V-Drums Promising Youth Vol.01 RIKU

V-Drums Promising Youth Vol.01 ACE COLLECTION RIKU 音楽を楽しむ手段がネットを軸としたメディアに移行しつつある今、アーティストの活動スタイルも以前に比べて大きく変化してい […]

V-Drums

Promising Youth

Vol.01

ACE COLLECTION

RIKU

音楽を楽しむ手段がネットを軸としたメディアに移行しつつある今、アーティストの活動スタイルも以前に比べて大きく変化している。そこで今回は“V-Drums Promising Youth”と題し、いわゆるサブスク世代の注目若手ドラマーをピックアップ。ドラムを始めたいきさつから、現在活動する上で意識していることなどを聞いていく。以下は、2017年に結成されたZ世代4人組バンドACE COLLECTIONのドラマー、RIKUのインタビュー。ACE COLLECTIONは、結成日からYouTubeでのカバー動画を約3ヶ月間毎日配信したことが話題となり、つい先日メジャー・デビューを発表したばかり。そしてRIKU自身も、小学生の頃に投稿した動画がきっかけで注目を集め、幅広いジャンルの音楽をプレイしてきた経歴を持つ。そんな彼が描くバンドの未来、そしてドラマーとしての目標とは?

小学校5年生のときにV-Drumsを買ってもらって、自由度が一気に広がりました

初めてドラムに興味を持ったのはいつ頃ですか?

幼稚園の年長から小学校に上がるくらいのタイミング、たぶん6歳くらいですね。もともと両親が学生時代に同じ軽音楽部だったんです。父はベース、母はキーボードで。それで、僕が生まれてからも父が会社の友達と近所のスタジオを借りてバンドみたいなのをやったりしていて、それに僕もついて行ったのがきっかけで、ドラムをやりたいと自分から言ったらしくて。地元の楽器店の閉店処分セールで、子供用のドラム・セットを買ってもらって家で叩いていました。叩けば音が出るのが楽しかったんだろうなと思います。

最初はどんな練習をしていたか覚えていますか?

教則本に載っている基本的な8ビートとか手足の動かし方とかを、父が勉強して僕に教えてくれていました。それである程度叩けるようになると、バンド・スコアをたくさん買ってもらって、それをひたすら叩いていた感じです。最初はそれが楽しかったんですけど、周りの友達はゲームしたり水泳教室に通ったりしている中で、僕はずっとドラムを叩いていたので、途中で嫌になって練習したくなくなったこともありました。

親から与えられたものだったから?

なんて言えばいいんだろう……親も、いろんな環境を整えてくれたというのもあって厳しくしていたのかもしれません。割と最近になって、父の口からそれを直接聞く機会があったんです。やっぱりバンドで成功するというのは狭き門だから、バンドがダメでもセッション・ドラマーとして、ドラムだけで生活していけるようにしたかったんだと。ああそうだったのかと思いましたね。

そんなふうにして始めたドラムに、
気持ちがグッと入ったタイミングはいつでしたか?

小学校高学年くらいですね。最初は手足をバラバラに動かすので精一杯でしたけど、自分の中でターニングポイントになったのは、耳コピができるようになったことでした。自然と耳に入ってきていた好きな曲を耳コピして、スコアを見て答えあわせをするみたいな感覚で。その頃くらいから、頑張れば自分の好きな曲を叩けるようになったのが嬉しくて、当時は1日1曲はコピーしていたんじゃないかというくらいやっていました。その頃コピーしていたのは……ドラゴンボールが好きだったので「摩訶不思議アドベンチャー」とか、あとは親の影響で氣志團さんの曲とかをカバーしていましたね」

YouTubeにはRIKUさんが小学生の頃の動画もあって、
そこではV-Drums TD-20を叩いていますね。

小学校5年生の頃ですね。ある程度体も大きくなってきて、子供用のドラム・セットが叩けなくなったので、買ってもらいました。そのときは、大きなおもちゃを手に入れた感覚でしたね(笑)。時間を気にせず叩けるし、自由度が一気に広がりました。動画は父が撮ってアップロードしてくれたんですけど、当時は自分でもYouTubeを観る習慣は全然なかったし、ドラム動画をアップしている人もほとんどいなかった時代で、ただ撮ってもらった動画を観るためのツールという感じでした。

関連動画で観る名前も知らないドラマーからプレイの引き出しを得ることが多いです

小学生の頃は、いわゆるキッズ・ドラマーとして注目され、
X JAPANのToshIさんと共演したりもしています。

ToshIさんとのプロジェクトでテレビに出たり、大きなライブハウスで演奏したりしていました。でも当時はあまり実感がなくて……世の中を知らなすぎたというか、何も考えてなかったです。周りの大人たちから褒められても、それがすごいことだという感覚もなく、“当たり前でしょ”くらいに思っていました。今の自分が当時の僕を見たら“気持ち悪い奴だな”って思うと思います。ただ、音楽の道に進もうということはその頃から考えていました。音楽しかやりたくなかったし、それ以外を仕事にしようとは考えてなかったです。

中学生になると、ずいぶん厳しい部活にのめり込んだそうですね。

ジャズアンサンブル部という珍しい部活で、たぶんあの頃が一番ドラムを練習していたかもしれません。ドラムをやってる奴だというのが周りにけっこう知られていたので、半ば強制的に入部させられたんです(笑)。かなりストイックな部活で、平日は毎日朝練があったし、もちろん放課後も練習して、家に帰るのは夜7時くらい。その頃は、家のV-Drumsはほとんど叩いていませんでした。でも、おかげでものすごく上達したと思うし、今の演奏にもめちゃめちゃ役に立ってますね。ロック・ドラマーでも僕が好きな人にはジャズがバックボーンにある人が多くて、自分も一応それをルーツとして持っているのはけっこう強みになるのかなと。

高校時代はどうでしたか?

厳しかった部活から解放されて、その反動で1年間はめちゃめちゃ遊んでましたね(笑)。小学生の頃はテレビに出たり、中学の部活では月に何本もコンサートをしたり大会で優勝したりっていうのが、一気にプラスマイナスゼロになった感じでした。でも2年生になって、このままじゃいけないと思い始めて、まずは自分の足でライブハウスに通って知り合いを作ろうと。その流れでいろんな人との繋がりができて、年上の人から誘ってもらってバンド活動を始めました。

高校の文化祭で披露したドラム・ソロの動画は、
再生回数200万回を超えています。

けっこう自由な学校だったし、せっかくだから最後に何かやりたいなと思って。オーディエンスが盛り上がっているので救われていますけど、正直、完成度としてはガタガタですね。動画をアップしたのも、自分のことを知ってもらうために、何かしないよりはした方がいいかな、くらいの感覚でした。当時はバンドでライブ活動もやっていく中で、今の自分のスタイルが少しずつ確立されてきていた実感もあったんです。それを意識したドラム・ソロでしたね。ちなみに、あの日はドラム・ソロの後に渋谷のライブハウスでライブがあったので、文化祭を途中で抜けてライブに行ったんです。そのままカートに機材を乗せてさっそうと帰っていくというのが、当時はちょっとカッコいいかなと思ってました(笑)。

RIKUさん自身もドラマーの動画はよく観ますか?

めちゃめちゃ観ますね。一番多く観るのはInstagramです。関連動画で、自分の知らない海外のドラマーとかがバンバン出てきて、それをずっと観ているといつの間にか時間が過ぎてしまいます。自分のドラムの引き出しは、そういう名前も覚えていないようなドラマーから得ることが多いですね。

バンドの活動目標を具体的に設定して、YouTubeや複数のSNSを活用しています

当時やっていたバンド活動はどのようなものでしたか?

ちょっとプログレっぽい感じで、EDMの要素もある音楽をやっていました。すごく難しかったので、家のV-Drumsでしこたま練習していましたね。途中からはSPD-SXを導入して、ハウスっぽいスネアやクラップを鳴らしたり、キックをトリガーしてアタック感を出したりということを始めました。ずっとTD-20を使っていたので、ローランドの製品には愛着があったし、それをドラム・セットに組み込んだら超カッコいいじゃんって思っていました。可能性も広がりますからね。

ACE COLLECTIONのメンバーとはどのように出会ったのですか?

20歳になったばかりの頃、ボーカルのたつや◎をTwitterの弾き語り動画で観たのが一番のきっかけです。当時はバンド活動があまりうまくいってなくて、周りにカッコいいなと思えるバンドマンもあまりいませんでした。そんなときにたまたま動画が目に止まって、彼とだったらイケるんじゃないかと思って、すぐDMしたんです。それで、当時彼が組んでいたバンドのライブを見に行って話をして、意気投合しました。その後、高校時代から仲良くしていたベースの奏君を誘って、たつや◎が前のバンドのメンバーだったLIKIを呼んできてくれて結成したのがACE COLLECTIONです。それまでやっていたバンドを辞めるのはけっこう勇気が要りましたけど、それで今後の人生が変わるならそっちに賭けたいなと。

ACE COLLECTIONの人気に火がついたきっかけに、
YouTubeでのマッシュアップやカバー動画配信があります。
これを始めたいきさつは?

僕らはけっこう計画的なバンドで、かなり先の活動を見据えて、だったらいつまでにこれをしよう、あれをしようというのを考えて活動しているんです。そういう中で、知り合った人から“YouTubeをやってみれば?”と勧められたのがきっかけでした。いくらライブをやってもお客さんが増えないなら、まず自分たちの存在を知ってもらおう、好きになってくれる人の母数を増やすことにフォーカスした活動をしようということになったんです。そして、やるなら毎日投稿しよう、そのためにはメンバー全員で共同生活しよう、カバーするのも再生回数が多いものを選曲しようという具合いに、どんどん決めていきました。それに、YouTubeだけにこだわっていたわけではなく、いろいろなSNSの役割を使い分けてもいました。YouTubeは僕らの音楽を貯めておく倉庫で、Twitterはそこへ誘導するための新規獲得の場所、Instagramはアーティストシップを一番保てる場所、という感じです。

かなり戦略的に進めていったのですね。

かなり緻密に計算していましたね。YouTubeを始めたときに、1年後にキャパ1000人以上のライブハウスをワンマンで埋めるという目標を立てたんです。そのためにはチャンネル登録者がどのくらい必要かという目標を具体的に設定して、カバー動画だけでなく音楽に関係した企画ものの動画も投稿したりしました。その結果、半年でチャンネル登録者数が10万人になったんです。

そんなACE COLLECTIONの活動スタイルは、
バンドをやっていてもなかなか先が見えない人たちにとって参考になるところが多いと思います。

小さいライブハウスから始まって少しずつキャパを広げていくというように、ライブ活動を重ねて結果を出すというのがカッコいいと僕も思っています。でも、そういう道を歩むアーティストが少なくなってきたという時代の流れも感じるし、たつや◎の声を聴いてもらえばイケるっていう確信が僕らにはあったので、その環境を作るためなら手段は何でもいいと思っていました。今は、ライブハウスにもお客さんが来てくれるようになったので、最初の目標に少し近づいたと思うんです。でも、ライブを積み重ねるというところがまだ足りていないということも自覚しているので、バンドとしてある程度知ってもらえるようになったからこそ、説得力のある音楽を作っていくのが課題だと思っています。だから今とても楽しいし、これから先がすごく楽しみです。

ずっとV-Drumsを使ってきたので、
ドラム・セットといえばV-Drumsという感覚があります

ACE COLLECTIONの楽曲制作にはV-Drumsも活用していますか?

ドラムのフレーズは僕が作るんですけど、デモの段階ではV-Drumsを叩いてMIDIで流し込んでいました。そこで、例えばタムを叩いたところをハイハットの音色に変えたらどうなるか、みたいなことも試してみて、物理的に叩けるフレーズならそっちの方が印象に残るかなと……そんなふうにフレーズを探っていったり。

アコースティック・ドラムだけでは出てこない発想ですね。

はい、絶対にそうだと思います。ただ、共同生活していた部屋が去年の台風で被災して、長年使っていたV-Drumsが水没してしまったんです。それまではずっと家でV-Drumsを叩ける生活をしていたので、その環境がなくなってすごく不便になりました。単純に、叩きたいと思っても叩けなかったりするので練習パッドを買ったりして。電子ドラムがない生活ってこういうものなのかっていう感じですね。生のドラム・セットは今まで何度も買い換えているんですけど、電子ドラムはずっとV-Drums TD-20だったので、自分のキャリアを遡ったとき、“ドラム・セットといえばV-Drums”という感覚があります。

今日はTD-50のセットを試していただきましたが、いかがですか?

超カッコいいです(笑)。音がすごく良いし、叩く強さとか位置による変化も、より生っぽくなりました。見た目も最高ですね。いつか自分でも買えるようにバンド活動を頑張ります(笑)。

では今後、ドラマーとして目指すものは?

これはずっと変わらないことなんですけど、バンドで活動しながら、バンド以外でもドラムを叩きたいです。自分の帰る家はバンドだけど、行き先が他にもあるというか。バンドだと自分たちが主役ですけど、誰かの後ろで支える側に回ったドラムも叩きたいんです。今はアニソンとかのバックでドラムを叩くのが一番の希望で、ヒップホップの人ともやってみたいし、そのためには電子系のサウンドも取り込んでみたいし……興味は尽きないです。

ACE COLLECTIONのファンだけでなく、
バンド以外のところで活動するRIKUさんを見てファンになる人も出てくるといいですね。

はい。とにかくいろんなところで仕事したいです。ACE COLLECTIONの中でも、プレイヤーとして目立つ存在ではありたいし、カリスマ性を持っていたい。今はいろんなドラマーから“動画観てました”って言ってもらったり、僕がきっかけでドラムを始めたという人から声をかけていただいたりすることも多くて、すごく嬉しいですね。僕自身も誰かに憧れてドラムを始めたし、カッコいいなと思ってドラムを頑張っていたところもあるので、そういう存在になるのが一番の理想です。ドラム・セミナーとかもやってみたいですね。何が正解かはわからないですけど、バンド活動していく中で迷っている人にアドバイスできることがあればしてあげたい。僕がきっかけでドラムを始める人が増えたらいいなと思っているので、そういう機会を作りたいですね。

PROFILE

RIKU (ACE COLLECTION)

生年月日 / 1997年7月5日
出身地 / 神奈川

ACE COLLECTIONリリース情報

2020.1.15 Release 「約束のしおり」

ACE COLLECTIONツアー情報

『ACE COLLECTION ZEPP TOUR 2020』

4月19日(日)KT Zepp Yokohama
4月25日(土)Zepp Fukuoka
5月4日(月)Zepp Osaka Bayside
5月6日(水)Zepp Nagoya
5月15日(金)Zepp Tokyo

ACE COLLECTION オフィシャルサイト/ SNS

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