3月末の発売以降、多くの方にご好評いただいているローランド オフィシャルLINEスタンプ「ほほえましいローランドスタンプ」。前回に引き続き、イラストを描いてくれたワタナベスグルさんとのお話を掲載。
第二回:ヴィンテージ機材編
LINEスタンプは”突っ込みどころ”が重要
Roland:やはり古くからのローランド・ファンの方に好評だったのはヴィンテージ機種のイラストですね。これらのこだわりはありますか?
ワタナベ:TR-808はやはり名機なのでかなり細く再現しています。きっとこの機種の再現性はもっとも重要だと思ったので。で、808=8なので、タコなんです。
Roland:なるほど、それでタコ!そういえば、このキャラには口が二つありますがミスタッチではないのですか?
ワタナベ:いいえ、これはこれで正解です。全体的に突っ込みどころのある絵にしたいという気持ちもありましたし、LINEスタンプなんかはそういう要素が重要だったりします。まさにこんな感じで話題にもしてくれるじゃないですか?前回話に出たJUNO-DSの腕の長さや、JD-Xiの「ヴァ~」も、結果として突っ込みどころになってますし。
Roland:確かに、私がまさにその策略にハマったと(笑)。
ワタナベ:狙い通りですね、ありがとうございます(笑)。
楽器のキャラと吹き出しのセリフがうまく合った
ワタナベ:TR-808と双璧をなすTR-909は、ちょっと経年変化した感じの色にしています。
Roland:ほんのちょっと、クリーム色というかオフホワイト気味になってますね。ところで909に「おちつく」って、音楽を知らないと出てこない言葉ですよね?
ワタナベ:TR-909、MC-8なんかはそれぞれの楽器のキャラと吹き出しのセリフがうまく合ったと思います。描いているときにはPCMの音やTR-707の音が再燃しているとも聞いたので、リバイバルしてくれるといいなーと思って「また来てね」としています
Roland:そういえば、割とマイナーなTR-626も描かれていましたが、これにもこだわりがあるんですか?
ワタナベ:これは僕自身が持っていて、とても思い入れがあったので描いてみました。おっしゃる通り、他のTRシリーズと比べるとちょっとマイナーなのですが、どこか個性的なので「わすれないでね」というセリフを付けています。
Roland:確かに、TR-808や909の音に耳が慣れすぎてきたら、今度はTR-626の音が流行るかもしれませんね!?
見る人が見ると「ニヤリ」とするネタ
Roland:あと、一部プロミュージシャンから反応があったのが、JUNO-60のイラスト。受話器になってますが、これって・・・まさか。
ワタナベ:あ、わかりました?DCBの部分から連想しています(笑)。
Roland:いや、これは”中の人”でもなかなか気づかないネタですね!楽器だけに詳しい人では絶対に出て来ない発想だと思います。
ワタナベ:もうひとつ、JD-800の音色番号は「53」になっています。小室哲哉さんが数々のヒット曲で使われたピアノの音色、やはりJD-800といえばこの音色ですからね。
Roland:本当だ!!なんて細かい!!見る人が見ると「ニヤリ」とするネタが随所にありますね~。
MIDI以前に採用されていたDCB端子。
その端子部の上には写真のようなパーツがありました。
楽器が主役、それに合わせてスタンプのデザインも考えた
Roland:その他、スタンプ全体を通じてこだわったポイントなどはありますか?
ワタナベ:普段僕が発売しているスタンプは、基本的に吹き出しが「縦書き」なんです。今回は楽器が主役であること、その楽器が主に横長だったので、それに合わせて吹き出しも「横書き」にしています。ひとつのタイトルで、吹き出しを縦か横か統一すると一体感が出ますよね。
Roland:デザインひとつ取ってみても、すごく練られてるんですね。ただユルいだけではなかった!と。
ワタナベ:むしろ、僕としてはあのローランドさんがこんなユルい作品を出してしまっていいのか?という葛藤がありました(笑)。よかったんですか?本当に。
Roland:むしろ、このスタンプはこれまでのローランド・ファンの方々と、ローランドにあまり馴染みがなかった方々、両方から好評なんです。
ワタナベ:ふーっ・・・・それは、安心しました(笑)!!
多くのLINEスタンプをリリースしているワタナベさんだからこその発想が多数盛り込まれた「ほほえましいローランドスタンプ」。音楽や楽器に関係ないところでも使えるようデザインされていますので、ぜひ使ってみてください。
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