こんにちは。皆様は、「エアロフォン」という楽器をご存じですか?世の中にありそうで無かった、どなたでも楽しく演奏できる新感覚のデジタル管楽器です。開発チームのあらゆる試行錯誤の中から生まれたばかり。そんなエアロフォンは、今、世界中で、サックス奏者をはじめ、多くの管楽器奏者の方がトライし、新しい演奏スタイルを楽しんでいらっしゃいます。実際に演奏された方のご意見やご要望、時には厳しいお言葉に、真摯に耳を傾けて、この楽器を成長させていきたいと強く思っています。
・使われている方が、この新しい楽器をどのように楽しんでいるか?
・エアロフォン・オーナーの楽しみをさらに広げるためにはどうすれば良いか?
・まだエアロフォンの経験のない、多くの方々にその楽しさを知ってもらうためにはどうしたら良いか?
そういったことを考えぬいた結果、本連載を企画してみました。「MY STORY 私がエアロフォンを吹く理由」と題したこの連載は、オーナーとエアロフォンの関係を探る新しい企画です。
今回は、ローランドの本社もある楽器の街「浜松」から、浜松市楽器博物館に勤務され世界中の楽器展示を通して、音楽の文化を発信しながら、フルート演奏家としても幅広く音楽活動をされている小池真梨さんに登場いただきました。「フルート演奏家がエアロフォン?!」とても興味がありますよね。楽器博物館で定期的に開催されているコンサートで、エアロフォンを演奏される。という情報を聞きつけたローランド開発スタッフがおじゃましたのが小池さんとの出会いでした。世界中の楽器、文化と進化を身近に接している小池さんとエアロフォンとの出会いエピソードとともに浜松の美しい海岸での写真が素敵です。それでは、インタビュー形式の本編をごらんください。
小池さんの音楽歴、主に演奏している楽器について教えてください。
幼少よりヴァイオリンに憧れていたのですが、まずは4歳からピアノを習いはじめました。その後、小学校6年からフルートに出逢い、中1~高3では、浜松市文化振興財団が運営している「ジュニアオーケストラ浜松」に在籍します。こどもミュージカルの音楽を担当したり、アメリカNY州に演奏旅行にいくなどクラシックにおける幹となる様々な経験をしました。
中学は吹奏楽部でフルートを。高校では音楽研究部にはいり、意外だとよく言われるのですが、3ピースバンドでベースを担当。大学では音大に進み、クラシックのフルートを学びました。
フルート奏者としては、映画音楽のレコーディング参加や2014年浜名湖花博閉会式演奏会。2016年ハママツ・ジャズ・ウィーク出演など。2017年はフルート専門誌「THE FLUTE」企画「糸コンテスト」にて準グランプリをいただきました。
また、普段は「音楽の都 浜松」にある楽器博物館に勤務していて、展示品(歴史的なピアノ、チェンバロ、オルガンなどの鍵盤楽器)のギャラリートークを行ったり、博物館のコンサートのサポート、「移動楽器博物館」という小学校で楽器の授業をしたりと、楽器に囲まれて音楽の仕事をしています。演奏活動としては、「Himawari」という「フルート・ピアノ・パーカッション」の3人ユニットで、浜松市を中心に活動しています。曲にあわせてそれぞれが得意な楽器を駆使するスタイルで演奏しています。(演奏可能楽器:フルート、ピアノ、マンドリン、クラリネット、パーカッション)エアロフォンが入ったことによって、劇的に演奏の幅が広がりました。
フルート演奏者がなぜ?エアロフォンとの出逢いを教えてください
職業柄、クラシック音楽で使われる楽器以外の世界中の楽器を毎日目にしています。プロフェッショナルな民俗楽器の演奏を聴く機会もとても多く、自分自身の音楽の世界も広がるきっかけとなりました。
そんな中、憧れているフルート奏者の方が、電子管楽器で様々な音色を巧みに操り、多方面で活躍しているのをみて、ウィンドシンセの世界に興味がでました。
そこで!去年の誕生日に、自分へのプレゼントとして購入しようと決心します。ちょうどその頃、RolandさんからAerophoneという新楽器が発売されることを偶然知りました!
憧れのヴァイオリンの音も内蔵されていたり、馴染みはあるけれど演奏することができないクラリネットやトランペットなどの楽器や、二胡やバグパイプなどの民族楽器の音も豊富で、音質もとても良いのですぐに購入を決めました。笑
発売後すぐに買ったので、今までに3回ほどアップデートがありました。iPhoneのように楽器自体がアップデートされ、楽器の中身がどんどんと「進化」していきます。これは、フルートにはできないことなので、クラシック畑で育った私にとって新しい感覚でした。さらに、ケータイのアプリで簡単にオリジナルの自分だけの音をつくることができておもしろいです!この時代に生まれた喜びも感じましたね。笑
エアロフォンとフルートの2重演奏で、コンクールに見事入賞されたそうですね。「おめでとうございます!」応募背景や演奏で苦労されたところなどありましたか?
ありがとうございます。
「THE FLUTE」というフルート専門誌の企画で、中島みゆきさんの『糸』という楽曲を演奏するコンテストがありました。フルート2重奏とピアノ伴奏の楽譜が雑誌についており、参加者はソロ・デュオ・オリジナルの3つの部門で応募します。
SNSで多重録音の動画をよく目にし、以前よりチャレンジしてみたいな〜と思っていたので、
フルートとエアロフォンの2重奏で応募しました。初めての多重録音の挑戦!せっかくエアロフォンを手に入れたばかりだったので、自分の憧れの楽器で演奏をしたいと思いヴァイオリンの音色を選びました。そして、思いがけずに準グランプリをいただくことができました。
苦労したところは、アコースティックなフルートとエレクトリックなエアロフォンの音量のバランスの調整です。ヴァイオリンのように流れるような丁寧な演奏をしたかったのですが、応募時は、エアロフォンを吹きはじめて日が浅かったので、改めて聴くと反省点ばかりです…。笑
今回の課題曲である『糸』という曲は、みなさんもよく知っている曲だと思いますが、「人と人の巡り合わせ」の意味を歌っています。聴く人の心に沁み渡るメロディーや歌詞で、私も大好きな曲の1つです。実は、Aerophoneに出逢ってから、素敵なご縁が増えたように思います。
Aerophoneを購入直後に大学の友人とばったり再会をし、近況をきくとEWIのエンドーサーをしているということで意気投合しました。そこで3月に楽器博物館でAerophoneとEWIの電子管楽器のコンサートをすることになりました。そして、そのコンサートにAerophoneの開発者の方も来てくださるとても嬉しい出来事もありました。私にとって、楽器の開発者の方とお話ができるのは本当に光栄なことだと思っています。例えば、「ピアノ」を発明したのはイタリアのクリストフォリという人物だといわれていますが、今、クリストフォリとお話をしたくてもできないですよね。このコンサートの時ほど、Aerophoneの故郷である浜松に住んでいて良かったと思った日はありません。笑
小池さんにとってエアロフォンは音楽活動の中でどのような存在になっていきそうですか?
現在は主に「Himawari」での活動で、曲の雰囲気にあわせて、フルートやAerophoneで音の実験をしながらメインのメロディー楽器を選んでいます。今後の展望としては、来日したレゲエのアーティストが横浜の音楽フェスでAerophone を使ったのをみて衝撃を受けたので、Aerophone をメイン楽器としてだけではなく、バンドに合うサウンドをつくるためのマルチな使い方をしていきたいですね。
あとは、Aerophone を購入後、不思議と電子楽器にハマる女子が身近に増えたので、そういった仲間とおもしろいコラボレーションをどんどんとしていきたいです。また、3月のコンサート動画をSNSにあげた所、それを見て即日購入して下さった友人もいました。普段のコンサートの時も、演奏を喜んでいただけたり、吹いてみたい!という声を世代を超えてよくいただきます。そして、私が演奏活動をしている目的のひとつに、「みなさんの生活の中に音楽が身近なものになってほしい」という願いがあります。Aerophone は、演奏する楽しさや音をつくる喜びを感じられるとても魅力的な楽器です。また楽器をはじめたい!という方や、私のように電子楽器初心者の方こそ楽しめる、とても可能性のある楽器なので、どんどん仲間が増えていけば嬉しいです。なので、電子楽器初心者ならではの視点で、初心者の方にも、手にとってもらいやすい教本もつくってみたいなという野望もひそかにあります。笑