【ARTIST】HoneyWorks宇都 圭輝氏 SOUND Canvasを語る

コンピューターミュージックをはじめた学生の頃に初めてSOUND Canvasシリーズを使ったHoneyWorks 宇都 圭輝氏。当時の思い出を振り返りながら「SOUND Canvas」シリーズの魅力を、語って頂きました。

HoneyWorks
宇都 圭輝氏
SOUND Canvasを語る

【PROFILE】
幼少より電子オルガンを習い、6才から作曲を始める。ゲーム音楽、アニメ・ソング、ジャズ・フュージョンを好み、尚美ミュージックカレッジにてDTM、シンセサイザーのノウハウを習得。ピアノ・音楽理論を篠田元一氏に師事。2014年5月よりHoneyWorksのピアノ・キーボード担当を始め、ライヴ・サポート、レコーディング参加、楽曲提供等幅広く活動中。


当時、コンピューターミュージックをはじめた学生の頃、DTM音源の定番的存在だった「SOUND Canvas」シリーズ。機材が進化する中、様々なシーンで今でも活躍する「SOUND Canvas」シリーズの魅力を、当時の思い出を振り返りながら語って頂きました。

DAWではじめての音源

僕が初めてSOUND Canvasシリーズを使用したのは音楽の専門学校時代でした。当時、DAW(DTM)を習う授業の際には必ずといって良いほど「PC一台につきSOUND Canvasシリーズが一台」という機材構成でした。そのため私にとって今でもなじみ深い思い出のハードウェア音源です。
近年はソフトウェア・シンセサイザーといった非常にハイクオリティな音源が普及してきました。しかし、これらを使う際、その音源を呼び出したり、またそれらをルーティングしたり、音を出すまでに最低限の知識が必要です。しかし、初めてDAWを触る当時の私にはそういう事にちんぷんかんぷんだったので、電源を入れたらすぐにあらゆる音が出るSOUND Canvasは、“音色を学ぶ”という点に置いてはとても優れていたなと思います。
また、当時の私はソフトウェアよりもハードウェアが好きだったし、SC-8850はシャンパンゴールドでルックスもゴージャス!そして、こんな小さな箱の中に1600を超える膨大な楽器音が入っているのか~と驚いたりして、とてもお気に入りの音源でした。SOUND Canvasシリーズなしに私の音楽人生は語れないといっても過言ではないです。

慣れ親しんだユーザーインターフェース

専門学校を出た後でカラオケ音源制作、着信メロディ制作のお仕事にも携わって来たのですが、その際に使用していた機材がSC-55mkII、SC-88を使用することが多かったです。学生の頃より環境がダウングレードしておりちょっと面白かったのもありますが、発売してXX年経った今でもデファクトスタンダードの音源として活躍していることにとても驚きを感じました。
どの機種も共通の操作性を持ち使い勝手がよく、特に音色の選び方については共通性があったので、使いたい音色をスピーディーに選択することができました。
良く使った音色はなんといっても「Square Wave」。メロディやハモリに大活躍の音色でした。また、「Fingerd Bs.」の本来のベースでは出ない高音域部分をあえて使い、シンセのシーケンスパターンの代用音色にしたりしました。
J-POPやアニソンのような楽曲では良くサビでBrightnessを隠し味に入れたりしました。今現在でも使ったりしているのですが、ベルっぽくもあり、シンセっぽくもあり、程よく減衰感があり存在感もあるというお気に入りの音色です。
最近の音源と異なり、音色がリアル過ぎない事もあり、この音色はもしかしたら低音をつかえば・・高音をつかえば・・・~の音色っぽくもなるかも?みたいな面白い発想を当時の作品に反映させました。
個人的にはSC-55mkIIはコンパクトだった点がとても好きでした。また、SC-8850になるとディスプレイに楽器のアイコンが表示されるなどユーザーインターフェースが強化され、さらに使いやすくなったと感じました。今でも使っています。


ソフトウェアではあまり無いHIT音色が便利!

お気に入りの音色は、「Orchestra Hit」です。当時はこれがクイズ番組などで出題の際に使われているあの効果音「デデン!!」って音なのか!とびっくりしたものです。こういった定番のHIT音色はソフトシンセではあまり無いんじゃないかな?と個人的には思っており、便利で重宝しています。
この音源を使うメリットは、あらゆる音色が入っているのでジャンル問わずこれ1台で完結する所です。DAWをはじめる際に音源をあれこれそろえる手間がいらないのでとてもオススメです。
ソフトウェアになり、よりUIが一新され音色も選びやすくなったし、それぞれのモデルのMAP変更もかなり容易です。
一番のお気に入りポイントは音色のエディットです。ハードウェアの時はSysExを駆使してかなり手間暇かけましたが、ソフトウェアになってユーザーインターフェースが直感的になりとても簡単になりました。最近のソフトウェア・シンセサイザーで慣れている方でしたら本当に一瞬で理解できるかと思います。
また、SOUND Canvasシリーズは、良い意味で音色が全てハッキリしており、動作も軽いのでパートが複数合わさった際にも個々のパートが良く聴こえるなという印象です。違う音源で作った曲のMIDIを、各パートの音の分離が良いSOUND Canvas VAで鳴らすことで確認できる音のぶつかりや、SOUND Canvas VAで鳴らしたことによって生まれた新たな発想を使うことも多いです。

SC-VA

SC-VA_mixer


80~90年代のエッセンスを入れたい方にオススメ!

近年では安価で高音質な音源を手に入れる事が出来ますが、楽曲を作る際に80~90年代のエッセンスを部分的に入れたくなる事もあります。最新の音源とは質感が異なるので持っていて重宝すると思います。
前述のとおり、PCにかける負荷も圧倒的に少ないのでノートPCを使って“趣味で作曲をしてみたい~!”なんて方にもオススメです。
また、私のように、昔SOUND Canvas シリーズをよく触っていた方は、過去に打ち込んだMIDIデータを引っ張り出して来てSOUND Canvas VAで鳴らし、思い出に浸ってみるのも良いと思います(笑)

データ解説

緊張感あふれるRPG風の戦闘曲をイメージして作成しました。コントロールチェンジを使ったストリングスのトレモロ奏法や後半には変拍子を入れたりしてみました。
冒頭など一斉になるパート数が多いセクションは、いつもなら音のぶつかりとか細かくノートで見るのですが、SOUND Canvas VAの場合1つ1つ音の分離がハッキリしているのでとても分かりやすく、己の耳のみを信じてフレーズを組み立てて行きました。

イメージは“F”から始まる超メジャーRPGです(笑)

デモ曲Audio再生

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