【ARTIST】テクノ・ミュージシャン 星優太によるDJ-808分析 Vol.2

【第二回】テクノ・ミュージシャン=DJではない人 星優太がDJ-808を体感!第二回はDJ-808に搭載されたヴィンテージ・リズムマシン&ボイス・トランスフォーマーについて。

テクノ・ミュージシャン、星優太が
DJ-808を触ってみる

第二回
DJコントローラに楽器が載っているとはどういうことなのか?

みなさんこんにちは、星優太です。
第一回の連載を掲載した直後から「いつの間にDJになったの?」と聞かれるようになりました(笑)。バンドでドラムを叩いたり、AIRAシリーズを使ってライブをしている姿を知る友人には、僕がこの連載をしていること自体イマイチしっくり来てないようですね。まぁ、この連載が終わる頃にはそんなことも言われなくなると思いますが!!

今回はDJ-808に搭載された「楽器」について紹介しましょう。言ってることがよくわからないかもしれませんが、最後まで読んでみてください、きっとわかります!

DJ-808=DJコントローラ+ヴィンテージ・リズムマシン+ボーカル・エフェクター

DJ-808は、PCを使ったDJプレイができるコントローラ。しかし、一般的なコントローラとは大きく違う部分があります。それは・・・コントローラ上部に占めるTR-S&VTの部分。

解説動画があるのでご覧ください。

これこそがRolandのDJコントローラの特徴!といっても一機種しかないのですが!今回はこのTR-SとVTの部分をじっくり紹介していきます。

Roland製ヴィンテージ・リズムマシンが入っている!

DJやトラックメイカーで、Roland TRシリーズを知らない人はまずいないでしょう。DJ-808には、テクノやヒップホップなどジャンルを問わず使われるTR-808、そのHiHatがなかったらハウス・ミュージックは存在しなかった!とさえ言われるTR-909、90年代に多様されたTR-707、TB-303とお揃いで並べたくなるTR-606といった、歴代のRolandヴィンテージ・リズムマシンのサウンドが搭載されています。

▲伝説的名機、TR-808のサウンドが出る!

TR-8と同様、ACB(Analog Circuit Behavior)というテクノロジーでオリジナル・モデルを部品単位で緻密に研究/モデリングして再現しているとのこと。TR-808のKickや、TR-909のHiHatなど、いずれも特徴がしっかり再現されていると思います。単に再現するだけでなく、例えばTR-606の各インストをエディットしてみるなどの「if」も実現しています。ヴィンテージ機器を改造してエディットするのは、勇気が要りますからね。

▲ACBって、こんなものです。

演奏方法は、人それぞれ

このTR-S、もちろん音だけでなくパターンを打ち込むシーケンサーも搭載しています。このシーケンサーとserato DJの楽曲を完全にSyncさせて演奏させることもできるのが、DJ-808が提供する新しい演奏表現。例えば、Snareだけを打ち込んでおきフェーダーを使ってRollを抜き差ししたり、HiHatを重ねて2枚使いにしたりと、その可能性は無限にありそうですね。ドラム音はPadで演奏したい!という方もご安心を。プラッター下のPadでTR-Sの音を直接トリガーすることもできます。Pad上段×4は単発で鳴らす用、下段はRollで演奏する用として使えます。打ち込むも良し、叩くも良し!

声を加工できる、VT

VTとは、Voice Transformerの略。ボーカル・エフェクターのように捉えてもらうといいかもしれません。DJをやりながらボイス・パフォーマスをする人はもちろん、MCと一緒にステージに上がるDJにもオススメの機能です。
声質を劇的に変える「PITCH」「FORMANT」は、トリッキーな声を瞬時に作り出すのに便利。一度使うと病みつきになると思います(笑)。もう一つのエフェクト「REVERB」は、ダンス・ミュージックでのパフォーマンスに最適なものを搭載しています。部分的に強烈にリバーブを掛けて声を”飛ばす”ときなどに便利ですね。
VTといえば、ロゴ上にある「AUTO PITCH」が目立ちます。これはserato DJ上の楽曲のキーに合わせて「ケロ声」を出せるというスグレモノ。今や定番化したこのケロ声を簡単に出せるDJコントローラ、他には無いですね。

▲DJ-808 Mini-mix with DJ Earl and Spinn of Teklife

▲DJ-808の発表の様子。18:44あたりからVTの紹介をしています

というわけで、TR-SとVTの正体は、それぞれ「リズムマシン」「ボーカル・エフェクター」と、単体でも成立するクオリティを持った「楽器」なのでした。前回の締めで「DJコントローラは楽器」と述べたのですが、それがより一層裏付けられたような気がします。ただ曲を流すだけじゃつまらない、他の人とは違う表現方法を模索している・・・そんな方にはベストな選択肢ではないでしょうか。

次回はAIRAユーザーが最も気になっているであろうAIRA LINKについて触れてみます。お楽しみに!

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