おはようございます、坪井佳織です。
世界最大規模の楽器ショー、NAMM showが27日に終わりましたね。
Rolandも毎年、大きなブースを出展して、新製品をいくつも発表します。今日は、その中からひとつ、面白い製品をピックアップしてみたいと思いますよ〜!
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原田知世、ボニー・ピンク、カーディガンズ、レミオロメン。
みなさん、共通点分かりますか?
少々お年を召した方なら分かるでしょうか?トーレ・ヨハンソン・プロデュースで有名な、スウェーデンのタンバリン・スタジオでレコーディングしたアーティストたちです。
わたしはこれらのサウンドが大好きで、カバーやろうとするんですけど、一番苦労したのがドラムの音でした。絶妙にバフバフした荒い音、どうやって出すんでしょう?
同じ頃かどうかわからないけど、レッチリ(Red Hot Chili Peppers)大好きな、佐賀県在住の高﨑 量少年(ローランド第1開発部 製品リーダー)は、お小遣いを握りしめて楽器屋へ向かいました。尊敬するチャド・スミスと同じスネアを買うためです。
ワクワク、どきどき。。。
でもねー、ドラマーの皆さん、経験あるでしょ?
全く同じ機材を使っても、ドラムってCDと同じ音は出ないんですよね。
それは、録音後に加工して調整された音だからだそうです。
ライブとかで、ギタリストやキーボディストが曲によって音を変えるのは当たり前なのに、なんでドラムだけずっと同じ音なんだー!と悔しい思いを抱えた高﨑少年は、15年の時を経て、ローランドでハイブリッド・ドラムの開発に加わることになります。
ハイブリッド・ドラムは、ドラムにセンサーを取り付けて普通に叩いたら、スピーカーから音源に入っている音が出るという機材です。今回、入門機「TM-1」が発表されまして、じゃーん、3兄弟になりました!
(左からTM-6PRO、TM-1、RT-MicS)
色合いが合わせてあって、コレクション心をくすぐりますね〜、それぞれ、別な開発リーダーだったのにこの統一感はすごいですよね。こういうところが、最近のプロデューサーはバランス感覚が優れてるなーといつも思います。
「作った僕が言うのもなんですけど、ドラマーのあらゆる夢や不便の解消を叶えるんで、ほんと、みんな使ったらいいのに!って思います」
・憧れのドラマーと同じ音を出したい!!
・ボヘミアン・ラプソディの最後のドラ鳴らしたい! ・米津玄師さん「Lemon」の「ウェッ」とハンドクラップを再現したい!
バンド始めたばっかりの高校生って、原曲通りにコピーしたいじゃないですか、まずは。それを意識したかどうかは分からないけど、まぁまぁバイト代でガンバって買える価格に抑えたっていうのがすごいですよね。
それには秘密があります!
これ、個人的にいちばん感動したところ。
わたしが社内にいたときには考えられない発想だったので。
なんだと思いますか?
それは、本体でできることは可能な限りシンプルに、つまみにはひとつのアクションしかアサインしないようにして、高機能な部分はスマホ用アプリで操作するってことです!!
付加価値的なおまけアプリではなく、TM-1は最初からアプリとハードが完全にセットで開発されました。
もし、アプリで可能になった機能を本体で実現しようと思うと、高価になる上に、限られたボタンであれこれ詰め込まないといけないので、操作が複雑になるし、表示するための LCD(液晶ディスプレイ)も必要になります。
せっかくコンパクトでシンプルなのに、カーソルとかエンターとか、操作が複雑になるのは絶対に嫌だったんですって。
それと、今回、ポンっと床置きして、足で操作できるようにしたのも開発当初からのこだわりだったそうです。セッティング、めちゃくちゃ楽ですよね。
これ・・・、わたし個人だけの感想かもしれないけど、ドラマーさんが演奏の合い間にポンって慣れた感じで足操作をするの、シンプルにカッコイイです。普通はしないことをするのって、カッコよくないですか?
ただ・・・、ライブ中はお客さんから見えないのが残念!
でね、足で操作するための開発にあたり、面白い話があります。
それは、パーツ選定や耐久試験のデータ、中の構造などをBOSSの技術者にレビューしてもらったということです!!
そう、BOSSのエフェクターと同じパーツを使い、「BOSSは壊れにくい!」という定評を継承しているんですね〜。ローランドならではですよね。
最近の楽曲って、ジャンルの壁が全然ないじゃないですか。 若い子たちはアコースティックとデジタルの融合や、電子楽器の音が加わってることなんて全く抵抗ないんですよね。
けど、それをライブでやろうとすると、きっとすごく大変だったと思うんですね。 そんなとき!お年玉でTM-1買えば、解決することがいっぱいです。
そうそう、わたしはドラムを叩かないから体験できないんですけど、これを読んで興味を持ったみなさんは、叩き心地に違和感がないかどうか気になりますよね。
そこは、V-Drumsで培ったセンシング技術(叩いた振動を感知して電気信号に変換する技術)がありますから、自信があるそうです。演奏を感知するために必要なハードウェア(センサー)も、その信号を判別し音を制御するソフトウェアも、V-Drumsで20年以上の歴史があるから実現できている高い技術だそうです。
そんなわけで、TM-1は、何しろ、15年前の「ッキショー!どうしたらいいんだ?!」というドラム少年の思いを叶えたものですから、ほんと、ドラマーは誰でも1台持てばいいのに!ってわたしも思いました。タンバリン・スタジオもウォーターフロント・スタジオのレニー・クラヴィッツ・サウンドも、近いところまで再現できるんじゃないかなー。
安いよ、安いよ〜。
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楽屋の人:坪井佳織(つぼい かおり)
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電子ピアノや自動伴奏の開発に携わっていた元ローランド社員。現在、本社近くでリトミックを教えています。元社員ならではの、外でも中でもない、ゆるい視点でメルマガを執筆しています。どうぞよろしくお願いします。
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