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KIYOLA Blog Archive
カリモク家具KIYOLA開発者インタビュー Vol.1
KIYOLA。こだわりのコタエ
ミラノサローネ2016 KIYOLA展示レポート
カリモク家具ショールーム見学記録
「木を知り、木を愛する家具メーカー」カリモクの商品開発から販促までの推進業務の責任者として、KIYOLAの企画を推し進めた山田郁二氏に、天然木へのこだわり、品質について語っていただきました。
電子楽器メーカー ローランドと家具メーカー カリモクの異業種コラボレーションにより実現したKIYOLA。インテリアに溶け込み、ピアノを身近に感じる、そのデザインの裏には、カリモク家具とローランドの想いが詰まっています。
KIYOLAの開発に携わったキーマンにスポットを当て、その想いをご紹介する「カリモク家具KIYOLA開発者インタビュー」。
今回のVol.2では、「木を知り、木を愛する家具メーカー」カリモクの商品開発から販促までの推進業務の責任者として、カリモク内でKIYOLAの企画を推し進めた張本人、山田郁二氏へその想いを伺いました。
-国産家具メーカーとして確固たる信頼を得ているカリモク家具さんですが、家具づくりの中で大切にされている点、こだわりなどを教えてください。
山田 – コーポレートメッセージとして「100歳の木を使うなら、その年輪にふさわしい家具をつくりたい。」という言葉があります。木にこだわり、「木づかい」は「気遣い」に通じるとして、品質にこだわった家具づくりを行っています。また家具は耐久消費財なので、お求めいただいた時からお世話が必要です。長年お使いいただいて、修理を行い、またその後もずっと長くお使いいただけるよう、メンテナンスサービスにも力を入れています。
-今回のローランドとカリモク家具のコラボレーション企画は、ローランドからカリモクさんにアプローチしたことがきっかけでした。お話を受けられたときに、どのように思われましたか?
山田 – 実は、ローランドから弊社のお客様相談室に飛び込みでお電話があり、驚きました(笑)。社内で対応した担当者が楽器好きだったこともあいまって、興味を持ち、ローランドの開発担当の方にお会いしました。「ピアノの良い性能だけではなく、本当にお客様が欲しいと思う、差別化できる電子ピアノをつくりたい。インテリアに着目し、天然木の無垢材にしかできない造形のものはできないだろうか」とのお話をいただきました。
インテリアに着目された提案に感動しましたし、弊社としても、ローランドさんの力をお借りして、インテリア需要拡大を図りたいという思いが沸きました。しかし、ピアノをつくるという取組みが初めてだったこともあり、まずは進めながら、お互いに課題を出し合し、適時判断するというスタンスで企画を進めていきました。
-KIYOLAの製品企画を形にしていく中でのエピソードなどありましたら教えてください。
山田 – 製品企画に際し、弊社のマーケティングセンター部門のデザイナーと、聞き取りや話し合いを多く持ちました。ローランドさんのイノベーティブな発想と、精度の高いモノづくりを志向される考え方は、弊社スタッフにとっても良い刺激となりました。
電子ピアノというのは、鍵盤、スピーカーボックス、電子基板など、さまざまなパーツで成り立っています。いつもの家具にはないような設計の制限がある中で、いかにインテリアに調和するデザインにできるか、デザイナーはかなり苦労したようです。
ローランド本社に一番最初の試作部品が集合し、試行錯誤を経て、初めてピアノとして組みあがったときに、デザイナーから出た言葉は、「自分で初めて絵を描いて、その家具ができあがったときに似た感動です」と。音が発せられて楽器として誕生した瞬間には鳥肌が立つほど感動し、あらためて物をつくっていく上での大切な気持ちを思い起こさせてくれた瞬間だったと話してくれました。
デザイナーは波に乗って初めて、よいデザインを生み出します。今回の企画は苦しみながらも、デザイナーが楽しんでモノづくりをさせていただけたと思っています。製品のデザインが生まれ、私に語ってくれたときの、デザイナーの真剣な眼差しを、今でも覚えています。
-天然木を採用した電子ピアノKIYOLAの魅力はどこにあると思いますか?
山田 -木は昔から人の近くにある素材で、人々は木に癒されてきました。”人偏に木”と書いて”休”と読みますよね。演奏前にKIYOLAに見て触って落ち着き、そして演奏に集中する。KIYOLAは、その木の魅力を感じていただけるようにデザインされています。そして、インテリアにすっきりと馴染み調和する。素敵なインテリアの中で、どんな時も、お客様や家族の近くに長く寄り添えることがKIYOLAの魅力だと思います。
-KIYOLAで使われている木材の種類と、それぞれの特長を教えてください。
山田 – 北海道で製材・乾燥された楢材と、北米のウォールナットを主材として使用しています。いずれの木も広葉樹と呼ばれる種類です。広葉樹は堅牢な木ですが、家具の材料として使えるまでは70年以上かかります。
反対に、比較的成長の早い木に、杉やヒノキなどの針葉樹があります。こちらは曲げに強いことから建物の構造に使用されます。ただ針葉樹の表面は柔らかく傷が付きやすい木です。そのことから、家具などには広葉樹を使用しています。
木材の成長には長い時間がかかりますので、北米材など持続可能な森林管理がされた材を使用し、環境に配慮しています。広葉樹はとても緻密で年輪などの表情も豊かです。手で触れていただくと、しっかりとした手触り感を感じていただけると思います。
-「インテリアに調和するピアノ」KIYOLAと家具を組み合わせるコツや、カラーを選ぶときのポイントを教えてください。
山田 – KIYOLAのデザインは北欧モダンです。椅子やテーブルと同じように四本の脚で、鍵盤ユニットを支えています。パネル脚と違って透けて見えることから、床が見える面積が多くなり、お部屋が広く感じます。また床のお掃除も楽です(笑)。
インテリアコーディネートのポイントとして、「おだやか」と「きわだち」の2つのまとめ方があります。
おだやかとは、床材と同色にすること。同じ色味なので、統一感が出せ、存在感が無くなることから飽きが来にくく、お部屋が広く感じます。
きわだちは、床と異なる色味にすることで、家具の形をハッキリ認識させるものです。モノの輪郭がしっかり見えた方が、インテリアをオシャレに感じやすくなります。最近の流行りは、メープル材などの明るい床に、ウォールナットの濃い目の色をあわせる方も増えています。
KIYOLAには3つのカラーがあります。「おだやか」「きわだち」などのコーディネートを考えながら、お好みやお部屋の雰囲気に合わせて、お選びください。
-KIYOLAの椅子は、従来のピアノ椅子と比べて、座り心地が一味違いますが、どんな特長があるのでしょうか。
山田 – 椅子に座ると体の荷重が分散されず、立ち姿勢の1.4倍~2倍近く腰の負担が増加すると言われています。そこで弊社では体の負担を減らすため、1998年からカリモク独自の人間工学研究を開始しました。
KIYOLAの椅子には、そうした基礎研究が反映されています。椅子の後方はせり上がったシート形状になっており、着座時、深くシートに掛けていただければ、坐骨が起きやすくなり、腰の負担を軽減します。
次にお尻の一部分に負担がかかるとうっ血し、血流が悪くなり疲れやすくなります。シート内部に、超高密度のウレタンを使用することで、へたりにくく、全体に体を支えることにより、局部のうっ血を防止しています。演奏時は椅子の前部に浅く掛けることが多いですが、その場合でもしっかりと体を支えます。
-最後に、今後のカリモク家具さんが目指すモノづくり、ローランドに期待することなど、コメントをいただけますか?
山田 – 欧米では「家具」という言葉には、「家の中にあって、動かせるもの」という意味があります。実は電子ピアノも広義では「家具」なのです。カリモクでは、木製家具の製造販売を通じて、お客様の暮らしに貢献するという使命を持っております。インテリアをもっと楽しく、素敵に、快適にしたいと願っています。
家具はお求めいただいてから、お世話が必要な商品です。ローランドさんとはKIYOLAを第一弾として、これからも長くお付き合いをさせていいただきたいと思います。インテリアに溶け込む楽器は、いつでも演奏が楽しめて、インテリアを素敵にしてくれるキーアイテムです。
これからもお客様に「素敵」と言って頂けるよう、ローランドさんにはインテリアに似合うデザインをご提案させていただければと思います。また両社のブランドにふさわしい品質でのご提供を目指します。
山田 – この度はインタビュー頂き、ありがとうございました。
-ありがとうございました。
■山田郁二(やまだいくじ)
1961年生まれ。54歳。京都で育ち、80年代学園ドラマにもなった伏見工業高校を卒業後、1980年にカリモク家具販売㈱へ入社。1989年にインテリアコーディネーター資格取得。カリモクでは、商品管理や営業職を経て、本社企画業務へ。展示企画、広告企画を経て、商品開発から販促を行う営業推進部に配属され今日に至る。2012年に営業推進部取締役部長に就任、2016年に営業推進部常務取締役となる。
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