ステージ・ピアノ Roland RD-2000の開発秘話。「デザイン編」ではラフスケッチやモックアップなど秘蔵の写真と共にデザインに込めた想いをお届け。
Roland RD-2000 開発秘話 デザイン編
ステージ・ピアノの代名詞、RD。その最新モデル”RD-2000”は、エンジニアたちの並々ならぬ情熱の結晶です。あまりお届けすることのない製品の開発秘話を、全5回にわけてお届けします。
ミュージシャンが想い描く「RDらしさ」を追求したデザイン
デザイン面でまず開発スタッフがこだわったのは「RDらしさ」でした。RDという”文化”には多くの開発スタッフがユーザーとして触れてきたので、その良さをしっかり継承したいと思っていました。その上で、「革新」も大きなテーマでしたので新しさや進化をどう伝えられるか?が課題でした。
RD-2000の後ろ姿に、RD-1000やV-Pianoの雰囲気を感じてほしい
外観/デザインの大きなテーマは「すべてのミュージシャンに、これまでと変わらないRDのプレゼンスに加え、新たなインスピレーションのきっかけを届ける」ことでした。RD-1000から続くRDシリーズと、新たに取り入れるV-Pianoのイメージを継承しながら、同時に何かをUnleash(=アップデート)しようと考えていました。こだわったのは、この両者のバランスです。歴代のRDシリーズ、それを愛用していただいたミュージシャンに敬意を表しつつ、新たなインスピレーションを具現化すること。ディテールひとつを決めるにも、これらのバランスに細心の注意を払いました。
過去機種の部材/部品構成、寸法、ディテールを検証し、そこで抽出した要素と新たなインスピレーションで再構築したのがRD-2000の外観/デザインです。オーディエンス側から見るRD-2000の後ろ姿に、RD-1000やV-Pianoの雰囲気を感じてもらえるかもしれません。
意図せず、RDの血統が反映されたデザインに仕上がった
ややマニアックな話ですが、具体的なデザインのプロセスを少しお話すると・・・製品をデザインする際は、ラフスケッチを元に微調整を加えつつ、それに合わせて機構設計者が内部の必要なハードウェアを考えていきます。今回驚いたのは、そうしてできあがった最終の絵が、RDシリーズの中でもっとも長く販売されたRD-700系とほぼ同じだったということです。内部のハードウェアの数や大きさ、搭載する鍵盤が新しくなっているにも関わらず、ほぼ同じ姿にまとまったことには、ある種の必然性のようなものを感じました。正真正銘、これまでの血統を受け継ぐ新しいRDになっていると確信しました。
側面のシルバー・ラインは、書道でいう「落款(らっかん)」
側面のシルバー・ラインは、すべての外観/デザインがまとまった後、最後に付け加えたものです。書道の世界では、最後に筆者が雅号の印を押すことを「落款(らっかん)」と言い、その落款は書画のバランスがもっとも際立つ位置をじっくり見極めて行うそうです。このシルバー・ラインも落款に倣い、慎重かつ大胆に、そしてRD-2000のひとつのとして付け加えました。