指程の太さに成長するのに数年、木材として使用できるまでに成長するのには少なくとも数十年要します。

以前に、計画植林と伐採の行われている北海道の森を視察する機会がありました。数十年単位で循環する人と森の繋がり、そして製材され材料として使用できるのは大きな木のごく限られた部分という現実を目の当たりにしますと、木という素材の貴重さを実感します。むやみに大きな素材の存在感に頼るのではなく、最適な素材から魅力を最大限に引き出しながら、人を幸せにできるデザインをしてゆきたいと心掛けています。

-先ほど、トレンドや環境が変化しても愛され続ける・・・というお話もありましたが、KIYOLAのデザインで、藤森さんが一番大切にした部分を教えていただけますでしょうか。

藤森 – 「インテリアとして生活に溶け込むピアノ」。このテーマの実現に向けて、木部のデザインで大切にしたのは、北欧の木製チェアの様に、木管フレームの軽快感と、触れてみたくなる木の優しいディテールを併せ持つことで、室内の圧迫感は少ないながら、木の温かみと豊かさの感じられる「KIYOLA」の存在感を作り出す事でした。

高性能ながら高密度にサイズダウンされた機器類と、目線から控えた位置へのスピーカーレイアウトも相まって、インテリアと呼ぶのにふさわしいピアノに仕立上がったかなと思っています。

-家具と電子ピアノ、相反する部分があるものを作るのには、ご苦労もあったのではないかと思います。エピソードなどなにかありますか?

藤森 – 私の苦労した点ではありませんが、KIYOLAの開発を進める中で印象的な事がありました。

開発当初は、ピアノの性能はコンパクトなものになる予定だったので、その方向でこちらもデザインを進めていました。試作を進めていたある日、ローランドから連絡があり、ピアノの性能を最新のグレードアップしたものに変更することになりました。

搭載する鍵盤や電子機器部分のサイズが変わり、全体の寸法も大きくなることが予測されたため、軽快な木部のスタイリングから少し離れざるを得ないのではないかと覚悟していました。ただ、後日、ローランドから新しく届いたものは、予想に反して高密度にダウンサイジングされていて、木部のスタイリングの変更もごくわずかで済みました。

ローランドの開発部門の方々も、デザインのポイントを何とか変えずに済むように、並々ならぬ努力をしてくださったのだと思います。新しい取り組みに対する強い想いを感じました。

KIYOLAのある生活

-藤森さんでしたら実際どのようにKIYOLAをお部屋にレイアウトされますか。置き方のコツなどあればお願い致します。

藤森 – 例えばですが、窓辺にKIYOLAを置いて、ブラインドを開けたら演奏者の姿や表情がよく見えたら、きっと奏でる人が美しく引き立ち素敵ですよね。ピアノを弾く姿を見られるのは、後姿になりがちですので細身で空間を遮らないKIYOLA良さが活かせる置き方ではないかと思います。

この他には、ソファーの背中に置いても演奏される方が正面から見られそうですし、演奏を聴く方も近い距離でリラックスしながら聴ける楽しい空間ができそうに思えます。

-カタチ以外に色味というのも、家具選びの中で、お客様が重視される非常に重要なファクターだと思いますが、KIYOLAに採用された3つのカラー、それぞれの良さや特長を教えてください。

藤森 – ピュアオークは、天然オーク材の風合いが最もダイレクトに感じられる仕上げです。カラーと呼ぶよりも、オーク材本来の色に近い仕上げですので、飽きの来ない自然な風合いをお楽しみいただけます。

シアーホワイトは、ナラの木目を活かしつつホワイトで包む事で、様々なインテリア空間にあうカラーとなりました。色味を持った他のアイテムとのコーディネートし易いシンプルさも魅力です。

ウオールナットは、落ち着いた高級感のある風合いで、世界的に人気のある高級木材の代表です。シックで大人の上質感をお楽しみ頂ける仕上げです。

-最後になりますが、デザインしてみたいピアノや楽器など、もし今後につながるような発想や想いなどありましたら、お聞かせいただけますか。

藤森 – 「KIYOLA」の取り組みを更に深化させ、ピアノと木製家具の境界をもっと白紙に近づけてから、住空間の中で音楽を奏でられて、人を幸せにする、「何か」を発想してゆけたらまた新たな可能性が広がってゆく様に思います。

すごくシンプルに考えますと、例えば普段は家族で使うデスクの様に、自然にリビングに有りながら、扉を開けば本格的な演奏が楽しめる。弾く人だけが所有するピアノではなく、家族のピアノであり、これまでにピアノに触れたことの無い家族や友人が触れて弾いてみたくなる、そんな環境が自然にできてきたら素敵ではないでしょうか。ピアノを弾ける奥さんがご主人にレッスンして一緒に弾く、なんていうのも、幸せな時間の創造ですよね。

-ありがとうございました。

電子楽器のローランド、家具のカリモク、2社の異業種コラボレーション。木を知り尽くしたカリモクの良さと、汎用性の高い電子ピアノの良さが掛け合わさったからこそ、生活に溶け込めるKIYOLAが生まれたのではないでしょうか。木と語らい生まれたデザイン、電子ピアノとしての基本性能は、是非全国のKIYOLA展示店へ足をお運びいただき、実機でご確認くださいませ。

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KIYOLA Blog Archive

カリモク家具KIYOLA開発者インタビューVol.2

KIYOLA。こだわりのコタエ

ミラノサローネ2016 KIYOLA展示レポート

カリモク家具ショールーム見学記録

 

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