AUDIX ARTIST/ENGINEER INTERVIEW #08 Isla・la

独自技術による高品質と優れたコストパフォーマンスが特徴であるRoland Partner Brandのマイクブランド「AUDIX」、その魅力を多角的にお伝えするインプレッション・インタビュー。音楽ユニットIsla・la(アイララ)より声優/歌手として活躍する保志総一朗氏と、歌手/作詞家として活躍する小寺可南子氏の2人に、声優と歌手それぞれのマイクに対する向き合い方とおススメのAUDIXを伺いました。

OM3を1本持っていれば間違いないと思います

#08Isla・la

コンデンサーマイクのA131は私にぴったり

お二人は仕事上、マイクと接する機会が多いと思います。マイクそのものを意識したのはいつ頃からでしょうか?

保志:マイクはスタジオで使っていますが、歌を録る時にマイクを替えてもらったり、スタジオによって違うマイクで“こういう音なんだ”って、種類を意識しはじめたのは最近ですね。声優として台詞をしゃべっている時って、ただ単に自分の声をそのまま録音してくれているだけの認識しかなかったので、マイクによってどう変わるのかって意識はなくて。でも、YouTubeで配信をするようになって適当に安いマイクを買ったら、普段聴いている音よりも悪かったりして、そのあたりからレビューを見たり“どのマイクを使えばいいのかな?”と試行錯誤するようになりました。配信で声を乗せるという部分では去年の後半ぐらいから、歌としてマイクを意識したのはIsla・laを始めてからなので3月ぐらいからです。

それまでは自分で用意するというよりは、スタジオにもうある状態ですよね?

保志:そうですね。スタジオのマイクは高価なものばかりだから、音が割れたりそういうことで足を引っ張られることはなかったけれど、自分でやった場合はオーディオインターフェイスの問題もあって、ちょっと声を出しただけで音が割れたり、マイクって難しいんだなと痛感しました。

小寺さんがマイクを意識しはじめたのは?

小寺:この間、この取材のきっかけになったDTMに特化した情報番組『DTM ステーション Plus!』にゲスト出演したんです。AUDIXのマイクを特集するということで、今回お借りしたマイクも体験させていただいたのですが、わりとマイク録り比べ企画に呼ばれがちなシンガーで(笑)。そういう企画に呼ばれるようになってからマイクの奥深さに気づいて、いいなと思ったマイクを覚えるようになりました。また別で飛澤正人さんというエンジニアの方の企画で、めちゃくちゃ高い真空管マイクを試させてもらって、いいなと思ったのですが真空管マイクは管理が大変じゃないですか。

そうですよね。

小寺:で、私はけっこう雑な性格なので(笑)、強い、安い、ちょっとやそっとじゃへこたれなくて軽いマイクがいいなと。

保志:強い、安い(笑)。

小寺:そういう意味で、今回お借りしたマイク(OM3、OM6、OM11、A131)の中でも、コンデンサーマイクのA131は私にぴったりだなって。軽くて、歌も声の種類も選ばずに録れる。コンデンサーマイクって、マイクだけあればいいわけじゃなくてショックマウントやポップガードといった付属品が必要ですよね。“せっかくのコンデンサーマイクなら、そういうところにもこだわらないと”という意見もわかりますが、A131はこれひとつあると万能。だから、自宅の環境でマイクを使おうと思ったらA131がおすすめだと思いました。

保志:自宅でマイクを使い分けていたりする?

小寺:主にシャキッとしたマイクか、温かいマイクの2つで比べることが多くて。スタジオだと最近はNeumannかSonyのC-800G/9Xで、自宅ではaudio technicaの手に入りやすいマイクとか。最近はIsla・laで構えたスタジオ兼事務所で、シャキッと系のマイクをひとつ導入したんですよね。LEWITTの価格が安いやつを。それとはまた性格の違う、温かい系というか素直系のマイク(AUDIX)が今回来たので、今後歌を録っていくにあたって選択肢が増えたなと。

保志:今回は、ライブで歌える系というかダイナミックマイクが多かったから。録音するのはコンデンサーマイクというイメージがあるのですが、今回のマイクはスタジオや録音にも使えるんですか?

そうですね。ダイナミックはやはりライブに特化したチューニングなので、声を録る時にマイクの感度の幅が狭いと言いますか指向性がかなり狭い。スタジオだと静かなので、コンデンサーのように感度の高いマイクのほうが使い勝手がいいとは思います。とは言っても、OM6は音のバランスもコンデンサーに近いチューニングになっているので、スタジオでお使いいただいても大丈夫だと思います。

保志:そういう意味では、OM3よりもOM6のほうがスタジオ向きなんですか?

そうですね。OM3はロー感がやや弱いチューニングなので、男性の方であればバランスが取りやすいと思うのですが、女性の方が使われる場合、音域が高いとそこだけ強調されてしまうこともあります。

保志:確かにそれは感じましたね。

OM6はそれに比べてロー感もボリュームが出るチューニングなので、女性の方でも扱いやすいです。

保志:ただ今回は他のマイクに比べてOM3とOM6が近い感じがして、OM11はよりOM3とOM6と違いがあるなって。

小寺:OM3とOM11を比べたら“あー!”っていう感じがありました。保志さんの声だと、低音の鳴っているところの差が、OM3よりもOM6のほうがビブラートした時の艶がより出ていたし、OM11になるとさらに。自分の声だとちょっとよくわからなかった(笑)。

保志:どれも高い成分が目立っていたからね。でもクリアに入っていたよ。

小寺:OM3よりもOM6、OM11のほうがふくよかでした。

保志:たしかにOM11は安定感があったね。

LARGE DIAPHRAGM STUDIO CONDENSER MICROPHONE

配信も台詞もOM3で充分だと思います

どれが個人的にお気に入りですか?

保志:今回の中で言うと、OM11が一番バランス的に自分に合っていましたね。安定感というか、ライブでも使いたいと思いました。

小寺:ライブって普通、大きいステージに立たれている方ってワイヤレスじゃないですか。だけど小ぢんまりとした自主企画だったら、マイクを持っていって“試したいです”と言えるから。

保志:確かに。そのほうが音もいいだろうし。

小寺:出演者が多いイベントになればなるほど有線だと大変だからワイヤレスなんです。音にこだわる現場のライブイベントだと有線の率が高くて、大きい会場ではできないんですけどね。で、今度使ってみたいなと思っているのがOM11。私、10所帯ぐらいのバンドをやっていまして、生楽器がすごいんですよ。ドラムも真後ろにいるし、左右に男性ボーカルがいて、なおかつ後ろにホーンセクションを背負って歌うのですが、自分もパーカッションをしながら歌うから、指向性が広すぎてもダメだし狭すぎても声が外れて困る難しい現場があって。ただOM11はいろいろな楽器が鳴っているような現場でも負けないので、今度リハから持っていってみようかな。

小寺さんはコンデンサーマイクのA131が合うとおっしゃっていましたが、音的にはいかがですか?

小寺:良かったと思います。どのマイクも“しっかり出ていたね”と言ってくれるんですけど、自分的にはキャンキャンとした高い成分があまり好きじゃなくて。ただ、上のほうに伸びる声質をしているので、そこがまろやかに聴こえてくれる印象がありました。

保志:そうね。OM3とかOM6だと割れるわけじゃないんだけど、ちょっと危うい感じがするというか。“大丈夫かな?”みたいな印象があったね。で、歌以外に台詞でも試したんですよ。

小寺:台詞はどれも良かったっけ?

保志:環境によるかも。普通のモニターヘッドフォンと、ちょっとしたスピーカーと、iPhoneのイヤフォンで聴いてみたんです。それぞれで違うからなかなか難しいけど、iPhoneのイヤフォンで聴くとA131はすごくこもっちゃって、逆に良いマイクのほうがもったいない感じがあったり。安いイヤフォンはハイに特化しているから、OM3とかOM6はめっちゃ聴きやすかったりするんだけどね。

小寺:聴く環境によって違うってことね。

保志:台詞はSonyのモニターヘッドフォンで聴いたら、OM3・OM6・OM11はそのままの音って感じで聴きやすい。A131はちょっとエフェクトを掛けてくれているというか、空間を作ってくれる感じの音だと思いました。

感度が高くアンビエンス成分も入ってくるので、空間的な雰囲気は出てくると思います。

保志:だから自分の感覚だと、歌だとそういう空間が入っていたほうがいいんだけど、台詞と考えるとあまり装飾されずにダイレクトに声が入るほうがいいのかなって思った。OM3・OM6・OM11とか。

小寺:声だけを宅録で録る人はOM3でも。

保志:コスパはめっちゃいいと思う。というか充分だよね。

小寺:個人的に、保志さんのちょっと声が低く落ちていく時の語尾のニュアンスは、数字が大きいマイクのほうが良かったんですよね。

保志:うん、そうだね。

小寺:OM3よりOM6、OM6よりOM11のほうが深い成分の艶というか、色気はキャッチしていた印象がありました。

保志:だからOM11はいろいろな意味でダイレクトに来るし、何となく良い感じにしてもらえる。総合的にOM11がいい感じはあったかな。ただ、コスパを考えるとOM3でも充分!

最後に、購入を考えている人たちにアピールポイントをお願いします。

保志:個人的に好きだったのはOM11だけど、そこまで音質にこだわってやりたい場合じゃなければ、手を出しやすいという意味で配信も台詞もOM3で充分だと思います。

小寺:うん、良さそうだった。それこそSM58系のキャラクターに近いというか、日本人に馴染みのある感じに録れる。変に尖っていないし、まろやかすぎてもいない。1万円ぐらいの価格だから、歌では1本持っていて間違いないと思います。だから、私もOM3をおすすめしたいなと思います。

保志:ライブだとOM11を。いろいろな環境を想定した時に一番使いやすいんじゃないかな。

小寺:確かに。バラードを歌ってもついてきてくれそうだし、アップテンポの歌でも嫌な音域がそんなに乗らずに助けてくれそう。試してみたいなと思いました。

保志:OM11、一緒に使ってみたいね。

PROFILE

Isla・la

声優・歌手の保志総一朗、歌手・作詞家の小寺可南子、作曲・編曲家の森本貴大の3名による音楽ユニット。
保志の「新しい音楽活動がしたい」という思いをきっかけに、この3名ならではの音楽を追求していくというコンセプトのもと結成された。
楽曲リリースだけでなく、公式YouTubeチャンネルにて生配信やゲーム実況といった様々な試みをオンライン上で行う一方、リアルイベントの開催や、合同ライブイベント『声優紅白歌合戦』への出演など、多方面へ精力的に活動する。
 
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