ADX20iは芯を捉えてくれる
#13中村有里
ハイとローを均一に鳴らしたい思いがあります
普段、マイクに関わるどんな仕事をされていますか?
中村:アニメやゲームコンテンツの音楽イベントやフェスにゲストで呼んでいただくことが多いので、スタンドマイクの前でじっと吹くよりも、アクションをしたりと魅せることを求められる機会が多いんです。なので、スタンドマイクよりも圧倒的にピンマイクで演奏するお仕事が多いです。
そういうときに使うマイクは自前のものですか?
中村:半々ぐらいですね。イベントの規模によって音響会社さんが入ったり入らなかったりするので、何かあったときのために必ず自前のマイクは持っていきます。ただ、音響会社さんのこだわりや他の楽器との兼ね合いもあるから、“今回はこのマイクでお願いします”と頼まれることもありますし、リクエストがなければ“いつも使っているこのマイクで”とお願いすることもあります。
マイクを持ち込む場合は、決まったマイクがあるんですか?
中村:いくつかありますが、大体はDPAを持ち込んでいます。標準的で事故がないし、音の倍音も全部拾ってくれるので、それこそどんなイベントでも対応できますね。
これまでいろいろなマイクを試されたんですか?
中村:そうですね。試したり、先輩に聞いたり、それこそ音響の方に“どういうマイクを持ち込んだらいいか”と聞いたり。ヘンなマイクを持ち込んだと思われるのも嫌なので(笑)。最初は何もわからないから、それこそ学生を卒業したばかりで大きな現場をやるときも“ピンマイクってどう付けるんですか?”というレベルなので、プロの方にお話を聞きながら試していきました。あとは先輩の家に遊びに行ってマニアックなマイクで遊ばせてもらったり。まだ手は出せていませんが(笑)。
マイクに求めるものは何ですか?
中村:ハイが抜けなかったりローがモワッとしたり、ハイとローで音の出方が違うマイクがありますが、均一に鳴らしたいという思いがあって。サックスは高音も魅せる楽器だから、そこが細くなると非常にもったいないし、サックスは低音になるほどキーを塞いでいくので、どうしても音量が出るんですよ。すると全部の音がマイクに集約するので、いきなりボン!って音が出る瞬間があって。それを拾い過ぎると、ハウるまではいかないけどそれに似た音になるので、全部がバランスよく鳴るマイクが非常に気になるところです。あとは、マイクのクリップ部分が弱くて落としてしまうこともあるんです。ベルトでケーブルを固定するんだけど、そうするとベルト部分が見えてしまったり。
性能自体が良くても、パフォーマンス上での使い勝手が満足でないものもあると。
中村:ありますね。あとはケーブルの太さです。それこそ踏んだときに断線することもあるので、ケーブルの太さもパフォーマンスをする上で大事なポイントだと思います。ある程度の耐久性がないと、本番で事故るかもしれないので。
音の粒がしっかりと聴こえる
AUDIXのことを知っていましたか?
中村:知っていました。ドラムによく使われていますよね…? 合ってますか? 良かった(笑)。正直、サックスで使えるピンマイクがあるのは知らなかったです。
今回はピンマイクのADX20i、ダイナミックマイクのi5、コンデンサーマイクのA131の3モデルを使っていただきました。まずはADX20iを使ってみての感想を。
中村:ずっとクリップに苦しめられてきたので、まずはクリップ部分の強度に感動しました。それこそ幕張アリーナとか大きい会場でステージの端から端まで走り回ると、クリップが外れる事故も経験しているので、そこはナイーブになっていて。外れるかなと思ってマイクを引っ張ったり、いろいろやってみたのですが頑丈で感動しました(笑)。ケーブルの太さも超大事です。別のマイクを買ったときも、ケーブルだけ太いものに買い換えたり調整をしているのですが、この太さで出してくださっているのは“現場をわかっているな感”があります(笑)。あとは、マイクの向きを段階的に動かせる構造もいいですね。本当に事故が起きにくいモデルだと思います。
サウンドはどうですか?
中村:DPAはわりとドライなのですが、ADX20iは音の芯を捉えてくれる感じがしていて。倍音をすべて拾うというよりは、サックスの“要らないジリジリ感”をカットしてくれるイメージ。上から下までしっかり鳴ってくれるので、音の抜けが良さそうだなと思いました。感度が高いというか、ゲインを上げなくても音が入るじゃないですか。同じレベルで異なるマイクを試したのですが、ゲインを卓(ミキサー)側で調整するよりもマイク側でゲインが上がるので、そこもすごくいいところだと思います。ストレートにバーンって入ってきたので、音の出方が全然違うじゃんって。
ジリジリ感を詳しく説明すると?
中村:サックスって、ジリジリというような渋いノイズも味のひとつとして好きなんです。それがカットされすぎるのもあまり好きじゃなくて、かと言ってジリジリ感だけがあると、音の芯がわからずにただフワッとした音になってしまう。速いパッセージでもひとつひとつの音の粒立ちが見えなくなるから、ある程度はジリジリ感と音の芯の両方が必要なんです。ADX20iはギャンギャンするような要らない倍音を削って音の芯を捉えてくれるので、高音に関してもすごくバランスが良いと思いました。周りの人にも聴いてもらったのですが、“いいじゃん”と好意的な意見が多くて。音の粒がしっかりと聴こえるのは、感想として言ってもらえたかな。
A131のようなド真ん中のマイクがあると作家さんも喜んでくれる
他のふたつのモデル(i5とA131)はどうですか?
中村:まずはダイナミックマイクのi5ですが、うちにある定番マイクと比較してみました。雰囲気はホワンと音を拾ってくれる感じがしたんですけど、i5もそれこそADX20iと系統が似ているのかな。芯を捉えて感度が高くて完全に楽器向き。楽器に使うなら圧倒的にi5のほうが周りの雑音も入らないし、楽器に対してしっかり音を取ってくれるのがいいなと思いました。
コンデンサーマイクのA131はショックマウントが内蔵されているんですよね? コンデンサーマイクはいくつか所有しているのですが、ショックマウントって必要だけど邪魔なんですよね(笑)。それが内蔵されていることに感動しました。やっぱりA131もゲインを上げなくても感度が良くて、ローからハイまでナチュラルに録れる。コンデンサーマイクって性格があるじゃないですか。A131はすごく安定して録れるので、その日の体調とか楽器のセッティングでマイクを使い分けることもありますが、迷ったらこれ!という感覚で録れるんじゃないかなと。これも音の芯を捉えてくれるので、編集でリバーブなどのエフェクトをかけたりしても対処できるサウンドで録ってくれると思いました。
今後、AUDIXをどんなシチュエーションで使っていきたいですか?
中村:劇伴などを納品する際、コンデンサーマイクで録ったままの状態の音源を送るんですけど、いつも数パターンのマイクで録って送るんです。作家さんの音の好みがわからない時は、わりと極端なマイクを使うのですが、そういう時にA131のようなド真ん中のマイクがあると作家さんも喜んでくれるだろうなと思いました。もちろんこのピンマイク(ADX20i)は、クリップ部分もパフォーマンスをする上で最高に良いので試してみたいです。まだ大きな会場で使ったことがないので実験してみたいし、良くなりそうな気はしています。
近々、試せそうな現場はありますか?
中村:9月に大きなイベントがいくつかあって、10月30日にはコットンクラブでアルバムリリース記念ライブを行うので、そういうところから始めてみようと思います。
AUDIXはどのようなユーザーにオススメできそうですか?
中村:手に取りやすい価格帯ですよね。安いマイクはいくらでもあるけど、どうしてもシャリシャリした音だったり、安価なマイクを選ぶのってすごく難しいんです。ちゃんとしたものを選ぶとなると高価格帯になるので、初期のモデルで悩んでいるなら絶対にオススメです。しかも、私みたいに現場で激しいパフォーマンスをする人も、この丈夫さは安心感があります。初めてピンマイクを買う方はもちろん、この価格でこのクオリティのものが手に入るならすごくいいですよね。最初のマイクにしては良すぎますけど(笑)、ぜひAUDIXから入っていただきたい気持ちはあります。
WIRELESS COMPONENT CONDENSER INSTRUMENT MICROPHONE
ADX20i
ALL-PURPOSE PROFESSIONAL DYNAMIC INSTRUMENT MICROPHONE
i5
LARGE DIAPHRAGM STUDIO CONDENSER MICROPHONE
A131
PROFILE
中村有里
サックス奏者。国立音楽大学大学院を最優秀賞を受賞し修了。
ジャンルにとらわれず精力的に活動しており、 さいたまスーパーアリーナや幕張メッセなどで行われるゲームや音楽イベントなどでゲストプレイヤーとして演奏するなど、ソロ活動を精力的に行なっている。
演奏活動の他にはGUNZE SABRINAのイメージキャラクターをつとめ、SonyのCMに作曲、編曲、演奏、出演のトータルプロデュースをするなど、演奏以外のフィールドにも活動の場を広げている。
自身初のオリジナルアルバムがフジパシフィックミュージック内の新レーベルより配信リリースされ、新作が2024年10月2日リリース。同10月30日にリリース記念ライブを丸の内Cotton Clubにて行う。
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2ndアルバム『Colors 〜Relay point〜』リリース記念ライブ
https://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/yuri-nakamura/
**音楽の彩りをあなたに。中村有里の新作EP「Colors ~Relay point~」登場!**
サックス奏者・中村有里が贈る最新作「Colors ~Relay point~」が、2024年10月2日にリリース決定!豊かな表現力で紡ぎ出す音楽が、あなたの日常を色鮮やかに彩ります。音の世界を巡る新たな旅路を、ぜひお楽しみください。
– **発売日:** 2024年10月2日
– **商品番号:** ZENT-0006
– **税込価格:** 1,500円