【アーティスト直伝】SYSTEM-500で学ぶ、モジュラー・シンセサイザーの基礎1

【第一回】オシレーター+アンプで”音の鳴らし方”を知る。

SYSTEM-500で学ぶ、
モジュラー・シンセサイザーの基礎

Roland SYSTEM-500シリーズは、モジュラー・シンセサイザーの基礎を知るにも最適な機種。この連載では、動画とテキストでわかりやすくモジュラーの基本を解説。パッチングなんて怖い!と思っている方も、これを見れば大丈夫!!

第一回 オシレーター+アンプで
”音の鳴らし方”を知る

まずは、アナログシンセサイザーによる音作りの元となる基本的な波形を発振するオシレーター・ユニット「512」を、アンプ・ユニットである「530」に接続して音量を増幅させたり、音量をコントロールしてみましょう。
※モジュラー・シンセを触っていると、設定によっては大音量が出ることがあります。音量は徐々に上げていくようにしましょう!!

「512」には矩形波、三角波、ノコギリ波という三種類の基本波形が用意されており、それらは切り替え式ではなく、それぞれの波形を独立して同時に使用することができます。また、それらが2VCO分それぞれ用意されており、同時に六個までの波形を使用することが可能です。

最初に、「512」OSC 1の矩形波を「530」VCAのSIG IN(シグナル・インプット)にパッチ・コードで接続。ボリュームを上げると、50%幅の美しい電子的な矩形波の音が鳴ります。

次に、ピッチのオクターブ変更が容易に行える「RANGE」を回し、下は32フィートの低音から、上は2フィートの高音までの広範囲な音の高低差の違いを聴き比べてみます。

さらに、現在50%の矩形波の幅を「PW(パルスワイズ)」スライダーを使って変化させると、矩形波の豊かなバリエーションを確認することができるでしょう。ちなみに「PW」の右隣に位置する「PW MOD(パルスワイズ・モジュレーション)」に外部からのCVを入力すれば、自動的な周期変調させることも可能。

同様に、三角波の音色やノコギリ波の音色も確認してみます。それぞれことなるキャラクターであることが、よくわかります。

ちょっと進んだ使い方!

OSC 1とOSC 2の2つのノコギリ波をそれぞれ個別に「530」のミキサーへ接続。そして、互いの「RANGE」を同じ4フィートに合わせた後に、OSC 2の「RANGE」の右隣にあるチューン・ファイン・コントロール・ノブを使い、オシレーター1とのピッチを微妙に変化させてみます。すると、音程がズレるに従い、音が滲み出し、いわゆる温かみのあるディチューン効果を容易に生み出すことができるのです!もちろん、外部からのLFO信号などを「512」も「MOD IN(モジュレーション・イン)」に接続すれば、周期的なディチューン効果をつけることもできます。

こうした自由な発想に対応できるのが、モジュラー・シンセのひとつの面白さといえるでしょう。

執筆:齋藤久師

1991年『GULT DEP』でビクターエンターテインメントよりメジャーデビュー。 『Yセツ王』や松武秀樹率いるLogic systemなどに参加。 あらゆる世界のヒットソングをチップチューン化するユニット、『8bit project』でヨーロッパツアーを行う。
2013年より、Female Modulists「galcid」をプロデュースし、彼女達と共に、国内外問わず、フェスやクラブ、ライブイベントに参加するなど、活躍の場を広げる。2016年2月には、日本文化庁主催のメディア芸術際@インド・ムンバイにライブアーティストとして召集され、 日本を代表するメディアアートの地位を確立。
また、最新著書「DTMテクニック99(リットーミュージック)」や、 CM、映画音楽の他、Roland社を始めとするシンセサイザーの開発などのサウンドデザイン、プロデュースなど多岐に渡る。
Official Web|http://www.hisacid.com

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