吹奏楽や合唱練習において欠かせないキーボード「JUSTY」-ジャスティ-。音楽の基礎となる「チューニング」「ハーモニー」「メトロノーム」機能のほかに、リモート操作、持ち運びもできるという利点から、全国の部活動や団体に導入されています。このシリーズでは実際にJUSTYや周辺の電子機器がどのように活用されているかご紹介していきます。今回は、「茨城県つくば市立春日学園義務教育学校」の音楽教諭、菊池康子先生にお話を伺いました。
JUSTY STYLE
吹奏楽や合唱練習において欠かせないキーボード「JUSTY」-ジャスティ-。今回は小学校の授業や合唱指導での活用の様子について「茨城県つくば市立春日学園義務教育学校」の音楽教諭である菊池康子先生にお話を伺いました。
校舎:小学校と中学校の施設一体型の春日学園
小中一貫校として有名な春日学園ですが、あらためて簡単にご紹介いただけますでしょうか
「春日学園」というと一見、私立のようですが、公立の学校です。設立は8年前の2012年で、最初から小学校と中学校の施設一体型の小中一貫校としてスタートし,4年後の2016年に義務教育学校となりました。義務教育の9年間を最初の4年を前期ブロック,5~7年を中期ブロック,8・9年を後期ブロックと発達段階で分けており,中学3年生にあたる学年を9年生と呼んでいます。「どこよりも早く明日の教育に出会える学校」とスローガンを掲げ、日々子どもたちに寄り添った教育実践を心掛けています。
実際に1年生から9年生までが同じ施設内で過ごすわけですよね。
はい。授業は原則クラスごとですが、年間計画の中に異学年がともに学ぶ交流の時間が設けられています。その活動は多岐にわたっており,九九やパソコン,縄跳びやのこぎりの使い方等を上学年が下学年一人一人に寄り添い丁寧に教える等の活動を行います。また,毎日の清掃活動も学年枠を超えて縦割り班で同じ場所を清掃します。学校生活を送る上で交流の場が多いことは非常によい事だと思います。
メカは苦手という菊池先生だが、使う目的が明確であれば新しい機材を使う事に迷いはない様子。
菊池先生は春日学園に赴任されてどれくらいになられますか?
教師生活は20数年ですが春日学園には5年前に赴任しました。現在は,担任をしながら教科担任制という形で5・6年生の音楽の授業を担当しています。
椅子は使わず音楽室を広く使った授業スタイル
今日は6年生の音楽の授業を見学させていただきましたが、最初に授業への導入部分があったように思います。
最初に「リズム回し」でウォーミングアップを行いました。全員で一つの円を作り、教師が示した拍の中で,特定のリズムを叩いて隣の人に回していきます。なかなか拍に合わせてリズムを叩くのは難しいのですが、円になることでスムーズな意識の流れや友達同士の一体感をつくることができ、リズム感を習得すると同時に,心がほぐれていくことで自然と声も出るようになります。
JUSTYでガイドとなる音を出して音程を確認
今日歌った歌は前回の授業に続いての2回目でした。
前回の授業でまず上の旋律を歌って、今日初めて下の旋律を歌いました。ソプラノとアルト、全員がどちらのパートも歌えるように練習します。ただ,ハモリを教えるのは1日では難しくて、曲が子供たちの耳に残って、「この音かな」って確信をもつためには何度かやる必要があります。それを早く出来るようなるにはやはり “聴く力”が大事だと思っていて、ついつい授業中に「ちゃんと聴いてる?」と言ってしまいます(笑)。聴く力をつけるために、単に伴奏をCDで流すだけではなくて、ピアノやキーボードで一個一個の音を丁寧に取るようにしています。その点、このJUSTYはとても聴き取りやすい音が入っているので便利です。特にクラリネットの音はよく使いますね。音だけでなく、例えば半音下がることを皆で手などを使ってジェスチャーで表現することもあります。そうすることで、「音の幅を覚えてくれるのではないかな。」と思っています。ポイントは、どんな隊形で、どのような教具を使って、どういう風に声を出させるかということだと常々感じています。
タブレットで教科書用の鑑賞曲を再生
「ハンガリー舞曲」を皆でリズムを取りながら鑑賞しました。これは教科書にのっている鑑賞曲なのですか?
そうです。実は指導書に付属している音楽CDをタブレットに取り込んでいて、それを再生しました。同じ箇所を何度も簡単に聴くことが出来るので、この方法で再生をしています。また、JUSTYがBluetoothスピーカーになるので、そのままワイヤレスで手軽に聴くことができるのが非常に便利です。
この曲は曲中で目まぐるしくテンポが変わるので手拍子でついていくのは簡単ではないですが、子供たちは楽しそうに見えましたね。
この曲は今日で2回目ですが、手拍子でついていける子供はとても少なくて、自分が合っていないことに気づいていないケースもあります。ですから今後は動きを付けていく授業などを通して「よく聴く」体験につなげていければと考えています。
JUSTYを器楽合奏で使うケースはありますか?
例えば音楽づくりの中で「日本の旋律をつくろう」という単元があるのですが、その中で尺八や三味線などふだんなかなか弾けない楽器の音がJUSTYでは使えるので、音楽づくりのイメージが広がりますね。しかも数台あれば非常にありがたいです。
操作ボタンやツマミが大きくて判りやすいと好評のCD-2u。
レコーダー(CD-2u)を授業でお使いでしたが、録音することで子供たちに起こった変化はいかがでしたか?
子供たちにとって新鮮な体験であり、発見もたくさんありました。一番驚いたのは,「録音する」と言ったら,子供たちの意識が変わって、いい意味で演奏が違ってきたことです。そして録音したものをすぐ聞きたい、という声があがりました。実際に聴き返してみると、例えば「自分としてはフレーズの最後をそんなに雑に歌ってないと思っていたのに」とか「クレッシェンドもちゃんと出来てたはずと思っていたのに実際はそうでなかった」など、自分から気づくようになりました。また、テレがあってか、わざとフレーズの終わりの音程を外していた子供たちが、歌い方を注意するようになりました。今まで“楽しければいい”と思っていたのが“どう聞こえるのか?”に意識が向かうきっかけになっています。そして皆が“もっとできるね”という共通の価値観を共有できたのが良かったです。ちなみに先日7・8・9年生で開催された校内合唱コンクールではこのレコーダーを使って聴き返し練習をやったクラスが最優秀賞でした。
部活では2台のJUSTYを使って各パートごとに練習
授業とは別に合唱団(部活)の活動もされています
活動は4年生から6年生までが週に4回、昼休みか放課後に活動しています。日没が早くなる秋から冬の間は放課後の練習はありません。授業との違いは合唱に対する子供たちの興味の深さだと思います。コンクール曲は3部合唱なので、パート練習は基本的に3つのグループに分かれてやってます。
小学校でのハーモニー練習で心掛けていることはなんでしょうか
理屈(理論)ではなく、体感させることかなと思います。例えば、JUSTYは簡単に純正律と平均律を切り替えられます。それをまだ理論を知らない子供たちに聴かせると、5年、6年になると、音の違いに気づきます。練習では、まずはユニゾンでピッタリ合うことの快感を経験させて、次に2音でハモることの美しさを体感すると、もっと上手くなりたいという意識が芽生えます。理論は後からでもいいと思っています。
自分たちの声に集中しながらハーモニーを奏でる
あらためて合唱の魅力とは?
まず、身体が楽器なので多くの人がより気軽に参加できる、という点がありますね。そして、その人の個性や能力の範囲で、ちょうどお城の石垣を積むようにいろんな石がうまく組み合わさり強く美しい石垣になる、というイメージが合唱の魅力だと思っています。ハーモニーがきれいに揃ったときに「1+1=2」じゃない感覚を得られる、というところでしょうか。特にコンクールの前になると意識の集中度も上がってくるので、その感覚も研ぎ澄まされてきますね。緊張感が高まる中で思った通りに気持ちと声が合うと、まさに“神様が下りてきた瞬間”のような感覚があります。子供たちもその瞬間を感じ取り、明らかに表情が変わるんです。
JUSTYはガイド音だけでなく、伴奏用としても使えるところも気に入っている、との事。
最後に菊池先生の今後の目標について教えて下さい。
大きく言えば、やればやるほど子供たちは、能力の宝庫のようだと感じます。私は、音楽を通してその無限の能力をもっともっと引き出せるような関わりをしていきたい、と思っています。また、最近あらためてリトミックのような身体活動の要素を授業に上手く取り入れることで、より効果的な授業ができないかの勉強もしています。これまで経験を積み重ねてきたことで、若い頃には見えなかったことが今になってやっと判るようになった感覚もあり、私自身ももっともっと成長していきたいと思っています。
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