散歩中に録った音を取り込んで30分でビートを作った
最初に音楽に興味を持ったのは?
小学校高学年くらいの頃に聴いたB’zでした。そこから割とすぐに、爆風スランプとかブルーハーツとか、ストレートな泥臭い方に心を持っていかれてギターを始めて、その頃から自分で曲も作るようになりました。高校に入ると、バンドでライブハウスに名乗りを上げたりして(笑)。
では、最初に買ったローランド/ボス製品というと……?
ギター用のエフェクターでしたね。ボスのMT-2 Metal Zoneか、ディストーションの何かだったと思います。でも、社会に出てからはやっぱりメンバーのスケジュール調整が大変になって、一人で表現できる世界にだんだん移っていきました。聴く音楽も自然にクラブ・ミュージックの方へ……ブルーハーツからはかなりかけ離れていますけど(笑)、年齢とともにそうなっていった感じです。
クラブ・ミュージックというとどのあたりですか?
最初は、ファットボーイ・スリムのようなバンドっぽいダンス・ミュージックが好きになって、大学時代にはクラブに遊びに行くようになっていました。それで、代官山のクラブでジェフ・ミルズを観て感動したんです。いわゆるDJのイメージとは違っていて、”あの人がいじっているあの機材は何だ? エフェクターなのか?“みたいな感じでビックリして。安っぽい言い方になりますが、クラブ・ミュージックの中のパンクというか、形式にとらわれないところに痺れました。
それで自分でもDJをやってみようと?
そうです。それでパーティーとかイベントもやったりしていたんですけど、だんだん自分の曲を作りたいと思うようになって……DJのシーンの中で、いきなり自分の曲をやるというのはなかなか難しいと思うんですけど、そこでもやっぱりジェフ・ミルズのことがずっと頭にあって、40分とか60分のDJセットの中に、自分の作ったトラックをせめて2割でも入れてみようとか、そういう遊び方をするようになりました。その頃は、DTM用にEDIROLブランドのオーディオ・インターフェースとかスピーカーを使っていましたね。
今回受賞した動画ではTR-8Sが大フィーチャーされていますね。
Rhythm Performer TR-8Sの製品詳細はこちら
実はTR-8も持っているんですけど、それでは満足しきれなかったところがTR-8Sでは実現されていて、発売後すぐに買いました。単にドラム・パート担当というだけでなく、サンプリングもできるし、モーション・シーケンスもすごく効くし、これ1台でかなりいろんなことが表現できる。本当に大好きな機材で、毎日ずっと触っています。DJに持って行くことも多いですね。ブースでめちゃくちゃ“映え”るんですよ。
そのTR-8Sを使って、外で録ったいろんな音をビートにしているのが面白いです。
以前からDAWを使ってよくやっていたことなんですけど、TR-8SにSDカード経由でオーディオをインポートできる機能がついたので、絶対それをやりたいと思って、手に入れてすぐに試しました。あの動画の音は、天気のいい日に子供たちを連れて散歩に行ったときのもので、子供がいろんなもので音を出して遊んでいるのを録って、TR-8Sに取り込んで波形編集して……30分くらいでビートを組んだと思います。
フィールド・サンプリングしたサンプルをインポートした『TR-8S』や『TB-3』を中心に、RolandCloud版JUNO-106も活用し最高のトラックを制作いただきました。
むしろ、動画編集にかかった時間の方が……
長かったかもしれません(笑)。今回の企画が“あなたの音を聴かせて”ということだったので、なるべく普段やっていることをそのまま、こういう機材を知らない人が観ても面白くなるような動画にしようと思って作りました。子供に観せたら“ふーん”って感じでしたけど(笑)。
TR-8Sは義務教育に取り入れるべきだと思う(笑)
TR-8Sの上にはTB-3の姿も見えます。
あれも最高ですね。シーケンスは使いやすいし、液晶のキーボードも斬新だし、ランダマイズも面白いし、MIDIを吐き出して流し込むこともできるし……ずっとニヤニヤしながら触っています。まだ触ったことがない人は絶対に触ってみた方がいいと思う機材ですね。
TB-3製品の詳細はこちら
上モノにはRolandCloudのJUNO-106も使われていますね。
オリジナルのJUNO-106は、バンドをやっていた頃に対バンやゲストのキーボーディストが持っているのをよく触っていたので、RolandCloud (https://www.rolandcloud.com/)にはかなり早い段階から飛びつきました。とにかく気軽に使えるし、マシン・パワー次第では物理的に不可能な数のシンセを並べることもできる。ローランドのようなメーカーがこういうソフトウェアを出して、ハードウェアと融合させていく流れを作っているのはすごく面白いと思います。
今回の動画をはじめとして、YouTubeチャンネルにかなりハイペースで動画をアップしていますね。
2年前まで東京都内に住んでいて、クラブやライブハウスでいろんな活動をしていたんですけど、二人目の子供が生まれたタイミングで地元の木更津に引っ越したんです。それで音楽を表現するシーンというか環境が大きく変わったので、ローカルだけど頑張って発信していこうと思ってやっています。海のそばで音を出すのも気持ち良かったりするし、そういうことをわかりやすく表現したいなと思って。
そういう生活の中から、今回のような動画ができたのですね。外を歩いていてもいろんなものが落ちていたりして。
そうですね。普段外を歩いているときも、雑音とか空気の音はずっと気にしています。だから、歩いているときにはあまりヘッドフォンをしていません。これも年齢とともに、だんだんそうなってきましたね(笑)。そういう音を取り込んで料理していく上で、やっぱりTR-8Sのようなマシンはとても素晴らしいです。とにかくアイディアをどんどん詰め込んでいけば形になるし、あとは自分がどれだけ気持ちよくなれるかというところで、絶対に欠かせない機材です。
別の動画では、無人島に持って行くなら間違いなくTR-8Sだと……
はははは(笑)。僕は本業でデザインとかをやっているんですけど、仕事中もTR-8Sで無機質なリズムをBGM代わりに鳴らしているんです。音楽をかけるとDJの耳で聴いてしまうので(笑)。でも、TR-8SやTB-3の音を聴いていると作業がめちゃくちゃ捗ります。小中学校の義務教育で、こういう機材を触らせてもいいんじゃないかと思いますね。ピアノとかの楽器で挫折した子もこれなら楽しめると思うし、特に今はダンスも必修になっているから、これがあれば簡単にビート・メイクもできる。うちの子供たちも、機材に興味を示してめちゃめちゃ触ってますよ。TR-8Sはお父ちゃんのだぞって言い聞かせてますけどね(笑)。