V-MODA ARTIST INTERVIEW #08 GLIM SPANKY

ヘッドホン・ブランドV-MODAの代表的なモデルを、プロ・ミュージシャンが試聴するインプレッション・インタビュー第8弾。ロックやブルースを土台にプリミティブなサウンドを紡ぐGLIM SPANKYから、松尾レミ(Vo,Gt)と亀本寛貴(Gt)が登場。

V-MODA ARTIST INTERVIEW

#08

GLIM SPANKY

04年に設立されたイタリア発のヘッドホン・ブランド“V-MODA”。世界のトップDJを魅了したフラッグシップ・モデルM-100をはじめ、比類のない品質、ファッション・フォワード・デザインに優れた商品群をリリースし続けている。そんなV-MODAを、プロ・ミュージシャンが試聴するインプレッション・インタビュー。第8回目は、ロックやブルースを土台にプリミティブなサウンドを紡ぐGLIM SPANKYから、松尾レミ(Vo,Gt)と亀本寛貴(Gt)が登場。18年6月に発売し好評を博したCrossfade II Wirelessのワイヤレス音質をさらに向上したアップグレードモデルCrossfade2 Wireless Codex Editionと、今年7月に発売されたCrossfade M-100 Master、そして11月6日に発表されたばかりのスタジオモニターヘッドホンM-200を試聴してもらい、それぞれの音像について所感をうかがった。

ひとつの音域に耳をとらわれることなく
すべての音をバランス良く聴ける

Crossfade M-100 Master × 松尾レミ

歌とベースが立体的に聴こえて、
とても心地良い

松尾

物によりますけど、ヘッドホンって耳にあまりフィットしない印象なんですけど、Crossfade M-100 Masterはフィット感がものすごく心地いい。けっこう前に作った自分の曲と最新曲の「ストーリーの先に」、70年代のアコギ系のいなたいアシッドフォークを聴いてみたんですけど、アコギで例えると4~6弦あたりの低音がボヤっとし過ぎず、気持ちのいいロー感が聴こえるなと思いました。
私はライブで歌を歌うとき、ステージモニターの音作りをかなりこだわるんです。バンドサウンドがしっかりと聴こえつつ、メインとなる自分のボーカルやそれを支えるベース、つまり低域と中域の中間の音域が聴こえると、自分の中でとても歌いやすい。M-100も同じように、欲しいところ(音域)がよく聴こえる、ビビッドなサウンドがちゃんと表現されているなと思いました。歌とベースが立体的に聴こえて、とても心地良いです。だからリスニングというよりも、むしろステージのモニターを聴いている感覚のほうが強い。安定感があって聴きやすいから、気持ちいいですね。エモーショナルにも聴けますし、シャカシャカしていないし。

亀本

そうだよね。高音はしっかり聴こえるけどシャカシャカしていない。

松尾

そのバランスがすごくいい。で、低音がより出ることによって、とても心が踊る感じで聴けるっていうところですかね。

Crossfade M-100 Master

ローランドのエンジニアがチューニング・プロセスに参画し、M-100サウンドをブラッシュアップ。新しいサウンドシグネチャを採用、ハイレゾ対応するなどトラック・メイキングに最適化したオーバーイヤー・ヘッドホン。

M-200 × GLIM SPANKY

上品にキレイに鳴っていて
解像度が高い印象

亀本

ビリー・アイリッシュ、新しいバンドや昔のバンド、ギターロックなど、いろいろと聴いてみました。率直に言うと、高音域の解像度が高めというかキレイな感じですね。普段、低音域がドバッと出るようなヘッドホンを使っているせいなのか、下(低音域)はけっこうタイトな印象がありました。作りも音質も割と上品で、普段レコーディングをするときに使っているヘッドフォンはハイがガシャガシャしているけど、M-200はもうちょっと上品にキレイに鳴っていて解像度が高い印象です。

松尾

亀が言った通りなんですけど、確かに低音域はタイトですね。M-100は低音域が膨張している印象だったので。でも、モニターヘッドホンとして使うのならとてもいいなと。M-100はローと歌の中音域を気持ちいい感じで聴かせてくれるので、それはそれで亀が言ったようにリスニング用としてノリノリで聴くにはいいんですけど、M-200は何かひとつ(の音域)に耳をとらわれることもなく、すべての音をバランス良く聴けるからいいなと思いました。
あと、60年代などの古い音源を聴くとき、M-200はレトロなレコードっぽい音源だとレコードを聴いたときの感覚に近いかなって。M-100は低音域を膨らませているので、レコード的な感覚ではないけど、M-200はレコード的な聴き方ができる。例えば、自分たちの音源や新しいサウンドは少しハイが強いので、そういう音楽を聴きたい人はM-100がいいと思う。歌の高音域はもちろん、ドラムのリズムやストリングスがすごく良く聴こえたので、分離がキレイで低音域に隠れることがない。そこがいい点かなと思いました。

亀本

スタジオ機材っぽくていいよね。

松尾

自分の音源を聴くんだったらM-200で、昔のレコード音源を聴くんだったらM-100かな。

亀本

昔の音源はもともと低音が少ないからね。

松尾

そうそう。

M-200

M-200は、RolandやV-MODAが楽器作りで培ってきたノウハウを結集し開発した次世代のスタジオ・モニター・ヘッドホンです。V-MODAヘッドホンの特徴であった豊かな低音域に伸びやかな中高音域を加え、解像度を上げる音作りを進めることで幅広い帯域をフラットに再生することが出来る「原音を忠実に再現する」ヘッドホンに仕上げました。最先端のサウンドを的確にモニターできる従来のモニター製品と一線を画した全く新しいスタジオ・モニター・ヘッドホンです。

Crossfade2 Wireless Codex Edition × 亀本寛貴

低音域がいい意味で
ルーズに出ていて単純に気持ちいい

亀本

好みの音だぞ(笑)! リスニング用としてはCrossfade2 Wireless Codex Editionが好きかな。コレいいわ! M-200に比べると低音域がいい意味でルーズに出ているので、単純に聴いていて気持ちいい印象ですね。ただ、さっきもM-200で視聴したビリー・アイリッシュの「バッド・ガイ」で聴き比べると、ボーカルは近くて張り付いているようなんだけど、倍音成分の聴こえ方に違いがあって少しボヤける印象がありました。ただ、外で音楽を聴くぶんにはそこまで求めないというか、リズムで体を揺らせる音としてはCrossfade2のほうが個人的には好きかなと。ただ、M-200のほうが音像は見えやすいと思います。M-200はやっぱり低音域がタイトに感じたので、Crossfade2はもうちょっと音源を盛ってあげているというか、聴いてて楽しくなりますね。

Crossfade2 Wireless Codex Edition

M-100サウンドを更に昇華しハイレゾ対応させたオーバーイヤーヘッドホン。日本製CCAWコイルを採用したデュアルダイアフラムドライバーはシャープな高域からパワフルな低域まで全帯域で最高のサウンドを実現。ワイヤレスでも高音質を実現するaptXコーデック、AACコーデックに対応。

V-MODAの試聴を終えて

どれもユーザーを
選ばずにオススメできる

亀本

この3モデルからひとつ選ぶとしたら…難しいな(笑)。Crossfade2は、ワイヤレスでも使えるし音も良かったから一番使うかなぁ。ただ、M-200のクオリティでヘッドホンを聴くこともないので捨て難いなと。しかも今回はサブスクリプションで視聴したので、音源自体をもっとちゃんとしたもので聴けばポテンシャルを発揮しそうな気がしました。

松尾

音楽を聴くぶんにはM-100が一番好きかな。より低音域が鳴っている気がして。Crossfade2のほうがもうちょっとバランスが整っていて、ハイが聴こえる印象はありました。

亀本

あ、僕もそう思った。

松尾

あとは好みの違いかなと。私的にはハイがキーンと鳴る音楽が苦手なので、M-100が好きっていうだけで、どちらもすごく気持ち良いですね。

亀本

2人ともM-200を選ばなかったという(笑)。

松尾

でも、60年代の音楽を聴くんだったらM-200がいいと思う。

亀本

音源のせいもあるけどね。音源がもっと良ければM-200はすごくいいと思う。

松尾

そうなんだよね。

亀本

どれもユーザーを選ばずにオススメできるよね。

松尾

そうだね。M-200はちゃんと音楽を聴く人向きかな。

亀本

けっこうガチな人ね(笑)。ジャズを聴くのにも良さそうだよね。

松尾

生々しくていい感じに聴こえそう。リスニング用として、歩いていたり電車とかで聴くにはM-100とCrossfade2がいいなと思っていて。M-100を聴いたときに思ったんですけど、例えばバンドマンでアコギとかニュアンスを確認したい人はM-200がいいかな。いい感じにブラッシュアップして聴かせてくれるので、そういう音楽をやっている人にもいいですし、普通に“ノリたい”っていう低音重視の若者にもいい。最近の音楽は少し聴きづらいという年配の方には、耳に痛くないしそんなに低音域が膨らんでいないという意味でもM-100はオススメですね。

PROFILE

GLIM SPANKY/松尾レミ(Vo,Gt)と亀本寛貴(Gt)による男女2人組ロックユニット。ロック、ブルースを基調にしながらも、新しい時代を感じさせるサウンドを鳴らす。アートや文学やファッション等、カルチャーとともにロックはあることを提示している。ハスキーで圧倒的存在感のボーカルと、ブルージーで感情豊かなギターが特徴。ライブではサポートメンバーを加え活動中。
http://www.glimspanky.com

RELEASE

NEWEST SINGLE
 ストーリーの先に
 
【通常盤(CD)】
¥1,300+税

【初回限定盤(CD ※ライブ音源収録)】
¥1,800+税

【完全数量限定盤(CD+グッズ)】
¥3,600+税

ユニバーサルミュージック
2019年11月20日リリース

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