Trigger Module TM-1開発ストーリー by メルマガ「ローランドの楽屋にて」

憧れのドラマーのサウンドに近いパフォーマンスを可能にするTM-1。メルマガ「ローランドの楽屋にて」でインタビューしたTM-1の開発者の想いを特別にお読みいただけます。

憧れのドラマーと同じ音を出したい!!

ボヘミアン・ラプソディの最後のドラ鳴らしたい!

米津玄師さん「Lemon」の「ウェッ」とハンドクラップを再現したい!

好きなバンドの曲をコピーして演奏しているとき、コードやフレーズが間違っているわけではないのに「何かちょっと違うな…」と感じたことのあるドラマーの方は多いはず。その違和感の原因のひとつは、ドラムの音にあります。

レコーディングした楽器の音は、バンド・サウンド全体のバランスを調整したり、楽曲のイメージにより近づけるため、アコースティック・ドラムの音も含め後から何らかの加工がされています。普段聴いている曲のサウンドは、楽器を演奏してその場で聴こえる生音とは違うのです。

憧れのバンドの曲を、原曲と同じようなドラムの音で演奏できたら、演奏する側、観客側ともに間違いなくかなり満足度が上がります。

ローランドには、そんな皆の夢をかなえる、ドラマーなら「一家に一台」持っていてほしい機材があります。製品開発リーダー自身の過去の悔しい経験が開発の原動力になったこの機材に、一体どんなストーリーが隠されているのでしょうか。メールマガジン『ローランドの楽屋にて』でご紹介した開発裏話を、ぜひご覧ください。

ローランドの楽屋にて

あのドラムの音で演奏したくないかい?

おはようございます、坪井佳織です。

世界最大規模の楽器ショー、NAMM showが27日に終わりましたね。
Rolandも毎年、大きなブースを出展して、新製品をいくつも発表します。今日は、その中からひとつ、面白い製品をピックアップしてみたいと思いますよ〜!

*

原田知世、ボニー・ピンク、カーディガンズ、レミオロメン。
みなさん、共通点分かりますか?

少々お年を召した方なら分かるでしょうか?トーレ・ヨハンソン・プロデュースで有名な、スウェーデンのタンバリン・スタジオでレコーディングしたアーティストたちです。

わたしはこれらのサウンドが大好きで、カバーやろうとするんですけど、一番苦労したのがドラムの音でした。絶妙にバフバフした荒い音、どうやって出すんでしょう?

同じ頃かどうかわからないけど、レッチリ(Red Hot Chili Peppers)大好きな、佐賀県在住の高﨑 量少年(ローランド第1開発部 製品リーダー)は、お小遣いを握りしめて楽器屋へ向かいました。尊敬するチャド・スミスと同じスネアを買うためです。

ワクワク、どきどき。。。

でもねー、ドラマーの皆さん、経験あるでしょ?
全く同じ機材を使っても、ドラムってCDと同じ音は出ないんですよね。
それは、録音後に加工して調整された音だからだそうです。

ライブとかで、ギタリストやキーボディストが曲によって音を変えるのは当たり前なのに、なんでドラムだけずっと同じ音なんだー!と悔しい思いを抱えた高﨑少年は、15年の時を経て、ローランドでハイブリッド・ドラムの開発に加わることになります。

ハイブリッド・ドラムは、ドラムにセンサーを取り付けて普通に叩いたら、スピーカーから音源に入っている音が出るという機材です。今回、入門機「TM-1」が発表されまして、じゃーん、3兄弟になりました!

(左からTM-6PRO、TM-1、RT-MicS)

色合いが合わせてあって、コレクション心をくすぐりますね〜、それぞれ、別な開発リーダーだったのにこの統一感はすごいですよね。こういうところが、最近のプロデューサーはバランス感覚が優れてるなーといつも思います。

「作った僕が言うのもなんですけど、ドラマーのあらゆる夢や不便の解消を叶えるんで、ほんと、みんな使ったらいいのに!って思います」

・憧れのドラマーと同じ音を出したい!!
・ボヘミアン・ラプソディの最後のドラ鳴らしたい!
・米津玄師さん「Lemon」の「ウェッ」とハンドクラップを再現したい!

バンド始めたばっかりの高校生って、原曲通りにコピーしたいじゃないですか、まずは。それを意識したかどうかは分からないけど、まぁまぁバイト代でガンバって買える価格に抑えたっていうのがすごいですよね。

それには秘密があります!
これ、個人的にいちばん感動したところ。
わたしが社内にいたときには考えられない発想だったので。

なんだと思いますか?

それは、本体でできることは可能な限りシンプルに、つまみにはひとつのアクションしかアサインしないようにして、高機能な部分はスマホ用アプリで操作するってことです!!

付加価値的なおまけアプリではなく、TM-1は最初からアプリとハードが完全にセットで開発されました。

もし、アプリで可能になった機能を本体で実現しようと思うと、高価になる上に、限られたボタンであれこれ詰め込まないといけないので、操作が複雑になるし、表示するための LCD(液晶ディスプレイ)も必要になります。

せっかくコンパクトでシンプルなのに、カーソルとかエンターとか、操作が複雑になるのは絶対に嫌だったんですって。

それと、今回、ポンっと床置きして、足で操作できるようにしたのも開発当初からのこだわりだったそうです。セッティング、めちゃくちゃ楽ですよね。

これ・・・、わたし個人だけの感想かもしれないけど、ドラマーさんが演奏の合い間にポンって慣れた感じで足操作をするの、シンプルにカッコイイです。普通はしないことをするのって、カッコよくないですか?

ただ・・・、ライブ中はお客さんから見えないのが残念!

でね、足で操作するための開発にあたり、面白い話があります。
それは、パーツ選定や耐久試験のデータ、中の構造などをBOSSの技術者にレビューしてもらったということです!!

そう、BOSSのエフェクターと同じパーツを使い、「BOSSは壊れにくい!」という定評を継承しているんですね〜。ローランドならではですよね。

最近の楽曲って、ジャンルの壁が全然ないじゃないですか。
若い子たちはアコースティックとデジタルの融合や、電子楽器の音が加わってることなんて全く抵抗ないんですよね。

けど、それをライブでやろうとすると、きっとすごく大変だったと思うんですね。
そんなとき!お年玉でTM-1買えば、解決することがいっぱいです。

そうそう、わたしはドラムを叩かないから体験できないんですけど、これを読んで興味を持ったみなさんは、叩き心地に違和感がないかどうか気になりますよね。

そこは、V-Drumsで培ったセンシング技術(叩いた振動を感知して電気信号に変換する技術)がありますから、自信があるそうです。演奏を感知するために必要なハードウェア(センサー)も、その信号を判別し音を制御するソフトウェアも、V-Drumsで20年以上の歴史があるから実現できている高い技術だそうです。

そんなわけで、TM-1は、何しろ、15年前の「ッキショー!どうしたらいいんだ?!」というドラム少年の思いを叶えたものですから、ほんと、ドラマーは誰でも1台持てばいいのに!ってわたしも思いました。タンバリン・スタジオもウォーターフロント・スタジオのレニー・クラヴィッツ・サウンドも、近いところまで再現できるんじゃないかなー。

安いよ、安いよ〜。



posted by
楽屋の人:坪井佳織(つぼい かおり)
電子ピアノや自動伴奏の開発に携わっていた元ローランド社員。現在、本社近くでリトミックを教えています。元社員ならではの、外でも中でもない、ゆるい視点でメルマガを執筆しています。どうぞよろしくお願いします。

編集部からのお知らせ

今回ご紹介のTM-1は、クイック・スタート・ビデオで音色や使い方がとてもわかりやすくまとめられています。しかも、なんと、よく見ると、ドラムを叩いているのは、製品リーダー高﨑では・・・!?




※本記事は、メールマガジン「ローランドの楽屋にて」2019年1月31日配信号の内容を、web掲載用に編集したものです。

このような製品開発の裏話から、楽器とはまったく関係のない話まで、読者のみなさんにとってはほぼ役に立たないであろう濃い”楽屋ばなし”を、週1回全力でゆるくお届けしているメールマガジン『ローランドの楽屋にて』。一世を風靡したTR-909やJD-800などの開発秘話やローランド社員の知られざる生態、ハンバーグの話まで、ゆるりと配信を続けております。

すごく真面目な方、忙しい方の登録はおすすめしておりませんが(笑)、ご興味のある方はぜひご登録ください。

Featured Products

Trigger Module

TM-1

初めてハイブリッド・ドラムを導入するドラマーに最適な、コンパクトでシンプル操作の音源モジュール

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