プロドラマーに聞く、最初の練習。
Case.7 [ナオミチ(KNOCK OUT MONKEY)]
プロとして活躍するドラマーも、始めた頃は初心者だったはず。凄腕テクニックを習得した彼/彼女らは初心者だったころ、いかにして練習に取り組んでいたのか??
この連載は、独自のインタビューから、初心者にも役立つ練習ネタを探る、ドラマー必見のコンテンツです!
第7回は、神戸で結成されたライブハウスを遊び場とする4人組ロックバンドKNOCK OUT MONKEYのドラマーとして活動中の「ナオミチ」さんにインタビュー。KNOCK OUT MONKEYはラウド、レゲエ、ヒップホップ、メタル、エモ…、様々なジャンルの要素を取り込んだ激しくもキャッチーなサウンドと、変幻自在に表情を変える曲展開、日本語に重きを置いたリリックを感情剥き出しに咆哮するヴォーカル…。圧巻のライブパフォーマンスで各地のオーディエンスを狂喜乱舞させている注目のバンドです!
プラスチックのシンバルが割れるぐらいひたすら叩いてた
【Q1】ドラムを始めた時期と、そのキッカケは?
ナオミチ – 中学2年の頃、ドラムを叩いていた1つ上の先輩にX JAPANのVHSを借りてYOSHIKIさんのドラミングにもの凄い衝撃を受け、次の日にその先輩の家に行き「ドラムめちゃめちゃヤバかったんですけど!」と感想を言ったら、先輩が「お前もドラムやってみる?教えたるで!」と言ってくれて、基本の”ドンタンドドタン”の8ビートを教えてもらったのが始まりです。
【Q2】始めた頃の練習方法、特に自分一人で行っていた練習法は?
ナオミチ – 消音パッドのトレーニングドラムセットを買って、好きなCDを爆音でかけてひたすら叩いてました。プラスチックのシンバルが割れるぐらい(笑)少し叩けるようになってからいろんなコピーバンドに参加したのですが、バンドを始めてからは常にスタジオ練習があったので個人練習は一切していませんでした。あの頃からしっかり基礎をやっておけば、、、と後悔しています(泣)
【Q3】初心者の練習法で、ひとつだけオススメするとしたら?
ナオミチ – スティックなしでどこでもできる練習です。座った状態で手を膝に置いて、右手で膝を叩く→左足で地面を踏む→左手で膝を叩く→右足で地面を踏む[右手(R)→左足(L)→左手(L)→右足(R)]、を繰り返します※。まずは、一つ一つの動作をゆっくり練習して、体が覚えたら好きな音楽に合わせたりテンポをあげてみてください。1日5分毎日継続してやると、2週間程でかなりの成果を感じることができるのでおすすめです。
※右手(R)→左足(L)→左手(L)→右足(R)を繰り返す
これは「4ウェイ・インディペンデンス」というドラムの基礎練習のひとつで、体の動きをよくする練習法です。両手と両足を交互に叩いたり、ナオミチさんが紹介されているように右手足と左手足を決まった順番に動かすなど、いくつかのパターンがあります。
両手 ←→ 両足
右半身 ←→ 左半身
左手+右足 ←→ 右手+左足 …etc
こういった練習を続けて動きを体に覚え込ませることで、手足を自在にコントロールできる⇒複雑なフレーズを叩けるようになっていきます。手足をバラバラに動かせるようになるのはもちろんですが、手+足や両手をきっちり同じタイミングで鳴らせるようにもなるので、手足で同時打ちするときに音がビシッと締まった感じになります。(初心者のうちは同時打ちがうまくいかないことが多いんです)なんかこの練習つまんなそう…と思われるかもしれませんが、こういう地味な練習こそ積み重ねが物を言う!です。やるとやらないでは、ドラマーとしての腕に大きく差が出てくるかも?!
まとめ
ナオミチさんは好きな曲をひたすら叩くことで、体にドラミングの動きを刷り込ませていったんですね。紹介していただいた4ウェイ・インディペンデンスも、少しずつでも焦らずコツコツ継続することが大切です。「ドラムって、手足をバラバラに動かすから難しい!」と思われがちですが、そもそも人間は手足をバラバラに動かして歩いています。赤ちゃんが自然と一人で歩くことを習得するように、ドラムも自然と体が動きを覚えていきます。体に動きを覚えさせるには、繰り返し練習を積み重ねるのが一番の早道ですね。
ARTIST LIST
Case.06 川上優 「バスドラの音だけ聞こえやすくしてた」
Case.07 ナオミチ 「プラスチックのシンバルが割れるぐらい」
Case.08 神宮司治 「8ビートを叩けるようになった時の喜びは大きかった」
Case.09 山葵 「上手いドラマーはみんな口ドラムが上手いんですよ」
Case.11 松下マサナオ 「自分で気付いて修正していく過程が大切」
Case.14 澤村小夜子 「自由さを感じて、すぐにバンドは楽しいと思った」
Case.15 長谷川正法 「スティックを跳ね返らせる感覚を身に付ける」
Case.16 加藤勲 「練習でも演奏でも録音することが大事」
Case.17 ハットリクミコ 「エアドラムでずっと練習してました。」