ピアノを始める前に知っておきたい5つのこと ~その1~

何か新しいことを始める前に付きまとう不安。お子様にピアノを習わせる前に知っておくと、親子でピアノがもっと楽しくなる。そんなコンテンツをお届けします。第1回は 「いつから始めたらいいの?」というお話。

いつから始めたらいいの?
~ピアノを始める前に知っておきたい5つのこと その1~

子供が成長し、幼稚園や保育園に通うようになると、親を悩ませるのが、子供のお稽古事。ピアノは、水泳に次ぐ人気のお稽古事です。何か新しいことを始める前に付きまとう不安。お子様にピアノを習わせる前に知っておくと、親子でピアノがもっと楽しくなる。そんなコンテンツをローランドからお届けします。

ラジオ出演や執筆、ピアノの先生への講習の傍ら、ご自身でもピアノ教室を運営されている、笹田優美氏へ、最近のレッスン事情について、伺いました。

ピアノのレッスンは、何才から?

『ピアノのレッスンは何才から始めないといけない』という明確な年齢はありません。しかしながら、実際は、ピアノに限らずお稽古事の低年齢化が進んでいますね。同じ年頃のお子さんが、さまざまな教室に通い始めていると焦るかもしれません。

しかし大事なのは、そこで学ぶことが、あなたのお子さんの身体や脳の発達に合っているかどうか。

大人が弾きこなすサイズの現代のピアノは幼児期の3~5才のお子さんにとっては、とてつもなく大きな楽器。ヴァイオリンには子供用がありますが、ピアノはありません。ピアノの鍵盤は、幼児の手には大きくて重たく、指にかなりの負荷が掛かります。また、ピアノは指だけでなく身体全体を使って演奏します。身体の骨格がしっかり安定してくるのは6才前後からと言われています。

もちろん早い時期に興味を持って弾くことができるお子さんもいらっしゃいます。逆に、身体の準備ができていない状態で始めて、うまく弾けないこともあります。イスにじっと座って鍵盤に向かう集中力も必要で、これもお子さんによる個人差によるところが大きいです。

ピアノのレッスンは、身体と脳のバランスが整ってくる小学生から始めても決して遅くはありません。実際、小学校低学年で始めて上手になるお子さんもたくさんいます。大切なことは、そのお子さんに合った時期に始めてあげることなのではないかと思います。

幼児期に大事なことは?

そうは言っても、日本では幼稚園からピアノ教室に通い始めるお子さんが多いですね。入園前から始めているお子さんもいます。幼児の時期に著しく発達するのは、聴覚・記憶力・判断力・認識力・思考力など。つまり『ピアノを弾く身体』は未熟でも、将来、音楽を演奏表現するために欠かせない感受性やリズム感、音を聴くこと、歌うことなど、音感の基礎を作る時期と言えます。

ですから、幼児期には、リトミックやダンスなど、身体を動かして、リズムや音楽を感じる体験は、後の表現活動につながっていきますのでおススメです。

ピアノ教室でも、幼児期には、弾くことがメインではなく、リズムや音符の勉強や歌、耳を鍛えることなど、バランスよくその年齢に合った内容でお子さんを指導していることが多くなっています。また小さい手でも無理のないように弾けるよう指導しています。

幼児期には、日頃からご家庭でお子さんと一緒に、歌ったり、踊ったり、絵を描いたり、お話を作ったりされるのが理想的です。そして、できるだけ美しいものに触れ、心温まり、心が躍るような楽しい体験などを通して、感性を磨く大切な時期です。そのひとつとして、音楽やピアノが生活の中にあったら、お子さんの成長にも少なからず影響があるのではないかと思います。

一番大切なことは、子供の変化に気づくこと

ピアノを始める時期やきっかけが、お子さん本人でなく、「お母様ご自身が習っていたから」、ご自身が「途中でやめたから子どもには習わせたい」という理由の場合に、レッスンが上手くいかないことも多々あります。

お子さんが音楽レッスンに向いているか知りたいとき、まずはお子さんのことを観察しましょう。レッスンを始める時期の見極めで大切なのは、お子さんの変化です!!

例えば、テレビから流れる音楽や車の中など、音楽を聴いて歌ったり、身体をゆらしたり、ノリノリで踊っているなど、音楽に反応しているお子さんは、レッスンを楽しめる時期になっていると思います。まずお子さん自身が音楽を好きであることは必須。身体を動かすことが好きでも、音楽にはさほど興味を示さないお子さんもいます。

また、幼稚園では鍵盤ハーモニカ(メロディオンやピアニカ等)を習いますが、家でも嬉しそうに弾いていたり、習った曲以外でも、音を探って耳コピーで弾いていたりする子はかなり音楽の素養あり!上手になるでしょう。

その他ほか、ご兄弟やお友達が練習している時、自分でも真似して弾こうとしたり、教えてもらいたそうにしている…など。

お子さんが音楽に反応していること、少しの変化にでも気づいてあげて、ピアノレッスンの始め時をしっかり見極めてくださいね。

笹田優美(ささだゆうみ)
国立音楽大学音楽学部教育音楽学科卒業。ピアノを小泉欣子、声楽を秋山恵美子に師事。在学中よりローランドのデモンストレーターとして活動。大学卒業後は高校教師(音楽科)を経て、クラシック、ポピュラー・ピアノ担当として後進の育成にあたる。現在は、自宅教室MUSIC OASIS VERDEを主宰。レッスンや執筆活動の他、幼児教育教材開発、コースコーディネート、および全国各地にて指導者向けセミナーを行う一方、コミュニティFMの生放送DJや音楽番組の企画・制作、音楽会ナビゲーターなどでも活動中。

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