武井:そもそも僕と山崎は、別のバンドにリズム隊として所属していたんです。そのバンドが急に活動を休止してしまって、でもいくつかライブが決まっていたので、その穴埋めのような形で、2人で新しくバンドを組んだことが始まりです。ただ、前のバンドでは、メンバーにはボーカルとギターもいましたし、僕らは舵取り役でもなかったので、イチからバンドを転がしていくという経験は初めてでした。ボーカルとしても素人同然だったので、「本当に大丈夫か!?」と思うくらい、真っさらな状態からスタートしたんです。
山崎:新譜の音からもイメージしてもらえるかもしれませんが、「楽しくやりたい」っていうことが、一番のテーマでした。だから当時は、お客さんに向けて僕らが何かを発信するというよりも、まずは自分自身が自由に音楽を楽しみたいということが、このバンドを組んだ時の素直な気持ちでしたね。音楽のジャンルとかも、特に限定もせずに。ただ当時、好きで聴いていたバンド、例えば、ザ・ストロークスやヴァンパイア・ウィークエンドといった、USインディーの影響は受けていたと思います。
八木:それまではギター・メインで、シンセはJUNO-Diを持ってはいたんですが、ライブでもちゃんと弾くようになったのは、Czecho(No Republic)に入ってからです。
砂川:Czechoのマネージャーと僕は、昔からの飲み友達だったんです。僕が活動してきたバンドが解散することになって、その話を今のマネージャーに相談したら、ちょうどCzechoもギターが脱退するタイミングで、「ちょっとやってみませんか?」という話になって。当時は、Czechoと対バンをしたことはあったんですけど、それほど親交があったわけでもなかったので、その時の話がきっかけでした。
タカハシ:私は、実はインディーズの1stシングルにもコーラスで参加していて、付き合い自体は、割りと長いんです。元々、私は1人で音楽をやっていたんですが、私の知り合いが武井さんと友達で、「レコーディングで、女の子のコーラスを探している」という話を聞いて、紹介してもらいました。
武井:サイケデリック!
タカハシ:ある意味、サイケデリックでした。まったくダメな感じの(笑)。一応、ギターと、あとオケを流しながら歌うスタイルでやっていました。
武井:いや、むしろそれまでが、人手が足りずに苦戦していたような状態でした。僕が曲を作った段階で、以前の人数で音を鳴らすのには、相当無理があったんです。だから5人になって、やっと曲が表現しやすくなったという感覚です。
武井:新譜に入っている曲に関しては、ほとんど弾き語りで作りました。ごく普通に、ギターと歌で、Aメロ/Bメロ/サビくらいの流れを作って、まずは自宅で、パソコンを使って試行錯誤しながらアレンジしていきます。そこである程度の形になったら、みんなにデモを投げる感じです。僕はまず、みんなに“音”を聴いて欲しいので、その段階のデモは、歌詞は割と適当ですね。
八木:その武井さんが作ったデモの段階で、ギターやシンセに関しても、曲の骨格はできている状態なんです。
砂川:そこに、僕らがさらにアレンジを加えていったり、あとは音色ですね。どういう音色で、どういうフレーズを弾くか、そこを考えていきます。
タカハシ:そうですね。ただ、実際に弾いてみて、「何か違う」と感じたら、武井さんと相談しながら音色を変えていきます。でも八木さんの場合は、「こういうのどう?」っていう感じで、デモとはまったく違うものを出してきて、「あ、それいいじゃん!」みたいな感じで取り入れていくこともよくあるんです。その点、私はデモの空気感をそのまま表現していくことが多いですね。
武井:今までライブでやってきた曲や、インディーズでリリースした曲もありましたから、楽曲的には、テーマはあってないような感じでした。ただ、レコーディングという点では、これまでは割と軽い音で録っていた部分があったので、今回は、ロー感をしっかりと詰めて、温かみを出しつつ、立体的なサウンドにしたいという気持ちでレコーディングを行いました。ですから、音像をどうしていこうかということを、よく考えたレコーディングでした。
武井:自然と言えば自然に出ている部分ですけど、でも、意識していると言えば、意識していますね。やらないと気が済まないタイプなんで(笑)。
砂川:武井さんが作るデモに関して言えば、やっぱり音色はあまり普通な感じではなくて、「遊び心がある作品にしたいんだろうな」っていうことが、デモから伝わってくるんです。だから僕のギターも、遊び心のある音色やフレーズを作ろうとしている側面はありますね。抑えるところは抑えて、でも外すところは、あえて変な音色にしたり、面白く聴かせたいという意識はあります。
タカハシ:私の場合は先ほども言ったように、シンセについては比較的デモのイメージのままプレイすることが多いんですが、でも、海外のインディー・ポップに影響を受けていて、いわゆる日本の音楽にはない要素をそこから吸収しているような気がしています。だから、例えばコーラスとかは、かなりこだわって作っています。具体的に言えば、「国境」とか「エターナル」とか。
八木:コーラスは、頑張りましたね。
タカハシ:八木さんが、すごく変なアイデアを出してきたりするので(笑)。他にも、「幽霊船」や「Don’t Cry, Forest Boy」とかも、コーラスは凝りに凝って作ったので、面白い感じになっていると思います。
八木:あと、僕のシンセ・パートに関しては、曲の重要なフレーズをJUNO-Diで弾くことが多いです。ほぼプリセット音色のままで、例えば、「ネバーランド」の一番大事なメイン・フレーズは、[Sy134:Squeepy(SYNTHカテゴリー)]ですし、「国境」でずっと鳴っているパッドは、[Vo079:HugeSoundMod(VOCAL/PADカテゴリー)]を使っています。JUNO-Diを使うことで、ライブでのアルバムの再現性も高まるので、より一層、バンドの中でJUNO-Diの重要度が増してきています。
八木:ライブでの使いやすさです。特に僕の場合、ギターをやりながらシンセも弾くので、トラブルがなく安心してプレイできる点は、とても気に入っています。
八木:めちゃくちゃ面白かったし、めちゃくちゃ欲しくなりました。今、使っているJUNO-Diの進化系という印象もありましたし、ライブで使ってみたいです。音がすごくよくて、ボタンの操作もしやすい。それにエフェクトが強力なので、飛び道具的な使い方もできそうですね。
タカハシ:私って、シンセに関しては初心者に近くて、簡単な操作しか分からないんですが、それでもVR-09はとてもシンプルなので、例えばピアノが鳴らしたい時も、ボタンひとつで簡単に演奏できたり、とても分かりやすかったです。すぐにでもライブで使えそうですね。
八木:それに、すごく軽いですよね。
タカハシ:すごい!
山崎:曲自体がピコピコしていて、シンセ・ベースが入っているので、この曲だけは、最初から「ドラムは生じゃないよね」っていう話をしていて。それでV-Drumsの古いモデルをレンタルしたんです。電子ドラムを叩いたのは、実はその時が初めてでした。
山崎:最高ですね! 叩き心地がすごくよかったです。特にキックがいいですね。超踏みやすい。それにレスポンスも、めちゃくちゃよかったです。
武井:曲作りや制作にもよさそうですよね。この前のレコーディングで、生で叩いたドラムに、ハイハットだけMIDIで打ち込んだものに差し替えたりだとか、そういうことも僕らはやっているんですよ。あと、トリガーを付けて、生音と音源を重ねたり。ただ、どうしても生ドラムだと、マイクで録らないといけないので、音の“被り”の問題で、完全に差し替えることって無理じゃないですか。そういう時に、V-Drumsはすごくよさそうですね。
武井:すげぇ! じゃあ、12回払いでお願いします(笑)。
武井:こういう楽器は、ライブで使ったら、めちゃめちゃ面白いと思います。音色の種類がたくさんありますし、音質もすごくいい。アルバムと同じ音を、クオリティを下げずにライブでも再現できるので、超頼もしい存在になりそうですね。
砂川:そこが画期的ですね。本当に使える。すぐにでも導入したいと思いました。
砂川:前から気になっていたんですが、実際に弾いてみて、すごく楽しかったです。GK-Ready Stratocaster ® GC-1とGuitar Synthesizer GR-55の組み合わせで、本当にいろんな音が鳴らせて、もう全然時間が足りないくらいでした。思っていた以上に使いやすくて、ライブの実践でも導入できそうです。それこそ、僕はギターでシンセ的なサウンドを鳴らしたりしていて、でも「もっとこういう感じで鳴らしたいんだよな」って感じることもよくあるんです。GR-55を使えば、そういう局面で活躍してくれそうに思いました。
武井:僕はボスのコンパクト・エフェクターBass Synthesizer SYB-5を試奏しましたが、ライブでシンセ・ベースの音を出したい時に、これはいいですね。家で曲を作る時に、ベースを弾くのが面倒で(笑)、シンセでデモを作ることがあるんですが、いざ録ってみると、シンセ・ベースの方がいいなと思うこともあるんです。ただ、ライブでシンセ・ベースがプレイできるほど、僕は鍵盤が上手ではないし、かと言って、シンセ・ベースの曲で普通にベースを弾くと、ちょっと違うなと感じてしまうんですよ。そういう時にこれがあれば、普通にベースを弾きながらシンセ・ベースの音が鳴らせるので、これはちょっと試してみたいと思いました。
八木:どの曲にもいろんな音が入っているので、何回聴いても、「こんな音も入ってたんだ」って楽しめるアルバムだと思っています。
八木:聴かせたい音があくまでもメインとなるように、周りの音を引っ込めたり、抜いたりといったことは、今回のレコーディングですごく考えました。そういう意味でも、音を洗練させられたと言うか、上手く整理できたと思っています。そこが、結構こだわったところですね。
砂川:ギター目線で言うと、曲によって楽器を持ち替えたり、コンボ・アンプとスタック・アンプを使い分けたりと、細かく調整しました。あとは、ブースに入って録るのか、それとも外で録るのか。そこはこだわりましたね。E.BOWやオクターバーで、ギターっぽくない、いわゆるシンセやオルガン的なサウンドを作ったり。そういった、遊び心のあるギターに注目してもらえると、楽しんでもらえるんじゃないかと思っています。
タカハシ:八木さんの話と重なりますが、本当にいろんな音や、楽器を使ったんですよ。例えば、靴の音とか、灰皿を叩いて……何の音にしたんだっけ?
武井:踏切!
タカハシ:そうだ。踏切の“カーン、カーン”っていうような音にしてみたり。あと、鉄琴の音をリバース再生させたり。元々、北欧のバンドが好きで、サウンド的にも影響を受けているので、そういった音楽からインプットしてきたものを、このアルバムで試してみました。いろんな音が楽しめるという点は、聴きどころだと思っています。
山崎:僕としては、躍動感を楽しんでもらえると嬉しいです。ライブを見ていただけると分かると思うんですけど、僕は結構、パワー・ヒッターというか、ガンガンいくタイプのドラマーなんです。レコーディングも、クリックは聴いてますけど、ガンガンいっているんで。
砂川:山崎のドラムって、僕はチューニングが独特だと思っているんです。いわゆる、最近の日本のロック・バンドにありがちなドラム・サウンドとは、ちょっと違う感じがする。そこが面白いところかなと思ってます。スネアのチューニングも、かなり独特ですよ。
山崎:あぁ、でもそこは、あんまり意識してないかな。残念ながら(笑)。
タカハシ:叩けりゃいいの?
山崎:うん、叩けりゃいいと思ってるんで(笑)。
山崎:あ、いいですね。そういう事にしておいてください(笑)。
武井:ポップなアルバムに仕上がっていると思うので、そのあたりを楽しんでもらいたいですね。1曲の中でも、あまり繰り返すフレーズがなかったり。
タカハシ:展開が多いよね。
武井:そう。1番と2番で、メロディが違ったり、メロディは同じでもオケがガラッと変わっていたり。とにかくバラエティ豊かなので、いろんな聴き方をして、いろんな音を発見してくれたら嬉しいです。10月31日のリリース記念ワンマン・ライブ、そして11月から始まる『エンジョイ!冬のネバーランドリリースツアー』では、まだライブで演奏したことのない曲もたくさんあるので、今はそういった練習しながら、プラス、アルバムにも入っていない新曲も織り交ぜようかと、いろいろ考えているところです。
山崎:はい(笑)。それは冗談で、最近は結構、アルバム寄りのドラム・サウンドになってきています。あまりパワー・ヒットすると、みんなの音を消しちゃうんで……。あ、そういう時に、V-Drumsがあると最高ですね!
タカハシ:V-Drumsなら、いくらでも叩いていいよ(笑)。
山崎:うるさかったら、ボリューム絞ってもらえばいいし。よし、そうしましょう!(笑)。
砂川:「そうしましょう!」じゃねえよ(笑)。
山崎:はい、ぜひお願いします!(笑)