プロドラマーに聞く、最初の練習。
Case.6 [川上優(Nabowa)]
プロとして活躍するドラマーも、始めた頃は初心者だったはず。凄腕テクニックを習得した彼/彼女らは初心者だったころ、いかにして練習に取り組んでいたのか??
この連載は、独自のインタビューから、初心者にも役立つ練習ネタを探る、ドラマー必見のコンテンツです!
第6回は、インストゥルメンタルバンド Nabowaの打楽器&鍵盤楽器奏者である「川上優」さんが登場。ダンスミュージックに特化した別名義ユニット「WONDER HEADZ」でも音源をリリースするなど、ジャンルを問わず幅広い様々なプロジェクトに参加されています。また、ソロではドラム、キーボード、PC等を用いて電子音楽から生楽器までを操り、ボーダーレスな音世界を展開するなどマルチなクリエイティビティで活躍しています。
バスドラの音だけ聞こえやすくしてた
【Q1】ドラムを始めた時期と、そのキッカケは?
川上 – 3歳から14歳まではピアノを習ってたのですが、中学生の頃にパンクバンドのドラマーになりたくてずっと親にドラムセットをおねだりしてました。1年くらいお願いし続けて、やっと高校入学のお祝いで親にドラムセットを買ってもらいました。
【Q2】始めた頃の練習方法、特に自分一人で行っていた練習法は?
川上 – 高校3年間は周りにドラムやってる人が少なくて完全に我流の練習法でした。ほとんど楽譜使ってなかったですね。。
基礎練習もどういうふうにしたらいいのか全く分からなかったので、とにかく好きなパンクバンドの耳コピをしまくってましたね。コンポに8バンドくらいのグラフィックEQ※がついてて、バスドラの音だけ聞こえやすくしたりして完コピに近づけようとしてました。
【Q3】初心者の練習法で、ひとつだけオススメするとしたら?
川上 – 僕は普段平日はドラムレッスンをやっていますが、ルーディメンツ等のスティックコントロールの練習に結構長い時間かけてます。
まあ実際そういった練習も非常に重要だとは思うのですがひとつだけオススメするとすれば、まず自分の好きな曲のドラムがどうなっているのか自分で耳コピしてみるということかなと思います。もし音源だけで分からないなら、ライブ動画等探して実際にそのプレイヤーさんがどういうふうに叩いているか調べてみることは重要かなと思っています。
※8バンドくらいのグラフィックEQ
ドラムのネタではありませんが、せっかくなので解説。そもそも「EQ」とは「イコライザー」の略で、音の周波数帯(低い成分や高い成分)のバランスを調整する機械のようなものです。「◯◯バンド」というのは、低音〜高音までの成分を、その数で分割して調整するということを指しています。例えば、3バンドであれば、[低、中、高]のような感じ。8バンドは[超低、結構低、中にちかい低、中、中にちかい高、結構高、超高]といったイメージですかね。(曖昧すぎますが…)川上さんは、このイコライザーを使って、バスドラム(ドンという音は低音域の成分が多い)の成分を持ち上げて(聞こえやすくして)練習をしていた、ということですね。最近のスマホや携帯プレーヤーなどにもイコライザーが搭載されているものがあるので、目的に応じて調整してみるといいかもしれません。
まとめ
川上さんも「耳コピ」からスタートして、ドラムのキャリアをスタートさせていますね。ドラムを買ってもらえる環境だったのは羨ましいところでもありますが、環境に満足することなく我流でも練習し続けたことで、ドラムから離れることなく続けてこれたのだと思います。動画を見ることは、演奏を体の動きと音の両面から確認できるので、練習のひとつと言えます。スポーツでもレベルの高い選手のプレーを参考にすることは一般的です。そして、もう一つ重要なことは「完全コピー」を目指しつつも「不完全」を受け入れる余裕を持つことだと思います。目指すフレーズが叩けなくても、少しくらい我流のフレーズがあっても音楽は成り立つので、最初は楽しむことを目標に、ドラムを叩きましょう。始めはみんな初心者ですから。
LIVE INFO
GREENROOM FESTIVAL’16
5/21(Sat) 赤レンガ地区野外特設会場(横浜)
Release note
「quiet side of Nabowa」
2016年5月1日発売
LINK
ARTIST LIST
Case.06 川上優 「バスドラの音だけ聞こえやすくしてた」
Case.07 ナオミチ 「プラスチックのシンバルが割れるぐらい」
Case.08 神宮司治 「8ビートを叩けるようになった時の喜びは大きかった」
Case.09 山葵 「上手いドラマーはみんな口ドラムが上手いんですよ」
Case.11 松下マサナオ 「自分で気付いて修正していく過程が大切」
Case.14 澤村小夜子 「自由さを感じて、すぐにバンドは楽しいと思った」
Case.15 長谷川正法 「スティックを跳ね返らせる感覚を身に付ける」
Case.16 加藤勲 「練習でも演奏でも録音することが大事」
Case.17 ハットリクミコ 「エアドラムでずっと練習してました。」